一挙にドンコとカンコをゲット! 何匹もいっぺんに釣れるのは、泳がせ釣りの楽しみのひとつ

明け方6時に出発して早6時間。釣り友K氏にガンゾウヒラメがかかったものの、お目当てだった「アカムツ」は釣れず……。後ろ髪を引かれる思いで中深場釣りから浅場へ舵を切った週プレ釣り部一行。後半戦に一縷(いちる)の望みを託す!!

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昼12時をまわったところで、中深場から陸に近い浅場まで移動。午前中の釣りでかなりの体力を消耗していたが、なんとか結果を出さなきゃ帰れません。

浅場では泳がせ釣りに変更。この泳がせ釣りとは、生きたイワシをエサにして大型魚を釣る、ヒラメ釣りなどでポピュラーな釣り方。

仕掛けは、近年、九州地方あたりで人気の「落とし込み釣り」と言われる、できるだけ小さく頑丈なハリに魚皮やスキンなどを巻いた、いわゆるサビキ仕掛け。これを小アジや小サバの群れの中に落とし、小魚にハリを咥(くわ)えさせたら、そのまま下におろし、待ち構えている大型魚を狙うのだ。

ただ、今回使う船宿特製の仕掛けは、ハリの部分に少し工夫をこらしている。頑丈なハリの懐(ふところ)にもうひとつ小さなハリが付いているのだ。この親子バリは等間隔に5本付けられている。小さいハリに小魚が掛かったらそのまま下に降ろし、大型魚に小魚をガブッと丸呑みさせて、大きく頑丈なハリに掛ける寸法だ。オモリは50~60号を使用。

浅場での狙い物は、ヒラメ、マゴチ、ホウボウ、カサゴなどフィッシュイーター全般で、ひと通りなんでも狙える。小魚を追いかけて、浅瀬に突っ込んでくるからだ。もう贅沢は言わない、なんでもいいから1匹でもイイものが釣りたい! 午前中の惨敗に少しでもリベンジしたいのだ!

船長「ええぇー、ここは水深30m、小魚の反応(魚群探知機に映る小魚の映像)は20mです。小魚が付いたらそのまま底まで落としてください。底に着いたら少し上げて待ってください」

リールのクラッチを切って、スルスルと仕掛けが落ちていく。指でサミング(糸の放出を調整)し、ゆっくり落とす。15mぐらい落ちたところでクンクンという魚信が伝わってきた。その場所で仕掛けを止め、他の針にも掛かるよう追い食いを待った。

少しすると、再びクンクンクンッ!という感触。これは2、3匹掛かったかな? 再度、クラッチを切り、オモリが底をトントンと叩く程度に仕掛けを落として、しばし待機。

クックックッと小刻みにハリに掛かった小魚が暴れ出した! たぶん小魚が大型魚に睨(にら)まれロックオンされたはず。よしっ、そのままガブッといけ! 小魚に喰らい付くんだ!

さっそくの魚信にいい感触だが…

……しかし、どうしたのだろうか、待てど暮らせど、それっきりなんの変化もなし。小魚がよほどデキるヤツだったのか、おそらく逃げ切れたのだろう。ああ、無念。

一瞬引き込まれた竿先にいらぬ期待をしてしまった(泣)

しばらくこんな状態が続いて、気づけば時刻はもう午後3時。ここまでスポットを変えるたびに、おいしそうな小サバ(15cm前後)を20匹程度釣って生簀(いけす)に確保したが、釣れるのはそれだけ。落としても落としても一向にフィッシュイーターの反応はなかった。

するとK氏が近づいてきて、「鬼行きませんか?」と一言。このままでは埒(らち)があかないので急遽、鬼カサゴ釣りに変更しようというのだ。もちろん、四の五も無く即賛同。結局、第二ラウンドの泳がせ釣りはノーフィッシュで終了。

色つやのよいメバル。いつの間にかK氏が釣っていた

ラスト30分! 奇跡は起こるのか?

すでに陽が傾きかけ、これが本日最後のチャンス。残り時間は30分。天にもすがる思いで、味よし、形よし、釣趣よしと3拍子揃った伊東沖の鬼カサゴに賭けてみる。疲れで少し意識が朦朧(もうろう)としていたが、気力でカバーだ!

今度はハリスは全長2m、ハリ数2本、エサは生きた小サバ。サビキ仕掛けではなく、最初から小サバを泳がせる、泳がせ仕掛けに120号のオモリ。第一投を投げ、しばらく様子見。

と、その時、船尾にいたK氏がなにか掛けた。竿が曲がっている。そばへ行く気力もないので、横目でチラチラと観察。しかし、80mの底から上がってきたのは、なんと、本日初の本命の鬼カサゴ! 1キロに少し欠けるサイズだが正真正銘の本命だっ!

ようやく釣れた(K氏がだが)本命の鬼カサゴ! 一日くらい寝かせて湯引きした刺身は絶品!

よく見ると、口には小サバの切り身が確認できた。K氏は鬼カサゴが食べるエサをきちんと見極め、最後の最後に賭けていたのだ。これには脱帽! おめでとうございます!

結局、この日はK氏の釣った本命・鬼カサゴ1尾のほか、カンコ2尾、アカイサキ5尾、メバル2尾、ドンコ1尾の釣果を達成し、17時半過ぎに納竿。朝からタフな釣りでしたが「never give up! 釣りは諦めてはいけない」という精神を改めて学びました!

丸々太った赤イサキ。身にあまり脂がないので、ムニエルなどバターや油を使った料理にオススメ