ビールやアイスなど冷たいものの摂りすぎには要注意。体を冷やすと血行が悪くなり髪への栄養運搬が滞る

目的にあったシャンプーで正しい洗い方をすることが、元気な髪のための第一歩だとわかった。それだけでなく、毎日の生活習慣が髪に与える影響も見過ごせないという。髪に良くない生活習慣とはどんなものだろうか? 国際毛髪科学研究会会長の井上哲夫先生に教えてもらった。

【NG1 夜ふかし

―薄毛は遺伝的な要素が大きいと聞きますが、生活習慣による影響もあるのでしょうか?

「まず、夜型の生活は良くありません。人間の体は、昼は交感神経、夜は副交感神経が支配しています。このなかで、髪の毛に栄養が運ばれ成長ホルモンが分泌されるのは、22時~2時がピーク

ですから、その時間になるべくリラックスすることが髪の成長にとってとても大切。22時に寝るなんて現実的ではないかもしれませんが、なるべく日付が変わらないうちに寝てほしいですね」

―仕事で深夜に帰宅ということも多くて……。そのコアタイムは不変ですか?

「どんな生活リズムでも、髪が栄養を受け取る時間帯は変わりません。深夜に起きていると、無理に交感神経を興奮させて抹消への血流が悪くなる。私がいろいろな相談を受けるなかで、昼夜逆転生活の方が脱毛症になると、残念ながら治りづらいケースが少なくありません」

【NG2 朝シャンしている】

―寝癖がひどいので朝シャンをしないと大変なことになってしまいます。

「深夜に栄養が運ばれた髪は、朝3時~9時に1日分の成長をします。この時間帯にシャンプーをすると、毛穴がゆるみシャンプー成分が頭皮に残って頭皮ダメージの原因に。

自律神経のバランスと成長ホルモン分泌のために、シャンプーは夜に行なうようにしましょう。朝、汗や寝癖が気になるときは、シャンプーを使わずにお湯だけで洗えば大丈夫です」

【NG3 湯船につからずシャワーのみ】

―髪の成長のためには、夜シャンが大事なんですね。

「時間帯だけでなくちゃんと湯船に入ることも必須。特にひとり暮らしだと、面倒くさいとかもったいないからとシャワーだけで済ます人も多いのは? でも、体の冷えは血行の悪い状況を作り出すので、やはり髪には悪影響。毎日、湯船につかって新陳代謝を活発にしましょう」

食生活で気をつけたいことは?

【NG4 食事をよくかまない】

―食事面では何かありますか?

「肉食が良くないなど食べ物の種類を言い始めるとキリがありませんが、私がまずやってほしいのは、食事をよくかんで食べること。これは一番お金のかからないアンチエイジングです。

かむと消化酵素が出て農薬や添加物の毒性を消してくれます。さらに消化が良くなるので、食べ物が胃に滞留する時間が短くてすむ。それとともに胃に滞留する血液量も減るので、血が体中に分散し血行が良くなります

【NG5 冷たいものをよく飲む

「それとは反対に、冷たいものを飲んだり食べたりすると、臓器がそれを温めようとして血液が抹消から胃に集まり血行が悪くなります。それが体が涼しく感じられる原因。さらに、胃に集まった血液が置いていったコレステロールが内蔵脂肪に。ビール腹はまさにこれ。アイスクリームも同じです」

―ビールにアイス、大好きですが…(汗)。でも、髪にとっていかに血行が大切かよくわかりました。

「髪の毛にとっても体にとっても、血行はとても大切です。20代までは無理がきくでしょうが、30代を過ぎるとだんだん無理がきかなくなるもの。そのときに、このような体のメカニズムを理解して生活をシフトしていくことで、髪も体も若く元気でいることにつながるでしょう」

●井上哲夫(いのうえ・てつお)国際毛髪科学研究会会長。1952年、東京生まれ。東京理科大学卒業後、総合化粧品メーカーに入社。ヘアケア・スキンケア商品の研究開発部長を経て、国際毛髪科学研究会を設立する。東洋医学を美と健康に応用する「脱毛ケア」「頭皮ケア」のオーソリティとして、現在までに全国各地のがん診療拠点病院及び7000店以上の理美容店、その他各種医療セミナーで講演・指導実績を持つ。【http://www.moukaken.jp/】