コムローイを天に放つ瞬間。ディズニー映画『塔の上のラプンツェル』のモデルにもなった幻想的なお祭りです

サワディー! バンコクから格安航空でピューンと1時間、タイ第2の都市・チェンマイにやってきました!

お目当てはタイ3大祭りのひとつ「ロイクラトン祭り」。毎年11月頃の満月の夜に全国各地で行なわれる、川の恵みへの感謝を込めて灯篭(とうろう)を流すお祭りです。

特にここチェンマイでは「イーペン祭り」と呼ばれ、紙の熱気球を飛ばすことで有名。無数の熱気球が夜空に吸い込まれていく様子は幻想的で「アメージング!」と叫ばずにはいられない光景なんだとか。

祭り期間の夜は、街のいたるところで人々が「コムローイ」と呼ばれる熱気球を上げている。爆竹を鳴らしたり、キャラものを上げたり、思い思いに楽しんでいる様子。

お祭りの時期は花火や爆竹が鳴り、街中でパレードも行なわれる

そんななか最大の見せ場は、何千人もがひとつの会場に集まり同時に上げる「コムローイ一斉上げ」。その圧倒的な美しさが評判を呼び観光客が急増したため、なんと3年前から外国人観光客専用の「インターナショナルの日」が設けられたほど。しかし外国人向けは有料で、その価格なんとUS100ドル! なかなかしっかりしてらっしゃいます(笑)。

地元用の日には間に合わなかったので、100ドル払って指定席やお弁当付きの外国人枠でゆっくり楽しみますか……と思ったら、国内外の旅行代理店の買占めでもう半年前からソールドアウト! せっかく来たのにお目当てが見れないなんて……どうする、マリーシャ!?

でもあきらめるのはまだ早い。ブラジルW杯でもリオのカーニバルでも、難関のチケットを体当たりで?ゲットしてきた私。情報は少ないけど、こんなときはとりあえず会場に突撃するべし!

会場につくとなぜか日本人だらけ!?

出発前に、自分が上げるためのコムローイを入手しようと立ち寄った寺院は、イケイケなダンスミュージックがガンガン流れ、ネオンがギラギラ。これってお祭り期間だから? 日本の寺とはかけはなれた風情に戸惑いつつも、販売僧からコムローイ3個を100バーツ(約300円)で購入。

クラブの入り口ではなく、お寺。コムローイ売ってます

そして、街の中心から会場までは遠いため、チェンマイの足ソンテウ(乗り合いタクシー)のチャーターが必須。さっそく南米時代の旅友から召集がかかり、集まったのはなんとチケットなしの日本人旅人18人! 見た目10人乗りの座席に18人ギュウギュウにつめこまれ出発です!

対面式にベンチシートがある乗り合いタクシー、ソンテウ。「VIP席だ!」とか言って子供サイズのプラスティック椅子まで用意してくれた・苦笑

会場に到着すると、そこは……日本? 日本人しかいない。どうなってるんだい、インターナショナル・コムローイ? 何十台ものツアーバスが連なり、「こちらの列にお並びくださーい! 順次入場案内いたしまーす!」ってアナウンスも日本語。マジですか…。

私たちと同じチケットなしの日本人チャレンジャーもいっぱい。みんな入り口で敗北し、すごすごと引き返してくる。しかたがないので、会場の壁の外の河原に敷物を敷いてビールの缶を開け、思い思いに空を見つめる。これってまるで日本の花火大会……。

まるで日本の花火大会の河川敷のような光景

待ち時間が長くホロ酔いになり、「こんなに日本人いっぱいなら、いっそ日本でもやってくれればいいのにね」なんて冗談を言っていると、会場からコムローイが一斉に上がり始めた!

それは今まで見たことのない幻想的な世界。真っ暗な夜空に吸い込まれていく無数のコムローイは、まるでオレンジ色の天の川みたいだった。「こんなキレイなお祭りだったなんて!」

チケットなしの人たちが会場の外から眺める「一斉上げ」の様子

続いて私たちもコムローイを上げてみた。何人かで紙の端をつかみ、蝋(ろう)を含んだ芯に火をつけて待つ。熱気球の中で空気が温まったら手を離すタイミング。

コムローイはなかなかのスピードでスーッっと空へ浮かび上がり、天の川のひとつとなってはるか彼方へと飛んでいった。私たちは拍手をしたり、周りの人と抱き合ったりして喜びを分かち合った。

予想以上の美しさに、これは絶対間近で見たいと近年中にリベンジを決意。悔しい思いを胸に、いつの間にか飲みすぎたビール片手に千鳥足で帰るのだった。

何人かでまとまって上げる一体感はスペシャル

http://youtu.be/jL53FDakg78

旅友アキちゃんが経験した病院のVIP待遇

ところでコムローイの後、旅友のアキちゃんが急に体調不良になって、チェンマイラム病院に緊急入院してしまった。

彼女のかわいらしい顔立ちからか外国人観光客だからか、なぜか「VIP」扱いにされ、付添い人用のソファーベッドやテーブルセットなどがある素敵な病室に運ばれたんだって。

ホテルのような病室

飲まず食わずの点滴漬けに空腹も限界の夜中、「おなか減った? 食べる~?」と ナースがインスタントラーメンをレンジでチンしてくれたそう。病人にジャンクフードかい!とタイのおおらかさにツッコミ(笑)。

2日目からはタイフードや洋食のメニューから好きなものを選べ、フルーツ盛りやクラブハウスサンドなどファーストクラス状態。「ウイルスが発見されたからもう一泊ね! あなたジャパニーズ? 和食もあるわよ!」とナースが差し出したのは、日本食出前メニュー(笑)!

「早く言ってよ~!」と心の中でツッコミつつ、「じゃあ昼はこの特上寿司とー、夜はうな重にしちゃおっかな~」と浮かれるアキちゃんだったが、一過性のウイルスと判明し、あえなく退院に。

ホテルのような食事。洋食はタイでは割高なので、旅人は普段もっと素朴なものをかじってます・笑

ごちそうを逃し悔しい思いはしたものの、「今までの宿の中で一番快適だったわー」とゴキゲンな彼女。万が一、私が入院するときは初めからお寿司とうなぎ注文しよっと!(ちなみに気になる入院費用は海外旅行保険から支払われるようです)

寺院にしろ病院にしろ、ツッコミどころ満載のタイ。“微笑みの国”は笑顔いっぱいの大らかな国民性に加え、こっちも思わず微笑んじゃう魅力的な国でした。

観光で入った寺院での「寺院内でのキスやハグ禁止」のサインは、なぜか日本の成人向け漫画チック(しかも両方、女のコ疑惑)寺院内、この絵でいいのか!?

タイといえばやっぱりお寺。装飾はかなりキラキラだけど、寺院内は肩の出てる服もダメなのでコートを貸してくれる。敬虔さと大らかさのバランスが絶妙?

【This week's BLUE】お祭りで売られていたドラえもんのお寿司! なぜか日本のお寿司よりひと回り小さくてミニミニミニドラサイズ(笑)。

●旅人マリーシャ平川真梨子。9月8日生まれ。東京出身。レースクイーンやダンサーなどの経験を経て、Sサイズモデルとしてテレビやwebなどで活動中。バックパックを背 負う小さな世界旅行者。【http://ameblo.jp/marysha/】Twitter【marysha98】