さまざまなセックスの問題を薬に頼らずカウンセリングで解決していくダリュシュ博士

国別のセックス頻度ランキングで最下位、夫婦のセックスレスも増え続ける日本。スケベは多いのに一体、どういうことなのか? 日本在住のポーランド人性科学者・心理学者のダリュシュ・スコブロインスキー博士がその原因を解説し、セックスレス改善の奥義をレクチャーする最終回!

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―いや、聞けば聞くほど素晴らしい! ところで、恋人がいない男性も相談に来るんですか?

ダリュシュ・スコブロインスキー(以下、DS) では35歳独身、東京にひとり暮らしでEDになってしまった男性の話を。地方出身で学生時代に3、4人の女性とセックス経験があったものの長く付き合った女性はいなかった。

卒業後、上京して就職した後、10年以上女性との性交渉がなく、仕方なくAVを見ていましたがだんだん刺激が足りなくなり、よりハードなものを見るようになって、ついに獣姦モノでしか興奮しなくなってしまった。最近はそれも物足りなくなりEDになったというのです。彼は「実際の女性は複雑すぎる」と嘆いて ました。

―う~ん、深刻ですね……。

DS  よくよく話を聞いてみると、上京後、友人もおらず孤独にさいなまれ、仕事は忙しく厳しい上司に叱られてばかりで、自信がなくなってしまった。職場には女性がおらず出会いもないのに、両親からは「35にもなってまだ結婚しないのか? 東京には女がいっぱいいるじゃないか」と責められ、ウツ状態になっていまし た。

―合コンとか婚活パーティに行ったりは?

DS フラれるのが怖くて行けなかったそうです。まず出会うことから始まって、お茶や食事に誘って…というプロセスも面倒くさい、と。

ポジティヴになれる7つのステップ

―そこを面倒だと感じると、なかなか難しそうですね。

DS  だから、私は彼に人生の目標は何かと尋ねました。彼は「結婚して家族が欲しい」と。「それならまず、自分に自信を持つことから始めましょう」とアドバイス しました。まず、自分の長所を見つけ、ポジティブなイメージをつくるところから始めました。これを手始めに全体で7つのステップを示した。

①自己評価を上げる、②ストレスとうまく向き合う、③不安を取り除く―この①から③のプロセスで、すぐにこの人のEDは治りました。多くの場合、セックスの問題はこの3つ(自己評価の低さ、ストレス、不安)が組み合わさったものが多いんです。

そして、④コミュニケーションスキルを高める、⑤社交的な生活を送る―これは、いろいろな出会いのある場に出かけるということです。スポーツジムに行ってもいいし、ペットがいる人は公園に行くとか…そうやって社交生活を送る。

そして、⑥性的なスキルを磨く―まず、オナニーするときにAVを見るのをやめて、実際に出会った生身の女性を思い浮かべてすることです。映像に頼るのでなく、自分の想像力を使ってね。最後に、⑦実際にデートすること。そして、女性と長期にわたる関係を築くことです。ここまできたらセラピーは終了です。

―いろいろな症例とそれに応じたセラピーがあるんですね。

DS セックスは人間の生命、本能の根幹に関わる大切なものですからね。健康的なセックスをある程度の頻度で行なうことで、肉体的にも精神的にも健康を保てますし、長生きできるというデータもあります。

―そのためにも、日本人はギリシャ人を見習わなくちゃいけませんね。なにしろ年間セックス回数が日本人の3倍ですから(笑)。なぜギリシャ人はそれほどセックスをするんでしょう?

DS  まず欧米人は日本人と違って残業が少ないし、特にギリシャはそうです。そしてギリシャ人には快楽を重視する国民性があります。非常に社交的で、例えば街で気に入った男性がいれば女性のほうからでも躊躇(ちゅうちょ)せず声をかけます。それが社会的にOKだから出会いも多い。ダンスも好きなので肉体的接触も多く、性的興奮に結びつきやすいこともあります。

―なるほど! ギリシャに行きたくなってきました!!

DS 日本人はシャイな人が多く、セックスで困っていても誰にも相談できず胸にしまいがち。でも、簡単なセラピーで解決することもあるんです。皆さんには、セックスを楽しんでハッピーな人生を送ってもらいたいですね!

■ダリュシュ・スコブロインスキー1971年生まれ、ポーランド出身。職業柄セックスがうまいと思われ、女性クライアントからお誘いを受けることもあるが、「愛する妻もいますし、職業倫理上お断りしています」と笑う。早稲田大学やテンプル大学などで心理学関連の講義を持つほか、東京都内でカウンセリングオフィスを営んでいる。 【http://bright-life-counselling.com/】

(取材/稲垣 收 撮影/本田雄士)