「芸能人として影響力のある立場だからこそ責任を持ってメッセージを伝えていきたい」と、講演活動も行なう杉本さん

ペットに癒やされ、至福の喜びとする人たちが増えているが、生き物を飼うにはそれなりの責任が生じることを忘れてはならない。そこで、ペットを飼う心得について、動物愛護活動や里親探しに尽力する杉本彩さんに聞いた。

■動物が亡くなるまで面倒を見るのは当然!

―20代の頃から捨て猫の里親探しに奔走、毛皮の不買運動のために「毛皮? 裸でいいわ」というメッセージとともにヌードになったことも。今年3月には、動物愛護団体「Eva」を自ら立ち上げるなど体当たりで動物愛護活動に取り組むわれらが彩姉! まず活動を始めたきっかけを教えてください。

杉本 昔から、捨て猫を拾ってきては家に連れて帰るっていう子供だったんです。それで、20代の頃に撮影所でたまたま出会った猫が、病気か何かで顔がもうグチャグチャで…病院に連れていった後にしばらく家で保護してたんです。

でも、その時点でうちには2匹猫がいたので、新しい飼い主さんを探して譲渡させてもらうことになって。いざ引き渡すってときに、不覚にも号泣してしまったんですね。そのとき「こんなふうに感情に流されてたら今後同じ状況になったときに動物に手を差し伸べられなくなるんじゃないか」と思ったんです。それが動物愛護活動の第一歩でしたね。

―今では、動物愛護団体を設立して本格的に活動されていますが、その信念はどこから生まれてくるんでしょう?

杉本 いろいろな方にお話を聞いて勉強するうちに、動物を取り巻く状況を“知らない”ことにものすごい恐ろしさを感じたんです。化粧品を作る際の動物実験で多くの動物が犠牲になっていること、日本のようにショップの店頭で動物を展示販売するのは、欧米では動物虐待としてほとんどやっていないこと。この現実は絶対に伝えなきゃいけないと。動物愛護にどう取り組んでいるかが、国の道徳的な水準を測るひとつの物差しにもなると思って。

動物たちが心から愛することを教えてくれた

―もう、国レベルの話なんですね。では、ペットと向き合う上での心得を教えてください!

杉本 動物が亡くなるまで面倒を見る“終生飼育”は絶対です。人間と一緒で、動物たちも老いていって介護が必要になるかもしれない。命を迎え入れる以上、本当に何が起こるかわからないってことを丸ごと受け止める覚悟と責任がないといけないわけです。

あとはやっぱり、食事。ペットの食事について知識のない人が多いんです。「ペットフードをあげておけばいい」とか、逆に「ペットフード以外はあげちゃいけない」と思っている人がいるけど、一番いいのは無添加の食材を使った手作りフードなんですよ。

NG食材をきちんと勉強すれば、簡単に手作りフードは作れます。動物だってパサパサのペットフードばかり食べさせられて幸せなはずはないですよね。

当たり前だけど、動物にも感情があるんです。ただ、彼らは本当に純粋だから、人間の愛情もエゴも全部受け止めてくれるわけです。…そんな存在を大切にできない人は、対人になっても自分の主観ばっかりで相手の気持ちを想像できないと思います。空気を読めない動物はいないけど、空気を読めない人間はいっぱいいますから(笑)。

―最後に杉本さんにとってペットとは…?

杉本 「ペット」という言い方をしたくないくらい、本当に家族なんですよ。私自身、人にはたくさん裏切られてきましたけど…動物たちはひたすら1ミリの疑いもなく私を信頼してくれる絶対的な存在です。動物たちが、他者を慈しみ、心から愛することがどれだけ幸せかということを教えてくれました!

(取材・文・撮影/short cut[岡本温子、山本絵理])

●杉本彩(すぎもと・あや)1987年、東レ水着キャンペーンガールでデビュー。女優、作家、ダンサーとして幅広く活躍中。一般財団法人動物環境・福祉協会Eva代表。動物性の食材を一切使用しないカレーを提供するカレーとワインのお店「Koume」をオープン