すっかり冬となり、朝5時を過ぎても空には星がまたたく網代港。冷たい海風を突っ切って釣り場へ向かう

冬の始まりを感じさせる、この季節。しかし、海の中はまだまだ“熱い”! 伊豆の網代沖に出動した週プレ釣り部。冷たい海風には晒(さら)されたものの、海の魚との熱闘を繰り広げてきた!!

***今回のターゲットは「アマダイ」! 静岡では「興津(おきつ)鯛」と呼ばれ、一説には奥女中のひとり・興津の局が徳川家康に献上し、その舌を唸(うな)らせたことから名付けられたという。その上品で格調高い白身に多くの漁師たちは干物が一番と口をそろえるが、塩焼きや酒蒸し、ムニエルなど料理のレパートリーはきわめて多い魚だ。もちろん定番の刺身もいける。

関東なら今は神奈川県の相模湾(湘南~小田原地域)、静岡県では網代~伊東と沼津や御前崎周辺の釣り船、千葉県では南房総の小湊(こみなと)周辺で釣ることができる。

アマダイと一口に言っても、あくまでそれは総称なのはご存知だろうか? 一般的に食べられるアマダイは赤、黄、白に分けられるのだ。なかでもシロアマダイはシラカワと呼ばれ、めったには釣れず、極上の旨さを持つ60cm程の大型種。ただ今回は一般的なアカアマダイがターゲット。サイズはおおよそ40cmとシロアマダイに及ばないが、アカアマダイも海底で行動する底生肉食魚なので、釣り応えは十分ある。ときたま50cm級も釣れるが、このクラスになると、なかなかリールが巻けないほどだ。

【アマダイ】分類:スズキ目アマダイ科、赤 黄 白の三種類が釣りの対象となる地方名:クジ、グジ(京都)、オキツダイ(静岡)など体長:20~60cm、ピンク色の光沢ある鱗に覆われ、腹側は白い分布:本州中部以南生息水深帯:30~150mの砂泥地に巣穴を作って生息している釣期:11月~5月捕食物:小魚、甲殻類、多毛類など食べ頃:12月~3月

アマダイ釣りのポイント

わずかに明るくなり始めた朝5時30分。網代港の「冨士丸」前に集まり準備を開始。釣り客は私たち3人に他2人、合計5人(釣り専門誌の記者もいた)のみ。左舷艫(さげんとも)K氏、右舷艫に本誌編集者、右舷センターに私、左舷ミヨシに釣り専門誌記者、右舷ミヨシに常連さん。

これまでも説明してきたが、通常、釣り座は大艫と呼ばれる最後部の左右が人気。釣り座の決め方は船宿によってまちまちだが、大艫は角なので270度の空間と海面と海底が使え、釣りの自由度が増すからだ。また、潮の流れにも関係がある。魚はエサを求めて潮の流れを上ってくる。つまり、船の前方から後方へ潮が流れている場合、魚は後ろから泳いでくるから最後部で竿を出している方がチャンスは多いというのがある。

とはいえ、一長一短ある。絶対条件ではないが、最前部のミヨシの座席の優位性もあるのだ。魚が潜んでいる根の上を微速前進するということは、常に新しい魚との出会いの機会が多くなる。当然、ファーストプレゼンテーションができるメリットも大きい。

他にも、海の上層、中層、低層にいる魚を狙う場合の見分け方などあるが、釣り座の優位性については刻々と変化する海の状況で変わる。様々な要素を検証したうえで、各々の経験などに基づいて釣り座を決めるのだ。そこから釣り人にとっての醍醐味(だいごみ)はスタートしている。その判断ひとつで釣れるか釣れないか、自分の読みは当たったのかどうか結果が出るのだ。

また、釣り全般に通じることだが、アマダイなどの底生肉食魚には特にエサのつけ方が重要なポイント。

【オキアミの付け方】(1)姿形の良いオキアミを選ぶ、プリプリでみずみずしく、目が付いているもの(2)尻尾の手前の第一関節を切り、そこに針先を入れる(3)ハリ先はオキアミの背中の内側にそって身のセンターに通す(4)ハリの結び目まで通し、腹側にハリ先を抜く(5)ハリが通ったオキアミが真っ直ぐになるように整える(6)通している間に切れたり、潰れたりしたら交換してやり直す

オキアミは日向には置かず、なるべくクーラーの中や日陰に置き、少量ずつ使用すること。エサが痛めばそれだけ食いつきが悪くなるからだ。ボイルと生のものがある場合は、比較的ボイルは浮き、生は沈むので使い分ける。

そして実際に、釣り始めて中身の色が薄くなったオキアミは即交換。食い渋っているときやオキアミの頭だけ齧(かじ)られるときは、第2・第3関節まで切る。ミソの詰まった頭は魚も好んでいることがあるのだ。また、アピール度を上げるために2匹を抱き合わせて付けるのも手だ。ハリ先が隠れるメリットもある。

オキアミを付けたら、その動きも当然、大切。エサがフワリと持ち上がり、ゆっくり(落ちる(フォール)する、この時が最も魚に人の気配が気取られない瞬間なのだ。浅い水深の場合はリアクションで食わせる技もあると思うが、経験上では海の底の魚は、より自然な動きのエサのほうが食い付く可能性は高い。出港やポイントに到着する前には、こうした知識を頭のなかで復習、そしてイメージしておこう。

今回の釣具データをチェック!

【今回使用したアマダイ釣り用タックル】ロッド:全長2.1m、オモリ負荷30~80号リール:小型電動リールライン:PE2~4号が200m巻いてあれば心配ないリーダー:フロロカーボン5号、約2mハリス:フロロカーボン4号2本ハリ

【今回使用しアマダイの仕掛】●中型片テンビンのふかせ仕掛仕掛:2本ハリ、全長は2.5m~3.0m(先端から80cmに枝ハリ20~30cmを出す)ハリス:フロロカーボン4号、最先端のハリの上20cmのところにガン玉オモリハリ:チヌバリ4~6号前後、オキアミ専用ケン付きハリ4~5号などオモリ:80号(PE道糸が2号以下ならオモリは60号でOKの場合も)アマダイのエサ:オキアミ

【お世話になった船宿】網代港「冨士丸」 www.gyo.ne.jp/a_fujimaru/

(12月14日配信予定の第2回に続く)