みなさん、ミンガラーバー!(ビルマ語でこんにちわ!)
「ミャンマーって10回言って!」という早口言葉が真っ先に思い浮かぶ国。日本でも有名なアウンサンスーチーさんの民主化運動を経て、2011年、半世紀続いた軍事政権に終わりを告げ、急速に民主化が進められています。
日本の1.8倍の面積に、ビルマ族70%を筆頭になんと約135の民族が! 子供の頃から仏教の五戒(他人に危害、被害を与えてはいけない)を学んでいるからか、世界有数の安全度といわれる。今まさに開国されたという印象の急成長中の国、面白そうです!
外国人の陸路入国は2013年から可能に。厳しかったんですねー。日本人ならビザ代要らないよって国も多い中、US50ドル(約6000円)を払って、いざ入国!
旧首都ヤンゴン(現首都はネピドー)に入るなり、「カーッ、ペッ!!」というタンを吐く音に迎えられた。男性も女性も子供も僧も、誰もが道にタンを吐いている。どうやらここでは普通の行動らしい。
町はポイ捨てでゴミがあふれ、砂埃と排気ガスにまみれ、湿度と暑さで呼吸が苦しくなる。ハエのたかる未知の食べ物の屋台が並び、コンビニなどは見当たらない。
それなのに、宿泊料はこれまでのアジア諸国に比べると倍近い。でもWi-fiはほとんどつながらない。そんなだから、水洗トイレを見たときは奇跡に思えた。
これまで訪れた国とはガラリと違い、過ごすのが大変そうな予感。でも、民主化という大革命を起こした国の人々は今、ほがらかな笑顔いっぱいで、外国人にもとても優しい。なんだか幸福度が高そうです。
そうそう、教育は寺院で無料で受けられるから、アジア最貧国と言われながらも職字率90%なんだって! すごいよね!!
胃袋がカルチャーショックの“おもてなし”
ヤンゴンでは南米チリでの旅友・モコと合流。彼女はイースター島で皆がモアイを追っかけている傍ら、ひとり現地の漁師にスペイン語を学び、釣った魚やワインを分けてもらうツワモノ。日本人が「ミャンマーの食事は口に合わない」と口をそろえるここでも、彼女は「地元の人と同じ物が食べたい」と意思は固い。
町のいたるところに出現する屋台料理といえば、串モツ「ドートウッ」。見た目もグロく、ミャンマーに住む日本人も、なんならミャンマー人に聞いても「絶対おなかを壊す」というシロモノ。私は絶対に食べまいと決めていたのに、酔った勢いで気づけばモコとドートウッの屋台に座っていた……(汗)。
「おいしい~!」といって串モツをつまみにミャンマービールをあおるモコ。それを横目に私は苦笑いしながら煮卵をつついていたが、なんだか失礼にも思えてきて、こわごわ味見してみる。
「う、うん! おいしい!……かも!」。しっかり煮込まれたスープに絡めたモツは、甘辛のタレがビールにピッタリだ。
その様子を眺めていた隣のミャンマー人が、ご親切にも物珍しそうに食事をする私たちに何かをくれた。
「ギャーーーーーーー!!!!!!」
さすがに酔いが覚めて叫んだ。それは自分の親指よりも大きいイモ虫!! 旅人のくせにこの世で一番苦手なもの、虫。ちゃぶ台ほどの狭いスペースでイモ虫の乗った皿を「食えよ!」と笑顔で勧める優しき現地人。
もし、私が万が一、大嫌いな虫を食べるような時が来るとしたら、それは「夢だった旅番組の仕事でプロ根性を試されるとき」だと思ってた。まさか、イモ虫チャンスがこんなフイに訪れるとは。揚げてあるからマシなのかなぁ……?
現地人のおもてなしをムゲにするわけにもいかず、ありったけの勇気をふりしぼってなんとか歯で噛みちぎってみた。グニュ……。「ヒーーーー!!」
え、味? そうねぇ、アーモンドやヘーゼルナッツをクリーミーにした感じとでも言ったら良いであろうか……。
日本文化はミャンマーの若者に大人気!
興味深くも内臓勝負のカルチャーショックが続くなか、ヤンゴン東部で日本のフェスティバルが行なわれるという朗報が。私は胃とメンタルの休息を求めて(?)列車に乗り込んだ。
フェスティバルは入場フリーで、おまけに屋台もタダという大サービスで日本の食べ物を配っていた。
寿司シャリサイズの謎のおにぎりや、たこ焼き、お好み焼きなどにミャンマー人が長蛇の列。日本人の私も便乗して日本食をゲット。ひさびさのソースの味。ウ、ウマイ(嬉)!
町の雰囲気にそぐわないほどの大規模な野外特設ステージで、原宿文化にアニソン・ライブ、ファッションショーなど若者カルチャーやら、和太鼓ショー、カラオケ大会が繰り広げられる。カラオケは事前オーディションがあったのか、ミャンマー人が宇多田ヒカルやZone、中西保志など、カンペを見ながら見事、日本語で歌いきっていた。
キラキラ目を輝かせながらステージを楽しむミャンマーの若者たちをうれしく眺めつつ、ポイ捨てによる足元の大量のゴミを見て、次はゴミ袋も配ったら良いと思った。
和の力で元気になった私は、ミャンマー最大の聖地・シュエダゴォンパヤーへ。滑り込みで行ったので、禁止のノースリーブ・ワンピ姿だったけど、たまたま持ち合わせていた浴衣を見せるとOKが出たので、思いがけず浴衣で寺を歩く。
そのおかげか、寺院内で僧のおじいちゃんに説法を説いてもらえることに。「息を深く吸って~、吐いて~。ゆっくり繰り返して……。世界は皆同じ。ボーダーはない。何人でも関係ない。皆同じ……」。
ありがたく聞いていたが、長くなってきたので、おじいが目を放した隙に退散した。
ミャンマーの旅はつづく……。
【This week’s BLUE】 シュエダゴォンパヤーの入り口。夕方の青空に神々しく輝き、圧倒的存在感!
●旅人マリーシャ 平川真梨子。9月8日生まれ。東京出身。レースクイーンやダンサーなどの経験を経て、Sサイズモデルとしてテレビやwebなどで活動中。バックパックを背負う小さな世界旅行者。【http://ameblo.jp/marysha/】Twitter【marysha98】