寒波が押し寄せるなど厳冬となったこの冬。陸地でも十分寒いが、潮風をダイレクトに受ける海の上はさらに極寒だ。それでも我ら週プレ釣り部の釣り熱は覚めやらず、いざ出港へ!
*** 気象庁の予想では、今年の冬は暖冬になるはずでしたが、見事にハズレ。毎日のように大陸からの冷気が、日本列島を吹きさらしている。もちろん、海はさらに風が強く、この時期はしばらく出港もできないのだ。
この日は、そんな天候大荒れの間隙を縫って出漁。ひたすら魚を求めて荒れた冬の海を彷徨(さまよ)った。当然、寒さで体はこたえるが、それでも海に出るのはなぜか。それは、冬には冬の楽しみがあり、寒くなればなるほど美味しくなる魚がいるからだ!!
というわけで、今回のターゲットはマハタ&ショウサイフグ! 日本の冬の風物詩、鍋にドンピシャの高級魚だ。庶民には高根の花だが、マハタに限らずハタ類(キジハタ、アカハタ、クエ、アカジン、アーラミーバイ等々)は上品で旨みの乗った脂と得もいわれぬ食感。フグもトラフグ、ショウサイフグ、アカメフグ、マフグ等々、その身から溶け出す出汁(だし)に、噛むほどにじみ出る旨み……もう、たまらん!
というわけで今回のスケジュールは、午前中はマハタを中心になどの根魚釣り、午後からはショウサイフグ(時たまアカメやトラフグ)の2本立て。ちなみにマハタとショウサイフグの外道(ゲスト)はヒラメ、マトウ鯛、アイナメ、ホウボウ、カサゴ、カワハギ、カレイなどだ。
まずは前半のマハタがどんな魚か説明しよう。マハタは、魚市場でも稀(まれ)な存在。水揚げはあるのかも知れないが、あったとしてもそのまま高級な料亭に直行するのだろう。だから、鮮魚が食べられるのは一本釣り漁師か釣り人だけの特権なのだ。
もともと繊維質でしっかりした白身魚なので、特に身の引き締まる春~夏は薄造りやしゃぶしゃぶなどに最適。一方、冬は脂がノって煮付けや鍋に重宝される。そして、釣ったその日より翌日か2~3日置いたほうが旨みが出るともいわれている。熟成すると身にイノシン酸が出て、旨み成分が形成されるからだ。運良く釣れた人は食べ比べてほしい。新鮮な白身魚のもつ爽やかな感じとは違い、熟成された深みのある旨みが味わえるはずだ。
【今回使用したマハタ釣り用タックル】 竿:ALPHATACKIE真潮V60-120、全長2mの7:3調子2ピースロッド リール:SHIMANO製電動丸600H(小型電動リール) 道糸:PE4号 リーダー:DUEL製ナイロンフロロ20LB(7号) 仕掛け:幹糸10号、ハリス8号70cm、ヒラメ仕掛け) エサ:活きマイワシ(15cm前後の中葉イワシ) オモリ:80号(ステ糸4号50cm)
マハタ釣りの極意を伝授!
では、そんな希少なマハタをどう釣ればいいのか。一説には、ここ関東ではあまりかからないとも言われている。なおさらハードルが高いのだから事前にしっかりリサーチ。その心掛けをしっかり頭に刻んでおこう。
【マハタ釣り極意】 1.イワシの恐怖を感じろ! マハタが近づくとイワシが逃げ惑って暴れているブルブル感が伝わってくる。マハタに限らず、フィッシュイーターがエサに近づいたことを手や竿先で捉え、本アタリに備えるのだ。
2.仕掛けは無事が確認 マハタの歯は鋭いので釣りあげた後やバラした後は必ずハリスに傷がつくことがある。指で触ってみてザラザラしてたら新しい仕掛けに交換が必要だ。
3.瞬発力が重要! マハタがかかったら、アワセを入れたあと、とにかく素早く5m(リールを4~5回)くらい巻くこと。マハタはエサを食ったら急いで根に潜る習性があるのだ。潜られたら壁に張り付いてなかなか出てこない。そこでハリスや道糸が根に擦(す)れて切れれば、ゲームオーバー! また、孫バリや親バリがスレ掛りしている場合もあるので注意。ロッドは手持ちでドラグを利(き)かせ魚信(アタリ)のショックを吸収しながら巻く。こうすることで魚のバレが軽減する。
4.イワシの活きが大事 配られたイワシは小網ですくう、網が無ければイワシが弱らないように頭の部分を軽く押さえること。強く掴(つか)むとウロコははがれ、弱らせる原因になる。親バリは口の中から上あごの堅い部分に抜き、孫バリは背びれの後か腹びれの後ろに浅く刺して抜く。なるべく素早く、投入時に外れないよう正確に。他に左右の鼻の穴に通す方法も。
5.投入はゆっくり慎重に 投入はイワシが先で、道糸はサミング(親指で糸を抑え、軽くブレーキをかける)する。エサは生きているので落下速度が速いと弱ってしまう、また、グルグル回ってハリスと幹糸がからんでしまう。
(1月25日配信予定の第2回に続く)