40℃くらいのぬるめのお湯に20分つかるとリラックス効果、大幅アップ!

北風が吹きすさぶ、この季節、熱いお風呂に入るだけで生き返るような心地がするもの。体が温まるだけでなく、これまで体臭、毛髪、冷え解消などで話を伺った各分野の専門家もその効能を絶賛していた。

そんな万能薬ともいうべき入浴だが、入り方によっても様々な効果が得られるという。“お風呂博士”として活躍するバスクリン・石川泰弘氏に“達人の入浴術”を伝授してもらった。

■精神的なストレスを解消し、リラックスする

「入浴は緊張状態を解きほぐすのにとても役立ちます。基本の入り方としては、ぬるめのお湯でゆっくりの全身浴。ぬるめのお湯は、副交感神経を優位にしリラックスさせてくれます。ぬるめと熱めの境目は個人差もありますが、40℃が目安

肩まで隠れるたっぷりのお湯に、15~20分ほどゆっくりつかりましょう。すると浮力によって体重を感じなくなり、関節や筋肉への負担がぐんとラクになります。同時に、筋肉がゆるむため脳もおのずとリラックス状態に。そもそも風呂に入るだけで、コレチゾールというストレスたんぱくが減少しますが、この入浴法でさらに効果がアップします」

■寝付きの悪さや浅い眠りを改善し、深い睡眠がとれる

「お風呂は上質な睡眠に欠かせません。一般的にお風呂で疲れがとれると言われますが、入浴そのものよりもそれによって熟睡できるから疲れがとれるのです。

人間の体温には24時間のリズムがあって、朝4~5時が一番低く、18~20時がピークで、体温が下がると眠くなります。良い睡眠を得るポイントは体温を上手に下げること。

40℃のお湯に20分つかると、体温は1~1.5℃ほど上昇。そこからゆっくりと熱放射しスムーズに体温が下がっていきます。眠る1時間半前にお風呂を出ておくのがベストでしょう。

もし、入浴後すぐに寝るときは、あまり体温を上げない入り方がポイント。つまり、熱いお湯に入らない、長く入らないことです。額からうっすら汗が出たら体が温まったサイン。時間にして6、7分程度、体は洗わずにぱっとつかるだけでもOKです。体温が上がりすぎずにスッと下がって眠りに入りやすくなるでしょう」

入浴でダイエットは可能?

■集中力を高め、シャキッとできる

「集中力を高めたいとき、なんだかボーっとしてしまうときは、短時間で熱めのお湯が基本です。熱めのお湯で交感神経が優位になりアクティブになれます。朝なら無理に湯船に入らず、43℃くらいの熱いシャワーを浴びるのがいいでしょう。お湯がバーっと当たるのもいい刺激になってすっきりできますよ」

■ズバリ、入浴でダイエットは可能?

「実はお風呂につかるだけではカロリーはそんなに消費できません。運動量にすると、安静時を1とすると入浴時は1.5。ちなみにウォーキングは3になります。

人間は酸素を使って糖と脂肪を燃焼しエネルギーを得ています。体が温まり、血液の温度が上がるほどヘモグロビンが酸素を離しやすく、エネルギーを作りやすい状態に。つまり、体を温めるとカロリーを消費しやすくなるんです。

ですから、エクササイズで汗をかいてからお風呂ではなく、実は運動はお風呂の後、あるいは入浴時にストレッチをするほうがカロリー消費としては効率がいい。筋肉をちょっと動かしたり、肩をぐるぐる回す、おなかをねじるなど狭い湯船でもできることにトライしましょう」

■入浴で食欲を抑えられるってホント?

「実は、お風呂と食事のタイミングにより食欲を抑えることが可能です。お風呂に入ると肌が赤らみますよね? これは内臓の血液が体表面に奪われるからで、結果として内臓の動きが鈍くなります

そのため、入浴直後の食事は胃に負担がかかりますが食欲は抑えられるのです。また、消化に時間がかかるため腹持ちが良くなり、夜更かししてもおなかが空きにくいというメリットもあります」

●石川泰弘(いしかわ・やすひろ)1962年まれ、東京都出身。株式会社バスクリン広報責任者。温泉入浴指導員(厚生労働省規定資格)睡眠改善インストラクター(日本睡眠改善協議会認定資格)の資格を持ち、全国各地で講演を実施。また、「お風呂博士」として雑誌や会員誌などの原稿を執筆。著書に『バスクリン社員がそっと教える肌も腸も健康美人になる入浴術26』(スタンダードマガジン)ほか