3千もの仏教遺産が点在するバガンは、世界遺産の登録待ち!

ミンガラバー! ヤンゴンからバスで約10時間、夜中のバガンに着いたよ!

バガンはミャンマー屈指の仏教聖地。アンコールワット(カンボジア)、ボロブドゥール(インドネシア)に並ぶ、世界三大仏教遺跡の地です。

今まさに世界遺産にノミネート中ですが、まだ決まっていないのに入場料はアンコールワットと同じ(US20ドル)に値上げされました。気が早いよね…(苦笑)。

バガンはミャンマー国内でも人気! かわいいピンクの袈裟(けさ)を着た珍しい女性のお坊さんも観光に来てました!

到着のバス停は町の中心部のはずが、去年から町外れに移転したとか。なぜ、わざわざ不便な場所に…? そんなワケで「遠い・夜中・寒い」の条件を前に、バスを降りた乗客は一斉にタクシーの客引きに囲まれる。

半分眠った脳みそでネゴシエーション(交渉)開始。最安値を提示した、まるまると太った運転手に決定…したのはいいんだけど、彼の「コッチコッチ!」という手まねきに着いていくと、待っていたのは予想だにしなかった…馬車!

馬車あるんだ! 朝からロマンティック~! アハハ!! 「超寒いんですけど~(笑)!」

私たちを待ち構えていたのはこちらの馬車です

「だから、俺が一番安いって言ったじゃん! ちなみに町はココから2、3kmあるよー」と運転手はニコニコ。

ノロノロ走り始めた馬車の横を、現代の乗り物たちが朝の空気とともに涼しげに通過していく。ああ、私の頭は冴えてなかったのか。旅人のプライド(安さ)にこだわりすぎたのか。周りの旅人はほとんどが車をチョイス。私は、馬車をシェアした日本人女子大生と「寒いね。馬車いいね。ウフフ」と自分らのチョイスを正当化し、肩寄せあいながらガタゴト道に体を揺さぶられた。

クッションが敷かれた座席だけど、しっかりつかまってないとガタゴト道で転げ落ちそうになる

「田中! 田中!」の声に振り向くと……

失敗したかと思いきや、結果、馬車の旅が最高でした! 馬車でしか通れない場所でサンライズを拝むことができたしね。

そして町の中心部に到着すると、私たちは朝焼けを見るために仏塔に登った。遺跡の中は裸足がルールで、冷たい床を踏み階段を登ると、目の前に広がるのはもうすぐ世界遺産のオールドバガン!

広大な平原に仏教建築物が点在する幻想的なミャンマー仏教の聖地。バガン王朝の全盛期11~13世紀には数十万もの仏塔や寺院があったそうで、今でも3千弱は残っているだとか。

遠くを眺めると気球があがっている。ツーンと研ぎ澄まされた空気の中に昇る太陽。これぞ「旅」を感じる瞬間だ。

まだ月の出ている早朝。この仏塔に登りバガンの朝焼けを拝む

ニョキニョキ生えた仏塔と気球。思わずジオラマ撮影

門番のやさしいおじちゃんが寺院内を無償で案内してくれた。数年前から落書きなどされるようになったとか

馬車いいね! このまま馬車で観光を続けよう! すっかり気に入り馬車で寺院巡りをしていると、突然、「田中! 田中!」と呼ぶ声が。これまでも日本人とわかると「コニチワ! 味の素! カワイイ! 愛してる! ミヤサコです!」と声をかけられ続けてきたけど、田中と呼ばれたのは初めて。

振り向くと、顔におしろいのようなものを塗ったおばちゃんが「タナカを塗らんかね?」と言う。そう、タナカというのは木が原料の化粧品で、ミャンマー人はみんなこれを塗って日焼け防止をしてるんです。

女性はわりとキレイに塗ってあるけど、子供は泥んこ遊びしたみたいなコとかもいてカワイイ。ほのぼの~

気付くと私は、ヤンゴンよりおっとりした雰囲気のバガンの虜(とりこ)になっていた。神秘的な仏教遺跡のパノラマ、人々の笑顔は満点だし商売にもマジメでボッタクリもない。おいしくて安いレストランもポツポツある。

満ちたりた気分で、宿の近くで黄金に輝くシュエジゴン寺院まで散歩に出かけた。「バガン、のんびりしてていいな~」。もはやこの土地に何の疑いも持たなくなった私に、のんびりひなたぼっこ中のおばちゃんが声をかけてきた。「あっちにラッキーブッダがあるよ!」

シュエジゴン寺院は青空に映える素敵なお寺

おばちゃん集団に囲まれた!

今思えば怪しすぎるネーミング(笑)。でもね、バガンの人たちはイイ人ばっかで疑いたくなかった。しかも寺院だし平気だろう…と連れて行かれたのは寺の外にある小屋。そこには金色の像が鎮座している…。ん……? 不穏な空気を感じたそのとき、突然、おばちゃん集団に囲まれた!!

よみがえるアルゼンチン強盗事件の悪夢。あれよあれよという間に手をひっぱられた私は、金色の像に向かって水をかけさせられ、パンくずをお供えさせられていた。

「はい! 3000チャット(約300円)ちょーだい!」とおばちゃん、ニヤリ。

ここでラッキーブッダ事件は起きた! おばちゃんグループのひとりとブッダ像

「キター! やっぱりかーい(笑)!」

一瞬の出来事とベタな展開に笑うしかなかった。しつこくお金をねだるおばちゃんたちとの抗争は続いたが、「なんでやねん! もういいよ!」と若手の芸人の幕締めのように、足早にラッキーブッダを後にした。

油断した私が悪いんだけど、バガンでの素敵な旅にとんだ邪魔が入ったぜぃ。皮肉にもラッキーブッダのせいでアンラッキー(笑)。トホホ……。みんなもラッキーな話には気をつけて!

そして私は足がギリギリ納まるかほどの狭ーいバスに乗って、次の町へ移動するのだった。ミャンマーの旅は続く…。

【This week’s BLUE】青いおはじきのようなもので、指で弾(はじ)くビリヤードを楽しむバガンの人たち。 ●旅人マリーシャ平川真梨子。9月8日生まれ。東京出身。レースクイーンやダンサーなどの経験を経て、Sサイズモデルとしてテレビやwebなどで活動中。バックパックを背負う小さな世界旅行者。【http://ameblo.jp/marysha/】Twitter【marysha98】