市場でもめったに見ることのできない良型マハタ!

冬といえば鍋! せっかくならば、釣り人だけが食べられる高級食材を!というわけで、悪状況のなか、マハタとフグを求め週プレ釣り部は出港!

***まだ暗い朝方、松部港に到着。小雨に加えて風が強い。荒天を予測したのだろう、釣り客は私たち2人の他に、1人だけだ。40分ぐらいでポイントに到着。三本松という岩礁帯、水深は30m~60mで、至るところ切り立った岩礁が散らばっている。いかにも根魚(ロックフィッシュ)がいそうだ。

案の定、未明までの大時化(しけ)の名残(なごり)でうねりが高く、潮は薄暗く濁り気味。船は大きく上下している。今回お世話になったのは、初回でも登場した「信照丸」さん。当船宿では昨年春に6本のマハタを爆釣したが、今回は大丈夫だろうか。

さっそく投入。着底後、糸ふけを素早く巻き取り、道糸がほぼ直線になったところで、オモリを底から2m上げて魚信(アタリ)を待った。私の場合、この時の仕掛けの状態は、ステ糸50cm(オモリを付ける先端の糸)。底から2mオモリを上げたので、エサのイワシは底から50cm+2m=2.5m辺りにいることになる。

しかし、この日はうねりが高く2.0mくらいは上った。状況によっては誘いになるが、大きなうねりなどは長くて柔らかい竿で吸収してイワシを安定させる。しかし、うねりに加え、起伏の荒い根周りで、活きイワシのベストポジションを維持するのは至難の業だ。やはり1回目の流しでは誰も釣れなかった。

先ほどと同じく水深50mのところへ移動。相変わらずうねりがあり、ミヨシ(船の先端)に座る私と釣り友K氏には釣りずらい、エサの棚が安定しない。と、その時、後ろのK氏が「きたぁー!」という声。竿が大きく曲がっている。K氏は2.7mの長竿でターゲットを捉えたようだ。

しかし、間髪を置かず「あっ」っという感嘆とともに曲がっていた竿が元に戻った。…どうやら根に潜られラインブレイク(切れること)したようだ。「くそっー、デカかったのに」と本人は相当悔しがっていた。う~ん、今日の釣りは難しいぞっ!

頼りの魚群探知機も…

普段は心強い味方の魚群探知機「探見丸CV-FISH」も、こうも大きなうねりでは…

再び場所を変えるも、エサが安定しないのと、底立ち(オモリが底に着く確認)もままならない。私は魚群探知機「探見丸CV-FISH」を設置していた。魚の反応だけに限らず、水深や海底形状も探ってくれる優れものだ。

だが、なかなか画面と海底がリンクしない。船は風に船首を立てていても、うねりが大きすぎて結構左右にずれるのだ。探見丸は高低差に強く再現性はいいが、根の左右(船の左右)の状況までは映らないので、画面と底立ちの不一致を招いているのだろうか。

この日、画面を良く見ながらオモリの位置を調整していたのだが、合計4個のオモリをロストしてしまった。

これまでエサの活きイワシがクンクン逃げ惑う場面は数回感じられたが、なかなか食ってくれない。定期的に訪れる高いうねりと船の揺れ、何回も被る飛沫(しぶき)、魚信のでない竿先。

もうすでに午前10時を過ぎた。このままこの高波に邪魔されて釣れないのかと思ったその時、それは突然起こった。

ゴゴンッ、グッグイーン!

竿先が海面に刺さった! きた、食ったー! リールのスプールを指で押さえて、ガッツンっとアワセた。間を置かず、やや強引に巻く。シュシューっと糸が出るが、堪えて巻く。また糸が出る、止まる巻くを何回か繰り返した。やがて巻く回数の方が多くなってきた。

10mごとに色分けされているPEラインを見ると、残り10m。おっ、マハタだっ! 魚体が見えたが、それもデカイっ! 魚信から4、5分。魚の頭から玉網が入った。それも良型のマハタだ。身体全体にアドレナリンが湧いた。

ようやく釣れたマハタ! 縞模様は成長につれて薄くなる

K氏にもチャンス!

本命1尾目がでたところで、振り返るとK氏が竿を曲げている。ほどなく上がってきたのは定番根魚の「カサゴ」。大きい方だ。さらに、しばらくたって再びK氏の竿が大きく曲がった。今度は鮮やかな黄色のアイナメだ。このアイナメは身体の背中側半分が真っ黄色。これは、繁殖期に見られるオスの婚姻色だ。これは脂のって旨そうだ。ようやく調子が出てきたみたいだ。

ひと際、目を引く黄色いアイナメ。普段は迷彩色だが、この時期のみオスは色が変わる

再び、船上は静かになった。天候は一向に回復せず、海上は荒れている。予報では昼近くには一時、静穏になるようだったが、またハズしたなあ、午後は大丈夫かな?などと考えながら時間が過ぎた。

静寂を破ったのは、またまたK氏。「きたかっ!」と大きく合わせるが、竿先は戻らない。乗ったのだ。それもかなり重そう。道糸が船下に引き込まれている。ズッズズーッと糸が引き出されている。今までにない引きだっ。

おおっー、マハタだ! でかい、3キロはあるなっ!

K氏も驚きが隠せない。K氏もやっと1尾の本命が出てひと安心、しかも今日イチの良型だ。2匹もあれば鍋には十分。いやーっ、良かった良かった。

しかし、ますます波と風が大きくなり、船が大きく上下している。周りを見渡すと、陸地と船の間に大きなうねりを伴った波が入り、山が見えたり隠れたりしている。しかも波頭は白ウサギが何匹も飛んでいる。後半戦に陰りがでてきた。大丈夫だろうか?

その不安も、今しがた釣れた良型マハタの感激が上回って、顔は終始ニコニコだが、両手両足は船の揺れに踏ん張っていた。後半戦は一体どうなる?

【釣り場データ】 場所 :千葉県勝浦松部港(都心から車で約2時間) 釣り船:信照丸(予約は0470-73-3483または080-1180-2691) 船長 :吉野 勉 船紹介:全長18.5m、全幅3.7m、電動電源、トイレ3、循環水、探見丸 釣り物:現在、マハタ五目乗合、ルアー乗合、フグ乗合で出船中 交通 :車は都心からアクアライン利用で鶴舞IC下車→松部港 料金 :午前ハタ五目乗合126,00円(活きイワシと氷付き)

午前中の釣果。悪状況のなか、午後は釣れるのか?

(2月1日配信予定の第3回に続く)