昨年12月、虫の混入で自主回収となり、店頭から消えたペヤング。コアなファンが多いためか、復活を待ちわびる“ペヤングロス”な人たちが続出中だという。

どうして、これほどまでにペヤングを求めてやまないのか。

インスタント麺研究家の大山即席斎(おおやまそくせきさい)氏は、その理由を「味の変わらなさ」、そして、「一貫したブランドイメージ」にあると語る。

パッケージを見てみましょう。これもデザインは発売当初からほとんど変わっていません。白地ベースに青地に黄色で“やきそば”、赤く“ぺヤング”。おなじみですね。

でも、ここで注目したいのは容器のほう。今やほとんどのカップ焼きそばの容器は発泡スチロール製になりましたが、ぺヤングは変わらずプラスチック製。レトロ感が漂って、いい感じです。

実はこの容器、あまり知られていないんですが、二重になっているんです! おそらく、保温性や持ったときに熱くないように考えられてのことなんでしょうが、かなりコストはかかるはず。発泡スチロール製にすればいいものの、発売当初のコンセプト“屋台で食べる焼きそば”感を出すためにあえてプラスチック容器を貫いているのだろうと思われます。その姿勢はあっぱれ!

現在、4月の復活に向けてパッケージ刷新のウワサがささやかれていますが、古きよきところは残してほしいというのがファンの本心ではないでしょうか」

さらに、ぺヤングの変わらない姿勢といえばCMのキャラクターも有名だ。

「初代は桂小益(現・桂文楽)、2代目は立川志の輔と長きにわたってひとりの方が務めるのが特徴です。“ぺヤングといえば、あのCM!”というブランディングが上手ですね。ほかのカップ焼きそばのCMって、言われたところでパッと思い浮かびませんから」

初代の桂文楽師匠は1975年から17年にわたってCMキャラクターを務めた。そして現在までは、2代目の立川志の輔師匠がずっと担当している。

中身だけでなく、見た目もPRイメージも変わらず一途…。その親しみやすさこそが消費者に安心感を生み、こうして店頭から消えたときの喪失感をもたらせているようだ。