入浴法によって、快眠やストレス解消、食欲抑制など多くの効果が得られるお風呂。
入浴剤を使えば、さらに様々な効果が得られるが、その種類や正しい選び方を知っているだろうか? “お風呂博士”として活躍するバスクリン・石川泰弘氏に聞いた。
■医薬部外品と浴用化粧品がある
―値段や香りなどに目がいきがちですが、入浴剤の正しい選び方とは?
「ひとくくりに入浴剤といっても、主に医薬部外品と浴用化粧品に分けられます。『医薬部外品』はそれだけ有効成分が多く、温浴効果を高め、肩こり、腰痛、打ち身など人体への効能があると厚労省に承認されたもの。最初に書かれている効能が、メーカーが一番に狙った効果です。
一方で『浴用化粧品』は化粧品の仲間で、肌に潤(うるお)いを与えたり清潔に美しくするためのものです」
―そんな違いがあったとは…知らずに使っていました!
「また、入浴剤の剤形によっても特徴があります。粉の温浴タイプはどのメーカーも硫酸ナトリウムが主成分で、主な効果は保温。湯上りポカポカが特徴ですね。色と香りがつけやすいので、バリエーションがたくさんあります。
また、よくあるのが炭酸ガスタイプ。『きき湯』や『バブ』などで、主な効果は血行促進です。上から覆って保温するのが粉タイプとすると、中の血液をまわすのが炭酸ガス。例えば、肩こりや腰痛といった末端冷え症には、血を循環させる炭酸ガスがオススメです。
もうひとつは液体タイプ。保温効果は強くありませんが、高い保湿効果があって、平気気温が14℃を切り乾燥してくると売れ始めます。どれかひとつに絞る必要はないので、そのときの体調にあわせて使い分けるといいでしょう」
入浴剤の効果はどれくらい持続する?
―ちなみに、入浴剤の効果ってどれくらい続くものですか?
「粉タイプは、追い炊きしてもお湯をぬくまで効果が持続します。液体の保湿効果も同じですね。炭酸ガスは2時間ほどでだんだんと抜け出し、3時間でほぼ効果がなくなります。追い焚きするなら追加で入れたほうがいいでしょう」
―カラフルな入浴剤も多いですが、残り湯を洗濯に使ってもOK?
「安全性は各メーカーで異なりますが、大手メーカーの商品はほとんど使えます。なかには追い焚きできないとか、残り湯を洗濯に使えないなど注意書きがある商品も。この2点は裏面に記載してありますので確認しましょう。
また、食塩をたくさん含むバスソルトや温泉地のおみやげの湯の花などは風呂釜を傷めるため追い焚きは要注意です」
―お店では趣向を凝らした入浴剤が並んでいますが、香りや色などトレンドは?
「入浴剤における香りのトレンドとしては、大まかにフレーバーからくる流れがあります。例えば、食べるマンゴーが流行すると、シャンプーや柔軟剤のマンゴーフレーバーが出て、それからマンゴーの入浴剤が出るといった具合。人気があるのは、一般的に女性にはローズ系、男性にはかんきつ系。とはいえ、色や香りは自分の好きなものを選ぶのがベストですね」
●石川泰弘(いしかわ・やすひろ) 1962年まれ、東京都出身。株式会社バスクリン広報責任者。温泉入浴指導員(厚生労働省規定資格)睡眠改善インストラクター(日本睡眠改善協議会認定資格)の資格を持ち、全国各地で講演を実施。また、「お風呂博士」として雑誌や会員誌などの原稿を執筆。著書に『バスクリン社員がそっと教える肌も腸も健康美人になる入浴術26』(スタンダードマガジン)ほか