「今年は醤油ラーメンが再ブレイクしますよ」
と言うのは、美人ラーメン評論家の本谷亜紀(ほんや・あき)さんだ。
「昨年12月に『ミシュランガイド東京2015』が発売されましたが、その中には、星はつかないけれども、主に5000円以下で食べられてコストパフォーマンスの高いお店を紹介する“ビブグルマン”というページがあります。
今回、そこには22店のラーメン屋さんが載っていて、主に醤油ラーメンを出すお店が多いんですよ」
でも、それは海外の人が選んでいるグルメガイドだから、単に東京にある老舗のラーメン店をメインに紹介したということなのでは? そして、ラーメンの基本は醤油味だから、単にその流れで醤油ラーメンが多いのでは?
「いえ、ビブグルマンに載っているのは、老舗のお店がメインではありません。ここ5年以内くらいにオープンした新しいお店が中心なんです。実は、これらのお店は昔ながらのあっさり味の醤油ラーメンではなく、油の張った“ネオ醤油ラーメン”を出している店なんですよ。
スープは、だし、タレ、油の3つで構成されているんですが、これまでの醤油ラーメンは油が張っていないものが多く、食べ応えはあまりなかったんですね。でも、ネオ醤油ラーメンは油が多く張っているのが特徴です」
コクが出てリッチな感じ
油が多いということは、油っぽいということ?
「いや、基本的には鶏油を使うので油っぽいということではなく、コクが出てリッチな感じになるということです。
ラーメンはここ数年、豚骨などの濃厚なスープが中心でした。濃厚なスープは食べ応えがあるので、あっさりしている醤油ラーメンは置いてけぼりをくっていたんですね。でも、その食べ応えがない部分を油でカバーしているわけです。今、醤油ラーメンは、かなり進化しています」
ということは今年、その“ネオ醤油ラーメン”が流行すると?
「そうです。この1年くらいで、ネオ醤油ラーメンを出すお店がすごく増えています。ラーメンファンの間では、ジワジワと人気が出ていたんですが、ビブグルマンに載ったことで、ラーメンファン以外の人にも注目されています」
意外に思えるかもしれないが、今、醤油ラーメンが再ブレイク中なのだ。
(取材/村上隆保)