大きな揺れに気を抜くと転んでしまいそうな船上。正午を回っても海況は変わらず……

海面が大きくうねる状況のなか、マハタを無事GETした週プレ釣り部。ただし、喜ぶ一方で相変わらず波は立ち、船の上ではてんやわんや。午後のフグ釣りはどうなる?

***予定では、午前からマハタ、そして午後はこれまた高級鍋材のフグを狙うはずだった。しかし、折からの強風とうねり。船長に今後の海況を聞いてみると「まぁ、釣りづらいだろうけど、近場を流すから出られるよっ!」とのこと。

釣り友K氏と、しばし相談して、結果…午後もやったろうじゃないか! 週プレ釣り部は不退転の覚悟を決めた。我々は午前の釣果の満足度と相まって、興奮していたのだ。遠くの水平線は白くギザギザ状態。敵は白波立つ沖にありっ!

というわけで、午後のターゲット・ショウサイフグについて…。東北地方岩手県以南の全国沿岸部、特に西日本に多く分布するフグだ。関東では鹿島~外房~東京湾で数多く見られるが、関東で釣られ始めたのは千葉県の大原が発祥とされている。1975年頃に大原鈴栄丸の常連釣りグループに、外道として釣れるショウサイフグをギャング針で狙って釣ったのが、徐々に広まりフグ専門船が定着するようになったようだ。

東京(江戸)でフグというと、明らかにトラフグではなかったようだ。江戸時代前期、松尾芭蕉の俳句にある「ふくと汁」はショウサイフグの可能性が高く、この汁は味噌汁であったらしい。

フグの値段はトラフグを頂点にマフグ、アカメフグの次がショウサイフグになる。高級なトラフグに比べれば庶民的かもしれない。釣期は秋から春にかけてが最盛期だが、沖釣りでは周年釣れる。ちなみに梅雨~初夏にかけての産卵期はオスに白子が入る。

硬い二枚歯を持つショウサイフグは、水深100mより浅い沿岸部でエビやヤドカリなどの甲殻類や小魚を中心に捕食している。やっかいなのが、その食べ方だ。その場に留まりながら突っつくので、衝撃が小さく、釣り人に気づかれずに食べてしまうのだ。

道具で魚信を見極めろ!

■ショウサイフグ釣りのタックルと釣り方

【タックル】ロッド:カワハギに勝るとも劣らないエサ取り名人なので、エサをついばむ極小魚信(アタリ)をいかに捉(とら)えるかが勝負の分かれ道。また、一日手持ちしているので軽量でフグの魚信がとれるロッドが、釣果につながるアドバンテージとなる。ここ外房の場合は、オモリが25~30号で水深は20~50mなので、湾フグ(東京湾のフグ)の竿よりやや硬い。穂先の径が0.8中心で調子は9:1の先調子。カワハギ竿でも併用できる。

ライン:ショウサイフグ釣りは潮流の速いポイントも釣るので、潮の抵抗が少なくボトムが取りやすい細めのライン(PE0.8号前後)で、強度のある8本縒(よ)りがベスト。また、岩礁帯に対応するためにPEの先に結ぶリーダー(根ずれ防止の先糸)はフロロカーボンの3号前後を、1.5mの長さでFGノット(直結)で結ぶ。

リール:これも軽量がベターだ。PE0.8~1.5号が200m巻けるもの。ドラグは4kgあればフグには問題ない。リールはベイトタイプ(両軸リール)

硬い歯に負けないハリスは必須

【仕掛け】カットウ仕掛け:オモリに直結した(誘導式もある)テンヤバリの下に、イカリ状のカットウバリを垂らしたシャクリ仕掛け、エサに寄ってきたフグを最終的にカットウバリに引っかけて釣る仕掛けだ。市販品ではカラフルな色付きのオモリがある。

ハリス:主にしなやかなナイロン10号中心。フグに食いちぎられないようにソフトワイヤー46番を使ったり、ナイロンハリスをビニール管に通して補強するのもOK

カットウ針:「がまかつ」の「超先鋭ハリ先F1―L」を使用。アユの掛け針を使用する地域もある。

オモリ:鹿島~外房地域は、ナツメ型オモリ25~30号の多色仕様。このオモリにテンヤ針を直結または誘導式にしてエサを付ける。また、アピール度を上げるためにオモリにタコベイトなどを被せる工夫もある。湾フグ釣りの場合は、オモリ10号前後と外房地区に比べて小さい。

エサ:外房地区は冷凍アオヤギ(バカガイ)が主流、湾フグ釣りの場合はエビ類が多い。

アタリの見極め方は?

上でも述べたように釣り人に悟られぬようエサにありつくショウサイフグ。魚信は当然だが、そこにいくまでのプロセス、そして最後のアワセを覚えておくことも必要不可欠だ。

【釣り方】タナ取り:ショウサイフグは基本的に底べったりなので、オモリが底に着いていることが肝心だ。しかし、底に着けたままだと魚信がとりにくいので時折、底を切って魚信を出す。ゼロテンション釣りとは、オモリは底に着いているが、道糸は張っている状態だ。いずれにしても、手の感触、竿先、道糸を駆使して極小な魚信を取ることだ。それを見破るほどのエサ取り名人なので、時には空合わせ(魚信がなくとも合わせること)も釣果につながる。これを波のある時にじっと待って集中するのは至難の業だ。

魚信:この釣りは魚信見極めることで8~9割がた勝負がつくといえるだろう。魚信の出方はたくさんある。イメージ的擬音語で説明すると、「ツツン」「ツッ、ツッ」「クンッ」「ックン」「ツッン」「モヤッ」こんな感じだ。この感覚がわかった時は、思わず「あっ!これかっ!」「あっ!これもかっ!」と自然と声が湧き出るはずだ。

アワセ:イメージとしては、フグが確実にエサに口を付けて食っている時(アタっている時)にシャクるということだ。シャクる幅は最低でもハリス長+10cmなので、約40cmはシャクりたい。ただし、強烈ではなくソフトに。なぜなら、寄っているフグの群れを散らさないためだ。

鋭利なカットウのハリ先は簡単にフグの腹を貫く。そして、シャクった後にグッっと重みを感じたら、ラインを緩めず、そのまま竿を立ててリールを巻く。大型は石を釣ったような重厚な重みを感じる。海底から短竿で巻いてくると、ハリに掛かったフグは大きく膨らむので水の抵抗が大きいのだ。

また、食いが立ってきたら、空アワセも有効だ。空アワセで釣れた時は、「してやったり」とほくそ笑むこと間違いなし!

(2月8日配信予定の第4回に続く)