虫の混入問題で自主回収となった、まるか食品「ぺヤングソース焼きそば」。コンビニやスーパーのカップ麺売り場でも見かけることがなくなり、寂しい思いに“ペヤングロス”な人々も少なくないという。
そんなぺヤングの復活を待ちきれないファンのため、初代CMキャラクターでお馴染みの桂文楽師匠に“ぺヤング愛”を語っていただいた。
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―1975年から17年間。長きにわたって初代CMキャラクターを務められたわけですが、そもそも出演のきっかけは?
「まだぺヤングが発売される前から、寄席で『顔が四角い、四角い』とネタにしていたんです。そしたらある日、当時のまるか食品の社長から『今度、うちでパッケージが四角い画期的なカップ焼きそばを発売するからCMに出てくれ』って。急だから驚きましたよ」
―当時の撮影秘話のようなものありますか?
「あのね。『ぺヤング』って名前は私がつけたんです」
―えっ!? というのは?
「最初は『ペアでヤングなソースやきそば』というCMフレーズだったんです。でも、このセリフがCM内の15秒に収まりきらなくて『ペアヤングなソースやきそば』に変えた。これでは語呂が悪かったから『ぺヤングソースやきそば』と言ったら、それいいね!!となりまして」
―撮影の段階で決まってなかったんですね。それが大ヒットにつながったと。
「もう当時はすごい人気で、子供はもちろん、いろんな人から声をかけられました。時には街中で知らない人にお辞儀されて。でも、ちょっとたってから『あらヤダ、焼きそばのCMの人だった。よく顔見るから近所の人だと思ったら違ったわ』って。それだけ大衆に浸透していましたね」
今はまったく食べないのはなぜ!?
―長きにわたって、同じCMが流れ続けた理由は聞いてますか?
「特に聞いてません。予算がないというわけではなく、実はお蔵入りの新CMを何本も撮ってたんですよ。でも結局、もとのCMが流れちゃう」
―まさに秘話! そのお蔵入りCMってどんなものだったんですか?
「まったく記憶にありません(笑)。でも、演じてる側が覚えてないくらいのものだから、印象に残るCMにはならなかったでしょうね。まるか食品さんの判断は正しかったです」
―深イイ話。もちろん今もぺヤングはお好きですか?
「いいえ、全然食べません。当時、撮影のたびにかなり食べましたから、その後はまったく口にしてません」
―ぺヤング愛をお聞きしたかったのですが(笑)。
「でも、40年にわたって変わらず皆さんに愛され続けるのはすごいことですよ。落語の世界で40年芸風を変えず、飽きられないなんてことはあり得ませんから。今、大変なようですが、これからも愛され続けるように頑張ってほしいですね」
●桂文楽(かつら・ぶんらく) 1938年生まれ。1957年桂文楽に入門。桂小益を名乗る。1992年9代目桂文楽を襲名。現在、落語協会相談役