
昨年11月、コンビニ大手のセブン-イレブンがドーナツ販売事業への本格参入を発表。昨年10月末から一部店舗で販売を始め、今夏から全国販売予定だという。
迎え撃つのは、ドーナツ市場でシェア8割以上を誇る、ミスタードーナツ。突如勃発した“ドーナツ戦争”の行方は!
やはり、気になるのはその味だ。見た目がそっくり(!)なセブンとミスドのドーナツ5商品を食べ比べてみることに。
ということで、プロレス界のスイーツ王、“暴走キングコング”こと新日本プロレスの真壁刀義(まかべ・とうぎ)選手の入場です!
「俺はさ、外出禁止だった練習生時代、たまに先輩が差し入れしてくれるミスドのドーナツが心の支えだったんだよ。今でもミスドには遠征先でブログを書くときとか、ちょっとスイーツを食いたくなったときによく世話になっている。…ただし、“ドーナツ戦争”ってことなら話は別だな。どっちがうまいのか、厳しくジャッジしてやる!」
では早速、真壁選手がミスドで一番のお気に入りだという「エンゼルクリーム」(151円、価格は税込。以下同)と、セブンの「ホイップドーナツ」(110円)から。
「む…見た目はそっくりだな。でも、味の方向性は全然違う。ミスドはふりかけられているシュガーが粗めでクリームが柔らかい。対して、セブンはクリームが粗くシュガーはパウダー状。食感も濃厚さも…俺の好みは断然ミスドだ!」
ミスドが先勝! 続いて、グレーズドシュガーでコーティングされたミスドの「ハニーディップ」(118円)と、セブンの「ふんわりリングドーナツ」(110円)。
「これもシュガーの香りはミスドが好みだな。生地に関しても、セブンが俺の彼女、ミスドは俺の母ちゃんが作ったって感じ。どっちもうまくて魅力あるんだが、キャリアの差を感じる」
定番「ポン・デ・リング」で意外な結果!
左列がミスド。値段はセブンより高めも、安定のうまさ! よくやる“100 円セール”時には行列も。セブンはミスドよりもやや小ぶりながら価格は安め。工場で作られた商品を、店内の専用陳列ケースで販売する
これもベテランのミスドが優勢! お次は、ミスドから「ダブルチョコレート」(118円)、セブンから「ダブルチョコドーナツ」(100円)の登場だ。
「ミスドは上にチョコチップが散らされている見た目からイイな。噛(か)みつけばチップのシャクシャクとした食感、そしてビターな香り。正直、味は同レベルなんだが、ちょっとした差でミスドが上だろ、オイ!」
ミスド、破竹の3連勝! これで勝負は決まりましたが、続いて登場の両者もそっくり。ミスドの「チョコファッション」(151円)と、セブンの「チョコオールドファッション」(100円)。
「ミスドの生地はしっとりとして固さのなかにも柔らかさがある。味もミスドのほうが洗練されている。…でもな、セブンのハードな生地もイイぞ! 柔らかいスイーツに飽きてきた、俺みたいなスイーツ上級者には、このガッツのある食い応えがうれしい」
ここでセブンが反撃! そして最後は、ミスドの定番「ポン・デ・リング」(129円)と、セブンの「もちもちスイートリングドーナツ」(100円)。
「生地はセブンのほうが柔らかいな…。“もちもち”という商品名に負けてねえ。味も甲乙つけがたい、うん、セブンのデキにびっくりだな。これはもうセブンのほうがうまいというヤツも少なくないだろ、オラ!」
セブン、追撃! 結果はミスドの勝ち越しだけど、円熟の王者相手に、ルーキーらしからぬ好勝負を演じたセブンも見事!
「プロレスでも、技術の上達は先輩のマネから入るからな。本家を抜くか抜かないかは、その後の努力次第。セブンはドーナツ専門店じゃないのに、すでに王者に近い味を作れるんだから、ルーキーの第一歩としては見どころがあるわな!」
実は戦う土俵が全く違った?
スイーツ王の真壁選手にホメられるとは、セブンのドーナツも大したもの。価格も安めだし、今後、打倒ミスドの可能性も? ところが、マーケティングコンサルタントの新井庸志(やすし)氏はこう分析する。
「実はミスドとセブン、土俵がまったく違うんです。ミスドの客はわざわざミスドに足を運ぶ人。例えば、ミスドのドーナツを持ち帰る人は、友人や家族、仕事先へのお土産にする人が多い」
なるほど。一方のセブンはあくまでもコーヒーなどの“ついで買い”だと…。
「“ついで買い”のセブンより、ミスドのほうが『わざわざ買ってきてくれた』と相手に思わせられますよね。つまり、ブランディングによって用途の違いがはっきりと分かれている。ですから、セブンがミスドのシェアを奪うとしても、せいぜい1割程度なのでは? また、ここまですみ分けされていると、セブンの事業参入によってドーナツ市場自体が盛り上がる可能性も。私は両者ともに相乗効果で盛り上がっていくのではと予想しています」
これから2社ともに発展していけば、ローソン、ファミリーマートの本格参入も近いはず。うまいドーナツがもっと手軽に食べられるようになるならユーザーとしても大歓迎。ミスドもセブンもどっちも頑張れ!
「ちょい待てや!」
あれ、真壁選手、呼んでませんよ?
「俺に食べ比べをさせといて、その結論はどうなんだ! (ドヤ顔で)ドーナツだけにどーなってるの…てか!」
オチまでありがとうございます(笑)。
(取材・文/昌谷大介、牛嶋健[A4studio] 撮影/ヤナガワゴーッ!)
●真壁刀義(まかべ・とうぎ) 1972年生まれ、神奈川県出身。97年2月デビュー。第6代NEVER無差別級王者。ブログ『スイーツ真壁の甘ったれんじゃねぇ!』【http://ameblo.jp/sweetsmakabe/】