低価格でサクッとお酒を楽しむ“ちょい呑み”。そのブームの影響で今、酒屋で買ったお酒をその場で飲める“角打ち呑み”が若い世代、特に女性の間で注目を集めているという。

酒場や酒販店について詳しい、利き酒師ライターの山内聖子氏にその魅力を聞いた。

「第一の魅力はとにかく安いこと! 居酒屋の半額近くで飲めるところもあるんです。この安さは驚きですよ。新たな商売として角打ちに注目する酒販店経営者が増え、個性豊かな形態が台頭していることも魅力ですね」

具体的にもどんなところがあるのだろうか。

「本来は“立って飲む”が角打ちのスタイルなのですが、貸し切り部屋を開放している店や、飲食店ではあまり置いていないレアなお酒をそろえる店。そして、これまではオヤジの聖地というイメージが強かったのですが、若い人をターゲットにしたオシャレな内装の店が多く、女性にも人気急上昇中なんです!」

それは気になる! というわけで、早速、山内氏のガイドのもと“角打ち呑み”を体験することに。

「まずオススメするのは、原価じゃないの?と驚くほど洋酒が激安な、東京・小岩の酒山田スタンドパブNARUです。バーでは1千円近くするマッカランやラフロイグが270円で飲めます。今流行りのジャパニーズウイスキーも安い! 1千円あったら相当ベロンベロンになれますよ(笑)。おつまみもピザパイが300円。枝付き干しブドウは250円と、安くて泣けちゃいます」

これはすごい! ちゃんと儲けはあるのか…? 店主の山田康成さんに聞いた。

「酒屋だからこそこの値段で出せるんです。利益はありますよ(笑)。もともと車庫だったところを改装したから土地代はかからないし。今は若いお客さんも多くて、楽しいです。近くの病院の看護師さんもよく来ますね。逆に中高年は少ないかな(笑)」

どうやら、若い客が本当に増えているようだ。

秘密の合コン部屋まで?

続いて紹介するのは、山内氏が「合コンに使いたくなる秘密の部屋がある」という南千住のモリタヤ酒店。住宅街にポツンとある地域密着型の酒屋だ。創業、なんと90年! 店主の森田繁さんに話を聞いた。

「もともと店の一角で立ち飲みをやっていたのですが、お客さんが増えてきて10年前に改装し、座れる場所をつくりました。地域のコミュニケーションの場としても活用してほしいと思いまして」

実際に入ってみると…これまた驚いたのはその値段。うまい芋焼酎として人気の六代目百合や三岳がお湯割りで110 円!(居酒屋の相場が600~800円程度)。日本酒も有名銘柄「萩乃露」の熱燗が1合350円(居酒屋相場700 円程度)。ため息ものだ。

…ところで、秘密の合コン部屋とやらはどこに?

「そこの扉を開けて2階へ上がってみてください」

そう促され、細い通路をくぐり抜けて階段を上がり、部屋の扉を開けてびっくり仰天! 目の前には囲炉裏(いろり)のあるオシャレな座敷が。

「最初はお酒の会をやろうと思ってつくったのですが、常連さんにこの部屋が人気でして。ついに貸し切り部屋として開放することにしました。合コンで使う若い方も結構いますよ」

キッチンや冷蔵庫、グラスや食器も完備。おいしいお酒やおつまみは下で自由に買うことができるし、足りない食材は持ち込み可能! これで、場所代3時間4500円(炭代込み、最大10名まで)とは、なんともお値打ちだ。

囲炉裏でいろんなさかなをあぶりながら一杯なんて…ある意味、オシャレかもしれない。そして、密着度は抜群なので、ここで合コンしたらきっと女子と盛り上がるはず。

ただし、お酒の持ち込みと騒ぎすぎは厳禁なのでご注意を。

■週刊プレイボーイ10号「今、角打ち吞みが女子にもウケている理由」より(本誌では、さらにコンビニも参戦する最新情報まで紹介!)