ワンルームでも平気で10万円オーバーの賃貸があふれる東京23区。しかし、ちゃんと探せば安くて良い物件はあちこちにある。
都内で良質格安物件が増えている理由は先日お伝えしたが(記事はこちら→http://wpb.shueisha.co.jp/2015/02/25/44117/)、ではそんな優良物件をどうやって探せばいいのか?
不動産業界紙の記者A氏が薦めてくれたのが、家賃6万円以下の物件に特化した賃貸情報サイト『部屋まる』だ。実際にそのサイトを見ると、東京23区内で“駅近”“バス・トイレ別”“日当たり良好”な格安物件が多数掲載されていた!
2月17日現在、『部屋まる』には都内1031件の「賃貸6万円以下」物件が掲載されている。JR沿線で検索すると恵比寿駅周辺は28件、渋谷駅115件、新宿駅83件と、格安物件がゴロゴロ出てくる。
同サイトを運営する不動産販売会社『城南コミュニティ』の並河宏明社長によると「家主の希望でネット公開を控えている情報が多数あり、サイトへの掲載件数は全体の1割程度。そのほかの大半の物件は店頭で紹介しています」とのこと。
物件概要を見ても、シェアハウスや風呂なし物件はほとんど見当たらない。
例えば、東急東横線・自由が丘駅に程近い1Kのマンションが家賃5万2000円(管理費・共益費なし)。築33年と建物は古いが、内装リフォーム済みで6.5畳の洋間はフローリング張り。南東向きで日当たりも良く、風呂・トイレは別。しかも、そのトイレはシャワー付きだ。
ほかにも、東急東横線・代官山駅から徒歩3分という立地で家賃4万9000円のワンルームマンション。オートロック付きでIHキッチン、洗濯機置き場有りと、なかなかの好条件で、外壁は全面、赤レンガ張りとオシャレな外観も魅力だ。
「これだけ好条件だと募集をかけたその日に借り手がつきますが…」(並河社長)
値下げした賃料は物件広告に載らない
では、安さと住みやすさが両立する「ハイコスパ物件」はどこにあるのか、並河社長に教えてもらった。
「都内だと特に恵比寿、渋谷、新宿は掲載物件数が多いので隅々まで探せばお宝物件と巡り合えるかもしれません。『家賃相場が高い』と敬遠されがちな中央区、港区もテレビ局や制作会社の社員さんがセカンドハウスとして格安物件を借りるニーズが根強いので、私も驚かされるような安さの優良物件がたまに出てきます。
また、山手線の外側にある井の頭線の明大前、永福町あたりはアクセスも良くて利便性が高いわりには少し人気が落ちるエリアなので比較的、条件の良い物件が目立ちます。
ただ、ネットだけを頼りにするのではなく、現地の仲介会社に行ってみるなど自分の足で物件を探してみてください。先ほど弊社の事例を話しましたが、店頭のみで知ることができる“未公開情報”は少なくないんです」
また「家賃交渉は絶対にすべき」と並河氏は言う。
「賃貸業界の最近の傾向として、値下げした賃料は物件広告に載せないようにしています。なぜかというと、その物件の別の入居者から『なぜ、家賃に差があるんだ』と苦情が入るからです。最近は自分が住むマンションの現在の家賃を調べて値下げ材料にしようと考える人が増えている。家主さんからは『頼まれたら値下げするけど、広告には掲載しないでね』とよく言われます」
なるほど。“値下げは織り込み済み”だけど、“何も言われなければ現状維持”と構える家主が増えているわけだ。住みたい物件を見つけたら、契約書にハンコを押す前に忘れずこう言おう。
“家賃、下がります?”
(取材/頓所直人 興山英雄)