この日は海が荒れて出港が中止となりそうな事態に。ようやく日が照りだしてから出港! この日は海が荒れて出港が中止となりそうな事態に。ようやく日が照りだしてから出港!

庶民の味方・アジ。安価で購入できて身近な魚だが、実は“ブランドアジ”と呼ばれる希少なアジがいる。今回の週プレ釣り部は千葉県の金谷の「金アジ」を求めて海に出た!

*** この日の金アジ釣りは、私と釣り友K氏の他にひとり、合計3人での出漁となった。人数が少なかったので、船長にアジ泳がせ釣りをやってよいか確認したところOKだったので、アジの竿と泳がせ用の竿を用意。

しかし、出港するはずの時間になっても海が荒れているので、様子見。ひとまずアジの竿には仕掛けをテンビンに装着。魚を集めるための撒き餌を入れるコマセカゴのオモリは60号、仕掛けとテンビンの間に長さ30cm、幅1.5mmのクッションゴムを入れた。

魚に違和感のない細い仕掛けを使う場合は、その負荷に耐えられるようクッションゴムを入れておくのだ。

出船前に船長からレクチャー。コマセカゴの調整は下の開閉口は全部閉じて、上の出口穴は3分の1から半分に絞るようにとのこと。アミコマセなので、カゴが落下中にコマセが出過ぎるのを調整するためだ。

仕掛けのタナは着底後、3m巻き上げ、さらに2mをコマセを出しながら巻く。そこでアタリのない場合はさらに上に3m巻き上げアタリを待つ。今のマアジのタナは底より上の方にいるらしく、場合によっては底から10mまで探るようにも言われた。

結局、完全に日が出た頃に岸払い。5分も経った頃、ポイントに着いたようだ。金谷港が間近に見える。水深は28m、タナは底から5mほど。

定石通り! すんなり金アジGET?

弟1投目、スルスルとフォースマスター400からPEラインが出ていく。底から5mのところにコマセカゴがあるようにリールを巻いた。すると直ぐにコンコンという魚信(アタリ)、1投目でアタリだ! 少し追い食いを待ったが以後の反応ないのでスロットルON! 機械音とともに糸が巻き取られていくと、薄っすら魚体が見えてきた。

おやっ? 色が金色じゃない?

一匹目は20cmのクロメバルだった。すぐさま魚を外し、新しいコマセを入れて2投目を投入する。しかし、まだウネリが残っていて、船の上下動で釣りにくい。

1投目と同じようにタナをとるが反応なく、コマセも付けエサを交換し3投目投入。タナを取っている時にクンクン!と小気味よいアタリだ! さらに食ったようで、竿先が弾んでいる。いいぞ!と思ったのも束の間、ラインが横に走っている…キラキラ海中から見えてきたのは30cmオーバーのサバだった。

ここで水深30mの地点へ移動。竿を投入すると、すぐに魚信がきたがあまり引かない。

「魚が小さいんだ! やっとアジか!?」と思いつつ、すんなり軽~く上がってきたのは本命のマアジ! 20cmの小型だが腹から背中付近までしっかり金色。小柄にしては体高もあり、丸みを帯びている。そう、まさしく金アジだ!

釣れた金アジは、3本バリ一番上、緑のウィリー巻きを食っていた。これぞ、定石通りなのだ。アジ科の魚はコマセの煙幕に突っ込んでくる習性がある。だから投入直後のコマセは、たくさん出るので釣れる可能性が高い。

さらに、一番上のハリはコマセカゴに最も近いハリ。つまり、我先にと1投目の一番最初にエサへと喰らいつこうとしたアジがかかるのだ。

ちなみに、これは当然、魚によって変わり、マダイなどは警戒心が強いので、なるべくコマセカゴから離れたところでエサを食う習性がある。そのため、ハリスを長くとっておくことがポイントだ。

「まずは1尾目。よし、これから数を伸ばすぞ!」と意気込み空しく、同じ場所を何回か流すも後が続かなかった。そして、本船は場所を移動。浮島(東京湾内の自然島は横須賀市沖の猿島と鋸南町沖の浮島がある)に向かって疾走した。

 陸に上げると薄く見えるが、しっかり金色がついた金アジ 陸に上げると薄く見えるが、しっかり金色がついた金アジ

1匹釣れたものの緊張感が湧いてこない…

10分くらいで、船足が止まった。ここは東に明鐘岬、南に浮島が見える場所だ。水深はやや深めの85m、タナは5m~8m。船長いわく、ここはよく大型が出るとのこと。

しかし、投入して電動リールの水深カウンターを見ると、85mからみるみる数字が増え100mでやっと着底。さらにPEラインが斜めに入って流されている。潮が速いのだ。底を取ろうとしてもコマセカゴが飛んでしまう。

船長もすぐさま気づいたようで、再び移動。海面の潮流はそれほどでもないのだが、底潮の流れが速い、いわゆる二枚潮だったのだ。

底70m地点で再開すると、直ぐにツツン、ツツンと魚信が出て金アジが上がった。隣のK氏にも金アジがポツポツ食っている。しかし、数が伸びない。さっきも追い食いしなかったし、今日は活性が低いようだ。

船長もシビレを切らしたようで、早々と「移動します!」のアナウンス。今度は大きく移動し、対岸の神奈川県側まで船を走らせた。神奈川県の乗合船が多数集まって、船団ができている。東京都の船も金谷港の船もいて、ざっと30隻はいる。みんなアジを釣っているのだろうか?

着いたポイントは、場所は久里浜沖になるのだろうか…久里浜の大きな煙突が数本見える。ここで釣れた金色のマアジは金谷の金アジになるのか? アジの味は変わる? そんな事を考えていると、ツツン、ツツンと魚信が出た。直ぐに巻き上げて、よく観察したが、見分けがつかない! 色も形も同じ……同じでいいか!

本来、アジ釣りはハリ数も多く、数釣りの部類に入る。活性さえ高ければ、何十匹も釣れるのが醍醐味(だいごみ)なのだが、この日はパッとしない。ポツポツは食っていても、一度に何匹も釣れる一荷釣りがない。釣っている船が多すぎるのか…。なんだか、いつものような緊張感が湧いてこなかった。

(3月15日配信予定の第3回に続く)