銀行系、信販系、交通系、流通系…。クレジットカードはいろいろあるが、携帯電話キャリアが発行するクレジットカードをご存知だろうか?
テレビCMなどで記憶に新しいのは、昨年10月にサービスを始めた電子マネー機能搭載の「auWALLETクレジットカード」。一方、すでに2006年から電子マネーの「iD」も使えるクレジットカード「DCMX」を提供中なのが、王者ドコモ。ここにきて、携帯キャリア2強のクレジットカード戦争が火花を散らしている。
そもそも、携帯電話キャリアならではの利点はどの辺りにあるのか。消費生活アドバイザーの丸山晴美さんに話を聞いた。
「どちらも元々は携帯電話の契約者向けのサービスですが、基本の還元率は1%と通常のクレジットカードと比較しても遜色(そんしょく)はありません。いずれも携帯電話だけでなく、ドコモなら光ブロードバンドサービス『ドコモ光』などの支払いもポイント還元の対象になるため、これらのサービスを利用している人にとってはキャリアとそのクレジットカードを利用することがお得への近道といえるでしょう。それに、両者ともポイントを溜めるのも使用するのも自己完結しやすいのがいいですね」
DCMXは1000円毎にドコモポイントが10ポイント、携帯電話の利用料金(※)に対して1000円毎に最大20ポイントがもらえる。そして、auWALLETクレジットカードは200円毎にWALLETポイントが2ポイント、携帯電話の利用料金(※)に対して1000円毎に10ポイントもらえる。(※機種代金やコンテンツ使用料などは除く)
しかし、「自己完結がしやすい」とは一体、どういう意味なのか。
「そもそも基本的にクレジットカードの損得はその人の使い方次第なんですよ。それぞれのメリット・デメリットを勉強して、複数のカードを用途別に使い分けるのもいいですが、実際にはほとんどの人が“使いこなせていない”可能性があるのです。しかも複数のカードだとポイントも分散してしまい、ポイントが使いにくくなってしまいがち。
そういう意味でも、“まとめる”ことがお得への近道なんです。携帯代金や公共料金はもちろん、VISAなので(DCMXはMasterCardも選択可)ほとんどの支払いに使えます。そして、どちらのポイントも自社のサービスで使えるのでムダがありませんよね」
それぞれの魅力は?
なるほど、クレジットカードのポイントを使わず溜めっぱなし、というのはよく聞く話。そういったムダを省けるのは、たしかにありがたい。
「両者とも機種変更などに使えますが、特にWALLETポイントは1ポイント1円で毎月の支払い料金に使えて便利です。一方のドコモポイントはdマーケットでのネットショッピングが1ポイント1.08円になるのでお得ではないでしょうか」
では、改めてそれぞれのカードのメリットについて丸山さんに聞いた。
「まず、auWALLETクレジットカードですが、通常よりも還元率の高くなる“ポイントアップ店”での利用がおすすめですね。セブン‐イレブン、イトーヨーカドー、マツモトキヨシと日常での買い物シーンを抑えているので使い勝手は悪くはありません。またファミレスや居酒屋も多く入っているので、外食シーンでの利用のしやすさもとても魅力的です。
それに、DCMXのポイント還元が1000円単位なのに対し、auWALLETクレジットカードは200円単位なので、ちょっとした買い物でもポイントが溜まりやすいんです」
普段の生活で圧倒的にポイントが溜めやすいという、万能型のauWALLETクレジットカードに対して、一方のDCMXは…?
「その前に、DCMXなら“DCMX GOLD”にするべきですね」
いわゆるゴールドカードなので、年会費が1万円もかかってしまうが…。
「そうなんですが、携帯電話の利用料金(※)に対して1000円毎に100ポイント、10%もの高還元率なんです。ドコモの場合、一般的にカケホーダイプランで2700円、データMパック(標準・5GB)で5000円、SPモードで300円、計8000円かかります。それだけで年間に9600ポイント溜まりますからゴールドカードの年会費をほぼ回収できる計算です。
さらに、家族にユーザーがいれば、家族カードが1枚無料で作れ、その回線分もポイント加算に加わるので、実際は無料でゴールド会員の優待を受けられるんですよ」
さらに豊富な特典の中身
しかも、3月から開始されたドコモ光の固定通信と携帯電話のセット料金も10%還元の対象となるので、ドコモ光を検討しているユーザーにとってはさらにおトクに。加えて、海外旅行保険や国内旅行保険、わずかな自己負担額で利用できる“お買物あんしん保険”が付帯しているだけでなく、国内の空港ラウンジ利用やプレミアムクーポンの抽選で当たるユニバーサル・スタジオ・ジャパンの@ドコモラウンジのクーポンまで利用できるという。
それ以外にも、紛失や盗難、修理不能などになった場合に3年間最大10万円までキャッシュバックされる『DCMXケータイ補償』(DCMXの場合は最大1万円)や、初年度は5000円分、2年目以降は最大2万円分の『ケータイ購入ご優待券プレゼント』などDCMX GOLDならではの特典は豊富だという。
最後にもうひとつ、DCMXはお馴染みの「おサイフケータイ」の存在もビジネスマンにとっては大きいと丸山さんは言う。
「溜めたドコモポイントは、2000ポイント=2000円からの等価でDCMX(iD)クーポンに交換することができ、電子マネーiDでのショッピングに利用することができます。電子マネーiDは「iD」マークのある全国のコンビニやファミレス、スーパー、家電量販店、タクシーなどで利用できます。コンビニなどで少額の買い物をすることの多いビジネスマンには、手間がかからずスマートに会計ができるのでいいと思いますね」
それぞれ使い勝手の良さに違いがある両者のクレジットカード。ドコモとauユーザーは利用を検討してみてもいいかもしれない。
(取材・文・撮影/週プレNEWS編集部)