春らんまん。でも実は4月にこんな快晴は貴重で、日照が少ないため“幸せホルモン”が分泌されにくいという 春らんまん。でも実は4月にこんな快晴は貴重で、日照が少ないため“幸せホルモン”が分泌されにくいという

今日から新しい年度が始まる。就職、転勤などで環境がガラリと変わったり、新しい上司や部下が入ってきたり、フレッシュな気分でスタートを切った人も多いだろう。

だが、春はそんな“出会いの季節”であるとともに“ストレスの季節”だという。せっかく見た目をさわやかに決めても、メンタルが落ち込んでいては台無しだ。

そこで今回の「美メンズ変身講座」では、この季節に起こりがちなストレスのチェックポイントについて、産業カウンセラーの大野萌子氏に伺った。

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―メンタルにはあまり自信がないですが…春は“ストレスの季節”とは、どういうことですか?

「まず、ストレスを引き起こすのは“変化”です。良いことも悪いことも含め、心に刺激を与える変化はすべて“ストレッサー”となります。就職、転勤、異動、進学、引越しなどのイベントが多く、変化の多いこの季節は気がつくとストレスでいっぱいに。また結婚、出産といったおめでたい出来事も環境が変わるという意味でストレスの原因になります」

―確かに新しい人が来るというだけで、初めは余計に気を遣ったりしますよね。

「さらに、もうひとつ春にメンタル不調が多い原因は意外に日照時間が少ないこと。冬は寒くて暗いイメージがありますが、実は晴れの日が多い。それに比べて、4月は桜が咲いて晴れやかなイメージが強いわりに実際は雨が多く日照が少ない。そのため“幸せホルモン”と呼ばれる脳内物質『セロトニン』が合成されにくく生理的に落ち込みやすくなります」

―言われてみれば、この時期は曇りが多いかも。それにしても、そもそもストレスってなんでしょう?

「ストレスはもともと物理学用語で、例えばゴムボールを指で押し縮めた時、内部に生じる力のことを言います。押した指の刺激がストレスの原因で、これを跳ね返そうとする力がストレス。外部刺激が多いほどストレスは鬱積(うっせき)していくので、細かく跳ね返していくことが大切。今の時期にストレスをためすぎると5月病の原因になりかねません

注意したいストレス・チェックポイント

―では自分がどれくらいストレスがたまっていて、マズイ状態なのかはどこでチェックすれば?

「一般的に思い浮かべる、眠れない、食欲がない、楽しくない、やる気がない…などの鬱(うつ)のような症状もありますが、これらは鬱でなくても一時的には誰でも起こりうること。さらに、以下のようなことはストレスのサインと疑ったほうがよいでしょう」

●胃腸の調子が良くない わかりやすいサインのひとつです。実は心が一番連動している臓器は胃腸。飲みすぎ、食べすぎではないのに胃腸の調子が悪い時は過剰なストレスがかかっている可能性が大。放っておくと、過敏性腸症候群、慢性的な胃痛持ちになってしまう男性も多いです。

●過度の心配性になる 自宅のカギをちゃんと閉めたか、ガスの火をちゃんと消したかなど細かいことがいつもよりもやたらと心配になる。こういう時も要注意。

●電車の中で気分が悪くなる 電車の中で冷や汗が出たり、心臓の動悸が激しくなったりする。行き過ぎると“パニック障害”になる可能性もあって危険です。

●細かいことが許せなくなる 部下や同僚、友達、家族などに対し、それまでは許せていたことなのに妙に腹がたったりイライラしてしまう。

―なるほど。こういうサインを見逃さないようにしたいものです。でも、そもそもストレスを感じない強いメンタルを養うには?

「誰でも“ストレスがない”ということはありえません。生きていれば刺激があるのが当たり前で、逆にストレスが全くないとパフォーマンスが下がります。『適正ストレス』という言葉がありますが、適度にストレスがあるほうが活動能力は高まる。誰かに会う予定もなければ、刺激のある人間関係もやるべきこともない…そんな生活はつまらないですよね?

大切なのは、ストレスがたくさん蓄積して手遅れになる前に細かく跳ね返していくこと。それが5月病の予防につながります」

というわけで次回は、5月病にならないためのストレスの上手な跳ね返し方を伺います!

(取材・文/週プレNEWS編集部)

●大野萌子(おおの・もえこ) Office MOEKO代表。防衛省、文部科学省などの官公庁、大手企業、大学、医療機関などで年間120件以上の講演・研修を行なう。日本産業カウンセラー協会において、産業カウンセラー及びキャリアコンサルタント養成指導歴15年。産業カウンセラー、2級キャリアコンサルティング技能士。著書に『「かまってちゃん」社員の上手なかまい方』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)など