仕事は山積みなのに、ランチでおなかいっぱいになると容赦なく襲ってくる睡魔…これを撃退するにはどうすればいいのか?
そこで『なぜ、一流の人は「疲れ」を翌日に持ち越さないのか』がベストセラー中で医師・MBAの裴英洙(はい・えいしゅ)先生と、ベンチャーから大企業まで約30社の産業医を務める大室正志(おおむろ・まさし)先生に“ランチ後の睡魔”問題について聞いてみた。
―「仕事中に眠くなったらどうする」問題について、ランチ後の睡魔はどうすればいいんでしょう?
裴 食後に眠くなるのは、食事で上がった血糖値が下がり始めた時です。そして血糖値は急に上がると下がる時も急なんです。
大室 炭水化物は消化がよいのですぐにエネルギーに変換されますが、血糖値を一気に上げるのでその後、急に眠くなりやすいんです。
裴 だから疲れている時、眠い時のランチは血糖値を急に上げないものがよい。
―具体的には?
裴 肉。中でもしょうが焼きがイチ押しです。豚肉に含まれるビタミンB1は疲労回復効果があり、ビタミンB12には集中力、記憶力を向上させる働きもあるので午後からの仕事前にもってこい。野菜もとれますし。ただし、炭水化物であるご飯は少なめにしましょう。
大室 逆に最も眠気を誘うメニューはうどんやつけ麺。精製された小麦粉なので糖が吸収されやすく、また炭水化物の量も多いので血糖値を一気に上げます。その反動で眠気も一気にきやすい。
デスクでおにぎりやお弁当もNG
―他に注意すべき点は?
裴 時間がないと“デスクでおにぎりやお弁当”をしがちですが、体を動かさないと逆に眠気に襲われます。眠い時こそ体を固めないほうがよい。だからランチは、できるだけ少し離れた所でとって、少し歩いたほうが頭もスッキリします。
―でも、どうしても外に食べに行く時間がない時は?
大室 消化に時間がかかり、血糖値の上昇が緩やかな食べ物、例えば、バナナ。あと、ダイエット食や「ソイジョイ」などの低GI食品も眠くなりにくい。ちなみにGI値とは、食品が体内で吸収されて血糖値を上げるスピードを示した指数です。
GI値が高い食品は血糖値が一気に上がって一気に下がり、低い食品は緩やかに上がって緩やかに下がります。ネットで検索すれば食品ごとの一覧表もありますよ。
裴 ナッツなどをこまめに食べるのもオススメです。
―コーヒーや栄養ドリンクは効果ありますか?
裴 コーヒーに含まれるカフェインは眠気を防ぎますが、その効果が表れるまでに30分程度かかるので早めに飲んだほうがいいです。あと、栄養ドリンクもカフェインなどの覚醒成分で一時的に目は覚めるし、糖分も多いので血糖値が急上昇して一時的に元気になりますが、その後、血糖値が急降下すると疲れが出ます。同じ理由で缶コーヒーもあまりオススメしません。
―どうしても睡魔が限界の時の昼寝って効果的なんですか? 喫茶店のテーブルで突っ伏して寝ているビジネスマンとかよく見ますが。
裴 あの姿勢は腰に負担がかかりますが、15分程度なら大丈夫。ただ、昼寝は30分以上しないこと。睡眠が深くなるスイッチが入っちゃうんです。そうなると夜の睡眠にも影響が出てきます。
(取材・文/高篠友一 黄 孟志)