「今年のお正月にフェスへ行ってきて逆ナンされたんです…。残念ながら、LINEの返信は来なかったんですけどね」
こう報告するのは、特にルックスがイケてるワケでもない「週プレNEWS」のスタッフ・フミノである。
これから夏に向けて次々と開催される野外フェスだが、本当にそこに出会いがあるのか? そこで、彼女がほしいけど独りで行く勇気がないフェス初心者の記者は、フミノを誘ってEDM(エレクトロニック・ダンス・ミュージック)の大型フェス「Electric Zoo(エレクトリックズー)」に出かけてみた。
気持ちのよい五月晴れだったゴールデン・ウィーク最終日、ふたりが向かったのは海浜幕張駅。すでに駅前はサッカーW杯後の渋谷かと見まがうほどのパーティピープル達で賑(にぎ)わっているではないか!
自分たちよりもひと世代若いヤングたちをかき分けながら歩くこと10分。ようやく行きついた場所はなんと…砂浜、そして海。その砂浜に特設ステージがあるではないかい!
ステージ前には既に多くのヤングが男女関係なくアニマルのコスプレや水着など思い思いの恰好で狂喜乱舞している…(唖然)。出会いどころの騒ぎじゃない。
考えてみれば、このイベント、世界的にも超有名なNY発の大人気ダンスミュージック・フェスなのだから、ま、当然といえば当然だが、30歳を過ぎた記者がそのテンションとノリでステージに近づけるもんじゃない。いや、むしろ自殺行為だ。
「ステージ近くはご覧の通り、狂気の沙汰です。人ごみが少ないスペースを探してBGM的に音楽を楽しむのもアリですよ。以前、逆ナンされたのも喫煙ブースでしたし」(フミノ)
あ、そうなの? てっきり最前列まで行くのかと思っちゃったよ、オレ…。ステージ前は未来の日本を担う若者たちにお任せするとして、記者は人の流れが落ち着いているスポットを中心にフェスを楽しむことに。もちろん出会いを求めて!
そこは、ただの喫煙スペースではなかった!
■『アルコール篇』 アルコールブースでは20代の若者から絶大の人気を誇るZIMA、昨今コンビニから西麻布のスタイリッシュなバーまで広く浸透しているBACARDI、アメリカンビールの代名詞でもあるBudweiserの3社が出展。
ゆっくりとした時間が流れる浜辺でモヒート片手に、BGM程度の音楽を楽しんでいる人も多い。彼らに話を聞くと、ブースでお酒と会話を楽しんでいたり、ステージ周辺で踊り疲れ、喉を潤(うるお)すため休憩に来ていたりと様々…。
オーバーサーティ記者も、このアルコールブースはかなり楽しめた! 出会いはなかったけど。
■『喫煙ブース』
通常のフェスであれば、ただの喫煙スペース。だが、このフェスでは最も目立つブースとしてかなりの盛り上がりを見せている。なぜだ? ブースにいたキャンペーンガールの女のコたちの説明に耳を傾けてみる。
「マールボロシリーズは最近、洗練されたデザイン変更を実施し、新しい時代を切り開くために大きな決断を行ないましたーッ!」
ふむふむ。で?
「昨日までの自分を変えたい、あなた! 境界線を踏み越えた先の自分を決断してTシャツに描き、ブース内ステージ上で叫びませんかぁ??」
無理無理。30歳を過ぎた記者には恥ずかし過ぎるでしょ。
「なんと、今ならグローバルキャンペーン“クロスオーバー”の一環で、抽選で計30名に自分自身の前進をマールボロがサポートすべく、7~10日間の大陸横断の旅をプレゼントしてるんです。しかも、この場でキャンペーンに参加できるんですよ!」
何ぃ!? よし、フミノ、決断だ。今すぐ決断しろ!
なんでもこのキャンペーンでは、境界線を踏み越える決断をした人に「カリフォルニア」「アラスカ」「カナダ」の3コースから選べる一生に一度の旅を通して、“昨日までの自分と向き合い、踏み越えて行くくことで「行動こそが人生の前進につながる」ことを実感して欲しい”という意図があるという。
事実、ブース内のステージ上では途切れることなく、特製Tシャツを着た、推定:前進したくてウズウズしている若者たちがそれぞれ内に秘めた思いを叫んでいた。
記者をフリーズさせたフミノの“決断”
ということで、早速フミノにTシャツとペンを渡す。しばらく悩むのかと思いきや、即座に描き出した言葉にキャンペーンガールは苦笑い。記者もどう反応すればいいのやら、しばしフリーズ状態に。
そんな記者を無視して、そそくさと特製Tシャツに身を包み、意気揚々とステージに上がったフミノ。そのTシャツに書かれていたのは…、
現在:仕事ばっか。。。 未来:お金持ちの彼女をGET!
マールボロの「昨日までの自分を踏み越えろ」という真っ直ぐで自分主体のメッセージに対し、フミノの決断は「お金持ちの彼女をGET!」とマールボロも驚く他力本願っぷり!
でも意外や意外…ウケた! 事実、写真攻めにあうくらいに。さすがNY発の大人気ダンスミュージック・フェス、何が起こるかわからない。
だが、ウケるのが目的ではなく、あくまでこの決断を大陸横断に変えることが今回のミッションだ。30分後、最終選考に進む当選者が選ばれる選考会が行なわれたが、私利私欲にまみれたフミノの決断がはじかれたことは言うまでもない。
■『レストランブース』 つい最近行われて大盛況だった「肉フェス」の盛り上がりとまではいかないが、音楽フェスでもグルメへの力の入れようは相当なものだ。昔は焼きそばやアメリカンドッグといった定番の屋台だけだったが、今やご当地のB級グルメはもちろん、ステーキに多国籍料理、果てはスイーツまで盛りだくさんだ。こうなりゃ、出会いより食欲だ!
フードコートのように飲食スペースも設けられているため、女子グループと仲良くなる男子グループもチラホラいる。見ていると、お互いの写真を撮ってあげている。なるほど、そういうことね。
「正月フェスで逆ナンされた時はまさにこのシチュエーションでした」と力強く語ったフミノに、「LINEの返信は来なかったんだよね?」という内に秘めた思いは叫ばなかった記者。
正直、フェスの盛り上がりに圧倒され、出会いはゼロという結果ではあったが「フェスの楽しみ方は音楽だけではない」ということだけは理解できた初体験の一日でした。
(取材・文・撮影/週プレNEWS編集部)