直筆サインや使用済みユニフォームなどがプレゼントされるコスパ高すぎなポイント制度とは?

コンビニの支払い時にポイントカードを提示、家電店でもガソリンスタンドでもポイントカード! これは一億総ポイント時代の到来なのか?

そして実は、プロ野球観戦の場にも続々とポイント制度が導入され、進化しているらしい。ホームランは3ポイント(以下、p)で、ゲッツーを取ると2p? と野球観戦を楽しみながらコツコツとpをゲットできるというのだ。

身銭を切り続けて10年超、プロ野球ファンクラブ評論家・長谷川晶一氏が熱く語る!

「西武プリンスドームで試合を見る時は、ビール売りのお姉さんから買わないんです。かわいい売り子さんがすぐそこにいるのに、球場名物“地獄の長い階段”を上って、売店で買う。ポイントをつけたいばっかりに! その分、神宮球場でヤクルト戦を見る時は、思う存分、お姉さんに声をかけてビールを買います。どっちも楽しいんです!」

長谷川晶一氏は、プロ野球12球団のファンクラブすべてに10年以上入り続けるツワモノだ。冒頭の話は……まず基本として、「ファンクラブに入ると、ポイント制度を楽しむことができ」→「チケット購入ポイント、球場への来場ポイント、グッズ購入ポイントなどがつき」→「一定量のポイントを集めると何か特典に換えられる」というシステムに触れた後、西武、楽天、ロッテ、オリックスは場内での飲食にもポイントがつき、他の球団はつかない…という説明の一環だった。

ファンサービスのポイント制度は、ロッテが日本一になった2005年の翌年に初導入。08年には巨人が、09年には西武が導入し、他球団も続いた。ただし、DeNA、中日、阪神、広島は今のところ採用していない。

●12球団ファンクラブのポイントで狙える、素晴らしすぎる“お宝”【前編】

東北楽天ゴールデンイーグルス ボーナスプラスポイントを持っていれば選手使用済みユニフォームの「オークション」に参加できる。落札額は30万ポイントあたりが相場だが、もちろん確実ではない。オークションというのが楽天ぽい

オリックスバファローズ Bsポイント8万2000pで京セラドーム大阪の上層階に位置するバルコニー席付きVIP特別観覧室(一般販売なし、法人契約のみ)を10名で利用できる。毎年10組程度がポイント交換で利用している

北海道日本ハムファイターズ FANSポイント10名限定の豪華特典・全選手直筆サイン入りベースボールカードコンプリートセット。5万p集めるのは大変そうだが、なんといっても全選手だから、レア度は高い! 日本ハムは今季よりポイント制を改革したばかりだが、その効果か新規客も増えているようだ

埼玉西武ライオンズ Lポイント本文で触れたように、グッズよりもチケットへ交換しやすい制度設計。プリンスグループ共通のプリンスポイントをLポイントに換えられるのも特徴。端数を使える仕組みにしている

巨人ポイント制度はワンプレイから!

そして、結論から言うと、ポイントシステム構築に一番力を入れているのは巨人。

「細かいです。来場ポイントは10p。他に、勝つと20p。勝たなくても、ヒットで1p、ホームラン3p、得点2p、盗塁2p、投手が三振を取れば1p、ダブルプレーで2p。1試合で15~100pくらいの幅で加算されます。ひとつひとつのプレーに応援の熱も入るし、制度の面白さは認めざるを得ません」(元々、プロ野球はアンチ巨人の長谷川氏)。

また、お気に入り選手を試合前に登録して、その選手がお立ち台に上がればポイントゲットという制度もあり、ある種、ギャンブル的な楽しみ方もできそう。

集めたポイントは特製グッズとの交換が楽しい…と話を進めたいところだが、西武とロッテは「グッズには向かわず、積極的に観戦チケットと交換しやすいようにシステムを設計しています」(球団の担当者)とのこと。

特製グッズに話を戻すと、「劇的によくなっている」と長谷川氏が推すのは日本ハム。ここは今年からポイント制度を改革したばかりで気合いが入っている。

●12球団ファンクラブのポイントで狙える、素晴らしすぎる“お宝”【後編】

東京ヤクルトスワローズ スワレージ1万pで10選手×20本の200本限定・サイン入りバットをプレゼント。選手を選べるようにしたのがファン思い。山田、雄平選手は品切れしたが、川端選手も急いだほうがいい。大引、田中浩、森岡、上田、畠山、飯原、中村もある。長谷川氏は、スワローズ・ナイロンパーカーを800 pと交換した。

読売ジャイアンツ G-Po(ジーポ)意外とポイントのインフレ感がない巨人。「日常で使えるもの」が品ぞろえのコンセプトで、今年は3500pでヘッドフォン。毎年半分が新特典に入れ替わる。例年、企画会議で熱く知恵を絞るそうです

福岡ソフトバンクホークス タカマル300、600、900p通過時にピンバッジがもらえ、200、500、1000p通過時に招待券1枚がもらえる仕組み。たくさん貯めることを目的とするよりも、継続していくといいことがある方式だ

千葉ロッテマリーンズ Mポイント1p=1円換算で、千葉マリンの全席種と交換できる(現金との合算は不可)。球場内商品券との交換もできるが換算率は悪い。まだ今年度のサービスは未確定の部分もあるそうで、何が飛び出すかファンクラブHPから目が離せない

ビジターでもファンが歓喜する制度導入

一方、純粋にファンとして長谷川氏が気になるのは、もちろんヤクルト。

「去年は最高点5000pでもらえる『年間名場面DVD』と引き換えました。これは、映像の冒頭で『長谷川さん、いつも応援ありがとうございます』と選手が呼びかけてくれるスペシャルなもの。僕の場合は渋めの秋吉投手でしたが(笑)。今年は1万pのサイン入り特製バットができたので、狙うしかないでしょう」

長谷川氏は年会費1万3千円のプラチナ会員なので、ポイント付与率が高い。さらに「春先に1年分の入場券を買ってしまって、ポイントを早めに集め、先着順のグッズを狙う」という大技を使うのだという。

そんな長谷川氏が注目する、今年のトレンドは?

「ビジターのファンが相手ホームの野球場に行っても来場ポイントがつく制度の広まりです。本拠地じゃなくてもポイントが貯まるのは、ファンのことを考えた画期的なアイデアですよ」

ポイントカードが持つ「相互送客」(互いに客を送り込み合う)のポリシーが、野球界にも飛び火していた!

■長谷川晶一12球団ファンクラブ評論家。謎の覆面は楽天球団ファンクラブが06年に出した“迷品”「カラスコマスク」。著書に『プロ野球12球団ファンクラブ全部に10年間入会してみた!』(集英社)、『夏を赦す』(廣済堂出版)など

(取材・文/梅田小太郎 戎小次郎)