アーユボワーン(こんにちわ)!
スリランカといえば「アーユルヴェーダ」が有名だって知ってました?
「アーユルヴェーダ」は紀元前3世紀から続く、ハーブやオイルで生活改善をしながら体を健康に導く伝統医療。理想としては本格リゾートにロングステイしてデトックスに打ち込みたいんだけど、プログラム終了後には体中の毒素が排出されて一時動けなくなることもあるとか。そこで、まだ旅の続く私は“プチ”アーユルヴェーダ体験としてオイルマッサージだけしてきました。
2009年まで26年も続いた内戦、そしてスマトラ沖大地震の津波被害で3万人を超える死者を出したスリランカですが、今や表面的には復興をとげたかに見えます。
南部にあるゴール県にはバスクリン色のナイスビーチが並び、まだ観光化されていない田舎のリゾートが…。日本でいうところの沖縄みたいなのんびりした雰囲気。
ヒッカドゥワという町の安宿へ向かうと、腰にサロン(腰布)を巻いただけの上半身裸で胸毛モジャモジャのおっちゃんが出てきて「チェックアウトの時間? ん~? 特に決まってないから、まあ、適当に~」
むしろ、なんでそんな質問するんだと言ったような、ゆるゆるな雰囲気。
「日本人、結構来る? 騒がしくない?」と聞くと、「日本人よりロシア人の方がうるさいよ(笑)」と耳打ちされた。
そう、インドやスリランカはロシア人の旅行者が多いので、メニューなんかにもロシア語が書かれていたりする。見た目は西洋人みたいだけど、ビーチに遊びに来たロシアンギャルズが早口でおしゃべりを始めると、もう何を言っているのか全くわからない。
スリランカ美女が熱中する『OSHIN』
かく言う宿のおっちゃんもおしゃべり好きで、私が〆切を前にキーボードを叩いていると「うちの宿を日本のガイドブックで紹介してくれ」と言ってきた。
海から100m、一応Wi-fiもなんとか通じ、キッチン付きで日当たりの良い清潔感のある安宿。水シャワーを除けば、確かにバックパッカータイプの旅人にはピッタリだ。「トライしてみるよ」と言うと、「これを翻訳してくれ。それから“仏教学校の生徒は割引”と書いてくれよ」だって。
「日本にはそんなものないよ」と咄嗟に思ったけど、調べてみると実はアジア諸国や日本には仏教系の大学が意外と結構あるんですね(勉強不足でスミマセン)。でも、アジア諸国に比べ信仰心の厚い若者が少ない日本、ガイドブックに載せたところで私のようになかなかピンとこない人がいるのも事実。
「“学割あります”で良い?」というところで落ち着いたけど、それより、まず私の宿代を割引してくれないものか。
さて、ゴール県にあるのはビーチだけではない。穏やかなスリランカには似合わない、せっかちにクラクションを鳴らし続けるローカルバスに乗り、スマトラ沖地震の津波にも耐えた“奇跡の世界遺産”ゴール旧市街や要塞を巡る。
そして次の宿は、若いスリランカ人の青年が最近始めたという友達の家のようなアットホームな宿。宿主は日本人に匹敵するくらいのホスピタリティーで迎えてくれた。ある日、手伝いにきた宿主のガールフレンドが、とびきりの笑顔で私にこう話し始めた。
「あなたは日本人なんでしょう? とてもスペシャルなゲストだって彼に聞いてるわ。日本といえば『OSHIN』よね! 私、とても大好きなの」
おしんホテルやおしんカフェも
「はて??? 日本といえば“OSUSHI”だよ…“OSHIN”ってなんのこと? お新香?」
「知らないはずがないわ! 日本のドラマ『おしん』よ! スリランカでは皆、子供の頃に見ていてとっても有名よ。とてもかわいそうな話だけど、ひたむきで頑張り屋さんな彼女が私大好き」
えええ! あの『おしん』? なんでスリランカ人の彼女の口から? 日本人の私でさえ、名前は知ってるけどドラマを見たことがないってゆーのに。
たまたまこの彼女が親日家なだけかと思ったらそうではなかった。
1983年にスタートした『おしん』は、日本のTVドラマ史上の最高視聴率62.9%を叩き出し、その記録はいまだに破られていない。
そしてその人気は国内だけに留まらず、旅人マリーシャを含むそのへんの旅人を勝る勢いで世界を席巻。アジアはもちろん、欧米や中東にエジプト、カリブ海にまで進出し、放映国数なんと68ヵ国!
アメリカのニュース誌『TIME』に書かれた「おしんドローム」という言葉は流行語大賞を受賞。ジャマイカではまさかのボブ・マーリー越え?で、なんと子供の名前に「オシン」をつけるのが流行。イランでは戦争中の兵士すらドラマが始まると銃を置きリモコンを持つ……都市伝説になったほど。おしん、最強!
スリランカの彼女もまた、日本人におしんのイメージを抱いているのか、その晩、他にもゲストがいる中で私にだけこっそりチャーハンを作ってきてくれた(笑)。
もしかして飢えているように見えたかしら…? まあ、間違いではないけれど(笑)。彼女の手料理は優しい味でスリランカで一番おいしいごはんだった。
おしんのおかげだよ。ごちそうさま。
【This week’s BLUE】 ヒッカドゥワビーチで自ら私の被写体となってくれた超キュートな彼女。ポージングも上手でした。将来、美人になることは間違いない。
●旅人マリーシャ 平川真梨子。9月8日生まれ。東京出身。レースクイーンやダンサーなどの経験を経て、Sサイズモデルとしてテレビやwebなどで活動中。バックパックを背負う小さな世界旅行者。オフィシャルブログ、Twitter【marysha98】もチェック!