男と女の感じ方の違いを美人女医・髙木希奈先生が大解説!

女のコは挿入よりもペッティングを求めている? 

実は挿入よりも重要度が高いといわれるペッティングのマナーを『精神科女医が本気で考えた心と体を満足させるセックス』(徳間書店・1200 円+税)でおなじみの髙木希奈先生に伺ってみた。

―早速ですが、女性にとって「ペッティング」って、どれくらい重要なんでしょうか?

高木 ものすごく重要ですよ。挿入よりペッティングのほうが重要だと言ってもいいくらいです。まず、男女ともに性的な興奮が高まると『オキシトシン』というホルモンが大量に分泌されます。オキシトシンは、別名『抱き締めホルモン』とも呼ばれていて、目の前の相手を愛おしく感じて、『抱き合いたい』という気持ちにする作用があるんです。特に女性はこのホルモンが男性よりも30%も多い」

―30%も!

高木 だから女性は、抱き締められていることにすごく快感を得るわけです。ところが、男性は興奮して勃起するとオキシトシンの濃度が急激に下がり、代わりに『テストステロン』という男性ホルモンの濃度が増えます。テストステロンは攻撃性を司るホルモンで、相手を優しく抱き締めるよりも襲いかかるように挿入へと急いでしまう。

―男がすぐに挿入したがるのは、ホルモンのせいなんですね。

高木 そうです。さらに女性は妊娠・育児期間中に相手の男性が自分から離れてしまったら大きなリスクを背負います。そのため『この相手は自分を捨てない』という“確信”が欲しいと考える。つまり、女性にとってのセックスはペッティングで『自分に対してどれくらい愛情を持っているか』『妊娠した時にこの人は自分を捨てないか』を判断する行為でもあるのです。

―すごいですね…。

高木 ちなみに、触覚受容体が男性は3千個しかないのに対して、女性は1万個以上も点在しています。単純に考えて、女性は男性よりも3倍感じやすい。それだけ女性はスキンシップ(ペッティング)が大好きなんですね。

手をつなぐだけでもOK!

―とはいっても、ひとりよがりのペッティングではやはり感じないわけですよね。具体的にはどうすればいいのでしょうか?

高木 ペッティングだからといって、単純に胸を触ればいいということではありません。手をつなぐことも十分ペッティングになり得るのです。手足の指は乳首や性器と同じように神経の過密地帯です。そのため女性を欲情へ導くポイントがいくつかあるといわれています(図A参照)。

このポイントを覚えられない人は、自分の指の間に相手の指を入れて握る“恋人つなぎ”を緩めにしてみてください。すると指がこすられて同じような効果が得られます。その時に相手の利き手ではないほうの手をつなぐのがいいでしょう。

人は無意識のうちに利き手に神経を集中させています。そのため、利き手をつなぐと緊張するからです。

―手つなぎなら、まだハードルも低いと思うんですけど、その次は?

高木 耳元で優しい言葉をささやいてみてください。脳内の聴覚神経の近くには『A10』と呼ばれる快感神経があります。この神経はクリトリスなどの外性器にも集中しています。つまり、『聴覚への刺激=クリトリスへの刺激』といっても過言ではありません。

そこで、耳元で『肌がキレイだね』とか、『手が小さくてかわいいね』など、彼女のことを褒めてあげましょう。また、彼女がお酒にほどよく酔ってきた時に注目してほしいのが『体のどこを触っているか』ということ。酔うと理性が解放されて、感情や欲望が表に出やすい状態になります。すると、人は相手に触れてもらいたい部分を無意識に自分で触っている場合があるんです。

例えば、手で二の腕をやたらと触っていたら抱き締めてもらいたがっているのかもしれません。唇を触っていたらキスを望んでいる可能性があります。

―逆に、触ってほしくない時のしぐさなどはありますか?

高木 前髪をしつこく触ったり、耳たぶをいじっている時は要注意です。前髪を引っ張るのは、あなたとの間に髪で壁をつくって精神的なストレスを減らそうとしている可能性があります。

また、耳たぶを触るのも今感じているストレスを和らげようとする無意識の行動です。そんな時は、焦らずに会話で盛り上げて、もう一度チャンスを狙いましょう。

舌や唇への刺激は性器と同じ

―彼女がその気になったら、次はキスをしてもいいんですよね!

高木 そうですね。キスはとても重要です。実は、男性の唾液には性欲を高めるテストステロンがわずかに含まれています。それが口の中に入ることで女性は欲情します。

―キスにはそんな効果があるんですか!

高木 そして、舌や唇には『マイスナー小体』という、わずかな刺激も敏感に感じ取る感覚器官が集まっています。先ほども言いましたが、女性は男性よりも皮膚感覚が鋭敏です。つまり、舌や唇への刺激は性器を触られているのと同じくらい感じるのです。

―そうだったんですね。

高木 だからこそ、キスがヘタだったり、いいかげんだったりする男性の評価は下がります。逆に上手で情熱的なキスはオキシトシン、エンドルフィンやドーパミンなどの快楽ホルモンを総動員させ、女性のオーガズムを促すことにもつながっていきます。つまり、キスを丁寧にすればするほど、その後のセックスも盛り上がるということです。

逆にキスを雑にしてしまうと、あなたに対する興味が一気に失せてしまう可能性もあります。『優しく丁寧なキスなくして、女性をイカせるのは難しい』と思ってください。

―わかりました。

高木 ペッティングは女性の心を濡らして、体も濡らす大切な行為です。“ペッティングを制する人はセックスを制します”。すぐに挿入したがる男性が多いと聞きますが、そこはグッと我慢して、ペッティングを大切にしてください。

髙木希奈精神科医。日本精神神経学会認定専門医。近著に『あなたの周りの身近な狂気』(セブン&アイ出版)、電子書籍『女医が教える飽きないエッチ』(App Store、kindle)など

(取材・文/村上隆保 池野佐知子 鈴木えみ 撮影/佐賀章広)