取材した日本一臭い編集者?こと本誌ヤノアツの臭いを嗅ぐ「マンダム」臭気判定士たち(合掌)

蒸し暑い梅雨の到来によって男たちが気になり始めるのは、体臭だ。しかも最近、男性用化粧品の大手メーカー「マンダム」によって、“ミドル脂臭”なるヤバい体臭まで発見されたという。

ミドル脂臭が見つかったのは2013年末。主に30代、40代の男性から発生するニオイで、どうやら加齢臭よりもかなり臭いらしい。体臭治療のスペシャリスト・五味常明(ごみつねあき)先生がこう説明する。

「ミドル脂臭は男性の後頭部から首の後ろにかけて出るアブラっぽいニオイのこと。ミドル脂臭の原因成分である『ジアセチル』はヨーグルトやチーズなどの発酵食品の主要なニオイ成分で、“つわり香”とも呼ばれているね。嗅ぐと、『ウッ』とくるイヤなニオイだよ」

後頭部から発生するため自分では気がつきにくく、しかも男性よりも女性のほうが不快に感じる傾向があるとか。

「このニオイはジアセチルという成分と皮脂臭が混ざって発生するんだけど、ジアセチルは頭皮に付着している細菌のブドウ球菌が汗に含まれる乳酸を食べて代謝する成分なんだ。ジアセチルには他のニオイを強くするという特徴がある。ミドル脂臭は皮脂のニオイも混ざってるって言ったけど、皮脂はもともと臭いものじゃない。ところが、ジアセチルが合わさることで、一気に臭くなるんだよ」

ミドル脂臭のピークは30代後半だが、加齢臭は50代から本格化する傾向にある。自分の体のニオイが変わったと感じる30代の男性は「加齢臭か」と勘違いしがちだが、その正体はミドル脂臭の場合が多いそうだ。

では、どうしたら予防できるのか。五味先生に加え、「マンダム」の研究員で臭気判定士(ニオイを嗅覚測定できる専門家。国家資格)の資格を持つ久加亜由美さんからもアドバイスをもらった。

ミドル脂臭を予防する方法を公開

(1)気合いを入れて“頭の後ろ”を洗え!

「ボディソープはしっかり泡立ててから使用し、襟足から首筋を念入りに洗います。泡が残らないように完全に洗い流すことも大事です。また、丁寧な洗髪も必須です。洗髪時間が1分以内の男性は、特に後頭部の洗い残しが多い。指の腹を使って頭皮を塗りつぶしていくように頭頂部から後頭部までしっかり洗ってください。

あと、ミドル世代になると皮脂が固まり、軽い洗髪では落ちにくくなります。できれば“2度洗い”がオススメですね」(久加さん)

(2)疲労に気を使え!

「汗に含まれる乳酸の分泌を抑えることで、ミドル脂臭の予防になるよ。疲労が蓄積すると血液に乳酸がたまる。一日の仕事が終わったら、しっかりと寝て、疲れを残さないようにすることが大事だね」(五味先生)

(3)食生活を見直せ!

「乳酸の過剰分泌は『血行不良』によっても起こる。例えば、『野菜を取らず、肉ばかり食べている』『間食が多い』『ついお酒を飲みすぎてしまう』といった偏(かたよ)った食生活をしていると、血行不良になりやすいよ。オススメの食べ物は、梅干しやかんきつ類。これらは乳酸の分解を促進するクエン酸を多く含んでいるんだ」(五味先生)

(4)適度な運動を怠るな!

「適度な運動で汗をかくのも大切。汗が通る汗腺には、たまった汗を体内に戻す機能がある。その際、汗腺が正常に機能していれば乳酸も再び体内に戻る。ただし普段から運動していないと汗腺が衰えて、乳酸を戻す機能が低下するんだ。つまり、乳酸が出たまんまになっちゃうわけだね」(五味先生)

これで加齢臭を撃退!と安心する前に「当たり前のことだけど、ミドル脂臭の撃退法を学んだところで、実行しなければ意味がないよ」(五味先生)というワケで、ニオイの自覚がない男性も「自分は大丈夫」と思わずに普段から意識してケアをしておこう。

(取材・文/鯨井隆正 撮影/黒川たくや[マンダム])