「オラ! 孫悟空!」…じゃなくて、「オラ! ミ・アミーゴ! コモエスタ?(やあ! わが友よ! ごきげんいかが?)」
先週は突然のお休みごめんなさい! モルディブでは少しイスラム教にも触れることができたし、そのまま中東に行きたかったんだけど、なんせこんなご時世。いつか中東の治安が良くなることを願って…旅の続きは中米方面へと飛ぶことにしました!
まずは憧れのカリブ海、メキシコはユカタン半島の端にある「カンクン」。メキシコといえば“ドンタコスったらドンタコス♪”なとんがり帽子「ソンブレロ」をかぶったお髭のセニョールたちが、毎日テキーラを飲んでマラカスを振っている~!
なんて、そんなイメージは日本でチョンマゲのサムライと忍者が空手をしながら右手に刀、左手に寿司をつまんでるのとおんなじで、カンクンにはそんなメキシコ人はいませんでした。ちょっと残念?(笑)
人々は屋台で1個5ペソ(約40円)~の激安タコスこそ毎日つまんでるものの、お酒は公共の場所では飲んではダメ。テキーラどころかビールすら飲んでる人がいない。
それにソンブレロ帽子をかぶってるのはメキシコ人ではなく、浮かれて衝動買いしてしまった観光客の1人か2人程度。欲しかったけどやめました(笑)。
実は和食よりもひと足お先に世界無形文化遺産になったメキシコ料理。ナチョスやワカモレ、ブリトー。他にはモーレという鶏のチョコレート煮込みなんてのもあるんだから奥が深いよね。でもやっぱりタコスばっか食べちゃう! 具だくさんにピカンテなサルサ(辛いソース)をかけてキュ~っとライムを搾ってかぶりつくと、もう病みつき!
最近では日本にタコスのファストフード店「タコベル」が帰ってきたそうだけど、行列ができるのも理解できる。
待っていたのは“ゲロ船”
「ほとんどタダ~!」「腹切りプライス!」
どこの日本人が教えたのか、おかしな勧誘と美味しいテキーラを試飲させてくれる土産店では「こっからここまで全部チョーダイ」って言いたい気分だけど、メキシコ骸骨の置物もテキーラ瓶もかわいい陶器のお皿も“ワレモノ”ばっかりで歯止めが利いて助かった。もちろん“腹きりプライス”じゃなかったしね(笑)。
そしてカンクンは超高級リゾートなのでビクビクしていたけど、海は本当に「ほとんどタダ~!」です。まるでカキ氷のブルーハワイみたいな色したカリブ海にはテンション上がらずにいられません!
いきなりカンクンに来た最大の理由は、この時期なんと“野生のジンベイザメと泳げる”から! しかもダイビングじゃなくてシュノーケルでだからスゴイ。海好きの私は世界の海でイルカやウミガメ、トロピカルフィッシュなんかと泳いできたけれど、巨大ジンベイザメと泳ぐなんて初めて!
私はワクワクしながら彼らがカリブ海に来るのを待ってました! まさかあんなに過酷だとも知らずに…。
「ついにジンベイが現れたぞ! 行くぞー!」
連絡とともに港へ向かうと、そこに浮かぶのはまさかの…“ゲロ船”(10人乗り程度の小型船)。あぁ、ガラパゴス諸島の離島を思い出した。2時間も船酔いと戦った、あの日。ツラかった~。
ところが今回はさらに上を行く6時間。ジンベイザメが例年より遅刻をしたせいで、まだ沖から随分遠くにいるためポイントが見つからないのだ。
ジンベイザメの背中にダイブ!
その上、「エンジン止まったよ!」。海上でしょっちゅうエンジントラブルが起こり、船が止まるたびにグワングワン脳ミソが揺れ、オイルの臭いが漂う。
船上の皆はグッタリと床に寝そべり、私は誰よりも青白い顔をして「もうジンベイザメ見なくていいから、早く陸に降ろしてください…」。そう神に望みました。そして私の意識が遠のきかけたその時、船長が叫びました!
「ホエールシャーク!!」
ザワめく船上。私にとってはもはや戦場。船酔いと戦いながら、ほふく前進スタイルで船のフチまで辿りつくと、海を覗き込んだ。すると目の前に草間彌生デザインのようなドット柄の大きな背中が浮かび上がった!
「オエー!」じゃなかった…「ウワー!」。微(かす)かなだけど感動を声に出す。脳ミソはグラグラでもう何も考えられない。でも、意地でも客に鮫を見せてやろうっていうキャプテンに応えないワケにいかない。私は青い顔のままシュノーケルをくわえてズルリと滑り込むように海にダイブ!…というか、もう船から砂袋が落ちた感じ(笑)。
バッシャーン! 飛びこんだのは、なんとジンベイザメの背中の真上! ギリギリぶつかったりはしなかったけど、かなり至近距離。「ぎゃああああああ!! デカイ!!!!」
あまりの大きさに視野に全体像がおさまらない。大きいものでは13mもあるんだとか。ゆら~~りと泳ぎ、ポッカリ開けたお口に魚が出たり入ったり。必要な分だけ吸い込むようにできてる便利な体。私はチビだから吸い込まれないか心配だったけど、人間には特に興味がないようで、たまにヒレで撫でられるくらいだった。
朦朧(もうろう)としながら夢の時間は一瞬。船酔いのまま忙しく3本のダイブを終えた。そして、限界にたどりついた私はジンベイザメのように大きな口を開け、カリブ海の大海原に“マーライオン”したのだった…。
お食事中のアミーゴたちよ、ごめんなさい。しかし、このスペシャルな天国と地獄はぜひアミーゴたちにも味わってもらいたいです。笑
【This week’s BLUE】 ダウンタウンの公園では夜になるとステージでパフォーマンスが始まった。無料なのに見応えのあるダンスショー。
●旅人マリーシャ 平川真梨子。9月8日生まれ。東京出身。レースクイーンやダンサーなどの経験を経て、Sサイズモデルとしてテレビやwebなどで活動中。バックパックを背負う小さな世界旅行者。オフィシャルブログ、Twitter【marysha98】もチェック!