一番の売れ筋はド派手なデザインが目を引く「アルアーシャ」。なんと、税込み1万1980円! 一番の売れ筋はド派手なデザインが目を引く「アルアーシャ」。なんと、税込み1万1980円!

韓国で猛威を振るっている、中東呼吸器症候群(MERS)コロナウイルス。その韓国で感染予防のため、売れに売れているメイド・イン・ジャパン製品があるという。

愛知県豊橋市にある従業員45人の中小企業「くればぁ」が発売しているマスク、「ピッタリッチ」がそれだ。

金網やメッシュの製造、卸が本業の同社は十数年前、0.1ミクロンの微粒子さえ99%捕集できる、世界一目の細かいメッシュ素材を開発。その特性を生かし、同素材をフィルターとして使ったピッタリッチを製品化していた。しかし、当時はそこまで高性能なマスクに対するニーズがなく、芳(かんば)しくないセールスが長く続いていた。

ところが2年前、世界保健機関が「PM2.5には発がん性物質が含まれる」と発表した際、PM2.5クラスの微粒子に対応できるマスクが市場でピッタリッチだけだったことから、ようやく売り上げは右肩上がりに。さらにここへきてのMERS騒動で、韓国からも引き合いが殺到。

大半はネット経由の購入だが、わざわざ来日して本社を訪れ、数十枚単位で大量購入する韓国人も後を絶たない。

こうした“爆買い”の影響で、くればぁでは現在、例年の10倍以上という日産1万枚超の量産体制を敷いているが、それでもまったく需要に追いついていない。

ただ、世界一の性能とはいえ、ピッタリッチは同社が誇るハイテク素材を職人の手作業で縫製しているため1枚1万円前後(定価はモデルにより異なる)。マスクとしては破格の高額商品がなぜ韓国で売れているのだろうか。

ファッションの一部としてのマスク

同社専務の中河原毅氏が語る。

「素材だけでなく、構造にも工夫を凝らしているからでしょう。例えば、口に当たる部分は涼感ガーゼを使っているので、汗をかいても吸収してくれるだけでなく、ひんやりした着用感を得られる。また、内部に通気性を確保するフィルターを挟み込み、息苦しさを軽減しています。しかも100回洗濯しても機能が保たれますので、使い捨てマスクより、むしろ割安。

本来、韓国の方は日本人ほど感染予防としてマスクをする習慣がなく、さらに今はじめじめと蒸し暑い季節。それでもピッタリッチなら防ウイルス力が高い上、快適に着用できるとネットや口コミで評判が広がっているようなのです」

韓国での同マスク購入者の男女比は3対7。女性のほうが自衛意識が高いのだ。そんな彼女たちの間で特にウケているのが、写真の「アルアーシャ」(税込み1万1980円)というモデル。一番外側が刺繍(ししゅう)やスパンコールをあしらったド派手な生地になっているのが特徴だ。

「韓国では、無地のマスクは本当の病人に見えると敬遠されがち。むしろ、ファッションの一部として着用したいという方が多いのです。アルアーシャの生地は、米TVドラマ『セックス・アンド・ザ・シティ』に登場するドレスをイメージしたもので、UAE(アラブ首長国連邦)のドバイから仕入れました。日本のスタイリストさんから『パーティにしていけるマスクがあってもいい』とのアドバイスを受け、商品化したものです」(中河原氏)

ウイルスをしっかり防御して、手軽にセレブの仲間入り。韓国での人気も納得かも。

(写真/ボールルーム)