そのノートに名前を書かれた者は死ぬ――。全世界で累計発行部数3千万部突破の人気マンガ『デスノート』(小社刊)が、7月5日より連続ドラマ化される。

そこで今回は、ひと足お先に原作マンガを振り返り、『デスノート』を手に“キラ”として悪人を粛清していく狂気の主人公、夜神月(以下、ライト)、そして彼に対峙するライバルで世界一の名探偵、らが繰り広げる頭脳戦の数々から仕事に使えるテクニックを心理術の専門家であるメンタリストのDaigoが指南!

そこで目指すものは……俺は絶対、バリバリ出世してイイ女と付き合いまくる!

「いいですよ、その宣言! そういう思いを実際に口に出すことは自己暗示をかけることになり、目標達成率が格段に上がりますから。自分で自分に言い聞かせる感覚ですね。だから頭の中で考えるだけじゃなく、声に出すというのが大事なんです」

そういえば、ライトも「僕は新世界の神になる!」と豪語していた。

「LもTVの生中継でキラに向かって『必ずおまえを捜し出して始末する』と宣言していましたよね。このセリフももちろん自己暗示効果がありますが、それ以上にレバレッジをかけている意味合いが強いように感じました。要するに、多くの人に宣言することで己の退路を断ち、成功しなくちゃいけない理由を無理やりにでもつくったわけです」

一方、ライトは人心掌握術にも長(た)けている。成り行きとはいえ、もう一冊のデスノートを持った“諸刃(もろは)の剣”のような存在の弥海砂(ミサミサ)も味方につけ、結果的にうまく操っていた。

「そうですね。普通の人は仕事ができない人がいたら陰で批判するだけでしょうが、ライトのすごいところはそういう人材もどうすれば有効に活用できるかを考えられ、見事に利用してしまうところ」

ビジネスにも利用できるライトとLの心理戦

また、ライトはキラを追う元FBI捜査官、南空ナオミも見事な心理術で陥れた。彼女の本名を聞き出して抹殺するため、まず「あなたも捜査本部の一員になりませんか?」と勧誘。しかしその後は一転、危険な捜査に巻き込むことに躊躇(ちゅうちょ)する素振(そぶ)りを見せることで、彼女から身分証明書を見せてもらうことにまんまと成功する。

「“押して引いた”わけです。さらに言うと、人間は自分で決断した選択のほうが価値が高いと思う生き物なので、ナオミも引っかかってしまったんです。例えば、職場で同僚や部下に仕事を振りたい時も『この仕事やっておいて』とお願いするより、『この仕事やれる?』と聞いて相手から『やります!』という言葉を引き出すほうが得策なんですよ」

だが、そんな彼もLにはだいぶ翻弄された。大学の入学式の初対面時に、不意に「私はLです」と正体を明かされたり、「私は夜神くんがキラじゃないかと疑っているんです」と本音をぶっちゃけられたりした。

「これは相手の心理を探る上でもとてもいい手なんです。どんなにウソがうまい人でも予想外のことを急に言われると、表情分析学では0.2秒から1秒という一瞬だけ瞳孔が開いたり、下唇が少しだけ下がるといわれています。そこから動揺しているかどうかを見抜けたりしますから」

このようにライトとLの心理戦には、ビジネスにも利用できるポイントがたくさんある。ドラマ版でも、ふたりの静かだが熱い攻防に注目だ。

●発売中の『週刊プレイボーイ』27号では、さらに『デスノート』から応用できる「恋愛学」についてもレクチャー、是非お読みください!

(取材・文/昌谷大介、武松佑季[A4studio])

■週刊プレイボーイ27号(6月22日発売)「『デスノート』に学ぶ、“夜神月-やがみライト-”的駆け引き術」より