栄養士の資格を持つアイドル関根みなみちゃんもマーガリンとの思い出を語る

3年以内にマーガリンが消えるかもしれない。

アメリカ食品医薬品局(FDA)が「トランス脂肪酸」の加工食品への使用を3年後に禁止すると発表した。トランス脂肪酸は、主にマーガリンなどに多く含まれている油脂だ。

アメリカの動向は、少なからず日本に影響する。今後、日本でもマーガリンの買い控えなどが起こるのだろうか?

WHO(世界保健機関)はトランス脂肪酸の摂取量を一日の総エネルギー摂取量の1%未満に抑えることを勧めている。しかしアメリカの平均摂取量が2.2%なのに対し、日本は0.5%以下とかなり下回っているため、日本の厚生労働省は今のところ規制は考えていないという。

それにしても、アメリカの全廃宣言によって「使う」「使わない」と日本を大きく揺るがしているマーガリン問題。果たして「日本人にとってマーガリンとはなんなのか?」「日本人はマーガリンをどれくらい愛しているのか?」を探るべく、OL、サラリーマンからアイドル、識者まで様々な人にマーガリンに関する思い出を語ってもらった。

まずは、OL・リーマン編。

「給食の時に小さなビニールの袋に入って出てくるマーガリン。いつも手で温めて、グニュグニュにして食パンに絵を描いて食べていました。そのやり方がクラスで流行り、マーガリン絵がうまいコは画伯と呼ばれるようになりました」(商社・26歳・OL)

「マーガリンを指につけて黒板に塗ると、その部分だけチョークが書けなくなるというイタズラをよくしていました。字が書けずに先生が焦るのが超おかしかった」(薬品・27歳・サラリーマン)

「小学6年生の時にマーガリンを唇に塗るのがはやりました。マーガリンを唇に塗るとリップクリームのようにピカピカしてキレイに見えるというのがその理由でしたが、加減がわからずに唇が油っこくなり、気持ち悪くなりました。でも『キレイになるって、こういう努力が必要なんだ』と勝手に納得していたことを覚えています」(人材派遣・30歳・OL)

「高校を卒業するまで、わが家ではマーガリンをバターだと信じて食べていた。母はマーガリンを陶器の入れ物に入れて出すという手の込みようで、学校で出てくるマーガリンは『おいしくない』と思うのに家で食べるマーガリンは『おいしい』と感じていた」(PR・31歳・サラリーマン)

懐かしいマーガリンとの思い出

マーガリンだけでなく、普段何げなく食べている食品にもトランス脂肪酸は入っている

学校の思い出とともに多かったのは、マーガリンを使った料理レシピ。栄養士の資格を持つアイドルの関根みなみさんの思い出は…。

「ご飯にマーガリンを角砂糖ひとつ分くらい混ぜて、しょうゆを少しかけて食べていました。朝の時間がない時にもすぐ作れるし、これが結構おいしいんですよ」と。

「僕はカレーにマーガリンを入れて食べます。本当はバターを入れたいけれど、バターは高いからマーガリンで我慢」(33歳・フリーター)

「わが家のおやつは『食パン+マーガリン+グラニュー糖』。パン+マーガリンは嫌いなのに、これだとおいしく食べられるんです」(アパレル・27歳・OL)

マーガリンといえば、やはりトーストに塗って食べるのが定番だろう。トースト総合研究所所長でトースト評論家の梶田香織(かじたかおり)氏に今回のトランス脂肪酸全廃のニュースの感想も含めて聞いた。

「マーガリンがなくなってしまうと、家庭よりも喫茶店やレストランのほうが困ると思います。業務用マーガリンをトーストだけでなく調理にも使っている店も多いはずですから。

特にレストランの場合はマーガリンがなくなると、やはりバターを使わざるを得なくなりますが、バターは高いのでトーストのつくモーニングセットの値段を高くするか、パンのランクを下げて値段を据え置きにするしかないでしょう。そうなると、お客さんにとってもお店にとっても残念なことですよね」

マーガリンを食べると心が落ち着き安らぎが…

最後にコラムニスト、杉作J太郎氏に語ってもらった。

「僕はマーガリンをすごく使うんですよ。だいたいマーガリン一箱で食パン6~8枚くらいで使いきりますかね。分厚く塗ることで、すごく贅沢(ぜいたく)をしているような気分になるんです。

たまに『ステーキガスト』に行くんですけど、あそこはパンの食べ放題がありますよね。銀紙に包まれたマーガリンを一度に10個くらい持ってきて、ひとつのパンに2個つけて食べるので、パンを5個食べると全部なくなってしまいます。

僕はマーガリンを食べると心が落ち着いて安らぎを感じるんですよ。だから心臓に悪いとは信じられません。悪い部分もあるかもしれませんが、いい部分もあると思うので、もう一度ちゃんと調べてほしいですね」

果たして、日本でもトランス脂肪酸が全廃宣言される日は来るのだろうか…。

(取材・文/村上隆保 撮影/村上庄吾)