皆さん、毎日幸せですかー! いよいよ中米縦断も後半戦。護送車で運ばれているかのごとく毎日バスに閉じ込められっ放しでしたが、ついに「コスタリカ」の都市「サンホセ」にて“釈放”。
というか、バス停併設宿が満室だったから強制的に追い出されちゃっただけなんですけど、とにかくバックパックを背負った“ネギ鴨”スタイルで近くの安宿に駆け込みました。
エルサルバドル、ホンジュラス、ニカラグアみたいな超危険地区じゃなくて良かった~。
コスタリカは外務省の危険情報では殺人・強盗・窃盗等の注意があるものの、旅人仲間たちからの被害は“まだ”聞いていない。
それよりも、2015年報告の「世界幸福度ランキング」では途上国であるにも関わらず、上位に並ぶ北欧諸国を追ってなんと12位を獲得してるもんだから、その幸せ具合、気になります!
「シャバの空気はウマイわい!!」。街を歩くという、そんな当たり前のことに大喜びの私は、治安が良いって本当に大事だなとこの中米で痛感。日本ほど治安の良い国は世界でもなかなか稀(まれ)なので、その点については私たちは本当に幸せだと思う。
さて、せっかくの街歩きだけれど、野鳥探索などのエコツーリズムが売りのこの国は都市部にはあまり見所がなく、自慢の国立劇場も小じんまりとしている。
そして旅中に出会ったコスタリカ人が「サンホセはファストフードばっかり」と嘆いていた通り、アメリカ系ファストフード店がコロニアル調の建物と並び乱立していて、幸せと名の付くものはマックの“ハッピー”ミールぐらいしか見あたらない。
チルチルミチルのように幸せを探し彷徨(さまよ)っていると、青い鳥ならぬ“青い映画館”を見つけたのでブルーハンターとしては熱心に撮影。すると、通りすがりの女の子に笑われた。「それ、ポルノ映画館よ」。ぎゃん。
軍事費がない分、医療費と教育費が無料
気を取り直してマーケットでお買い物。気付けばこのところ、ろくにご飯を食べていない。食べきれる分の肉や野菜と、今でも高身長を夢見て牛乳、旅人お得意の“保存の利く食材”パスタを買い込んだ。もちろん恒例の“到着ビール”も忘れずに。この一杯が幸せ~!
共同キッチンで自炊をしていると、ニンニクを分けてくれたのはアメリカから来たという日本人のお母さん。バックパッカーには見えない彼女にここにいる理由を聞くと「歯医者に来たのよ」と言う。なんでもコスタリカの医療水準は高く、医療費もバカ高いアメリカに比べ格安だというのだ。
さらに、コスタリカは1949年から軍隊を持たない中立国。軍事費がかからない分、社会保障に割り当てられているんだとか。
国民が医療を受ける権利が保障されているため、国公立病院に至ってはなんと医療費が無料! さらに、教育にも熱心でこちらも無料! 国家予算の約4分の1は教育に使われているのだ。
一部には、警察が軍みたいなものだとか、コスタリカは美化されすぎているという声もあるみたいだけど…中米諸国の中では間違いなく“優等生”であり、社会保障に満足している国民の幸福度が高いのには頷(うなづ)けるってわけ。
幸福度25位のパナマ、46位の日本
そんなコスタリカを後にして、去年あの有名なパナマ運河開通100周年を迎えた「パナマ」へ南下。
「ついに中米縦断ゴォォール!!」
国際バスに別れを告げると、“世界の十字路”と呼ばれる首都「パナマ・シティ」は中米でもひときわ都会的だった。
ここ10年ほどで開発が進み、新市街には高層ホテルやプラダやヴィトンなどのブランド店が並び、ナイトクラブのセクシーなお姉さんが路上でビラ配りをしている。
一方、旧市街は歴史的建築物の街並み。土産物屋にはパナマハットが売られ、先住民のクナ族が歩いていたりと、新旧が対照的で面白い。
そんなパナマもまた、国家保安隊というものはありつつも軍隊は1989年の米軍「パナマ侵攻」をもって解体。世界幸福度ランキングでは158ヵ国中25位と上位にランクしている。
また、英語が通じドルが使えるため、アメリカ人の“定年後に住みたい場所”としても人気が高い。映画やホテルが半額になったり、医療費、光熱費、交通機関の割引など移住者への優遇も手厚いようだ。
ところで、わが国ニッポンの幸福度ランキングはというと…思っていたより低い46位。コスタリカやパナマだけでなく、ヒリヒリするような身の危険を感じたグアテマラやエルサルバドルですら日本より幸福度が高いというのに。こうして世界を周っていると、先進国で治安も良く、ごはんも美味しい日本はとっても幸せに思えるんだけど…。
もちろん、本当の幸せは数字やランキングでは計りようもなく、ラテンとジャパニーズの感覚の差だってあるだろうけど、少なくともこのデータを見ていると社会保障や平和、現状や将来への不安などが結果に大きく反映しているのかなと思った。安保法案で揺れる日本の幸福度、来年はいかに。
そして中米を無事生きて渡りきった旅人は、一杯のビールに小さな幸せを感じてまた次の国へ旅立つのだった。まだ生きてます。
【This week’s BLUE】 パナマ新市街の夜景は、ここが中米だということを忘れてしまうほど都会的。
●旅人マリーシャ 平川真梨子。9月8日生まれ。東京出身。レースクイーンやダンサーなどの経験を経て、Sサイズモデルとしてテレビやwebなどで活動中。バックパックを背負う小さな世界旅行者。オフィシャルブログhttp://ameblo.jp/marysha/、Twitter【marysha98】もチェック