合っている枕は、立っている時の姿勢に近く、首すじがすっと伸びて呼吸が楽にできる 合っている枕は、立っている時の姿勢に近く、首すじがすっと伸びて呼吸が楽にできる

1年365日使う寝具は、睡眠の質を左右する大切なもの。でも、今使っている寝具が本当に自分に合っているか…といわれると、よくわからない人も多いのでは?

そこで、自分に合う寝具の選び方について快眠セラピストの三橋美穂氏に聞いた。

―最近、枕を買い換えたのですが、合っているのか実はよくわかりません。

三橋 これまで1万人以上の方に枕のアドバイスをしてきましたが、多くの人が「高すぎる枕」を使っています。朝起きた時、首や肩が凝っている、あお向けに寝ると首にシワがよる、横向きばかりで寝ている…などの場合は、枕が高すぎることが多いです。

―自分に合う高さのチェックポイントは?

三橋 まず、あお向けで楽に呼吸ができ、首にシワが寄らないか。高い枕を使っている人は首にクッキリとシワが入っています。理想は、あお向けで寝た時に体のどこにも力が入らず楽に呼吸ができる高さ。高すぎると肩こり、イビキ、二重あご、ほうれい線の原因にもなるので要注意です。

では、実際にバスタオルを3~4枚用意して重ね、自分の体に合う高さを試してみましょう。

 (左)バスタオルを重ねて合う高さを見つけよう。(右)中の詰め物で高さを調整できる枕も (左)バスタオルを重ねて合う高さを見つけよう。(右)中の詰め物で高さを調整できる枕も

―かなり低いですね! でも、実はこれくらいでも違和感ないかも。結構、楽です。

三橋 多くの方にとって、快適な枕は本人が思っているよりもかなり低いんです。さらに高さだけでなく、あお向けに寝た時に首から後頭部の形がフィットするかも大切。また、横向きになった時に背骨から頭にかけてのラインがほぼ真っ直ぐで肩に圧迫感がないか。寝返りがスムーズに打てるかも要チェック。

合っている枕は、寝た瞬間に全身の力が抜けて気持ちいいと感じられるもの。枕をしていることを忘れるくらい一体感があるものがベストですね。

 首から後頭部の形が枕にフィットするか 首から後頭部の形が枕にフィットするか

マットレス選びのポイントは?

■合うマットレスの硬さは体型によっても違う

―枕の選び方がわかったので、次はマットレスもお願いします!

三橋 マットレスも枕と並んで快眠のための重要アイテムです。チェックポイントとしては、(1)あお向けに寝た時に腰が浮かず、沈まないこと、(2)横向きに寝た時に枕をした状態で肩が楽なこと、(3)寝返りが打ちやすいことーー寝返りは睡眠中の血行を促進し、筋肉のコリをほぐし、布団の中の温度や湿度を適切に保つ大切な役割があります。

 あお向けに寝た時、腰が浮いたり沈まないか。横向きで肩が楽かをチェック あお向けに寝た時、腰が浮いたり沈まないか。横向きで肩が楽かをチェック

―低反発、高反発ではどちらが良いですか?

三橋 高反発はいろいろな硬さがありますが、硬めのものは筋肉質の人やアスリート向き。もし、あお向けで寝て腰が浮いたり、かかとが外側に開いたら硬すぎです。これに対して、低反発は睡眠中の動きが少ない人、睡眠時間が3~4時間のショートスリーパーに向いています。

硬さは一般的に、筋肉が少なくスリムな人は「やわらかめ」、標準体型の人は「中くらい」、ガッチリ体型の人は「硬め」がおすすめ。硬すぎると背中、お尻、かかとが圧迫されて疲れがとれにくくなります。

逆にやわらかすぎると、お尻が沈んで負担がかかり寝返りがうちにくいもの。また、低い枕を使う人は硬いマットレスだと肩が圧迫されるので、やわらかめがいいでしょう。

―やわらかめのほうが自分には合うかもしれません。最後に、寝具のお手入れについても教えてください。

三橋 寝具の寿命はマットレスが7~10年、敷布団は3~5年、枕は1~5年が目安です。長持ちさせるには「よく干す」こと。湿気が残っているとへたりやすいので敷布団、敷きパッドは週に1度は天日に干したり、布団乾燥機で湿気を飛ばしましょう。また、雑菌が繁殖しやすい枕カバーの交換は3日に1度、シーツや布団カバーは2週間に1度は洗いましょう。

―体型にフィットする快適な寝具を選び、愛着を持ってケアしたいものです!

●三橋美穂(みはし・みほ) 快眠セラピスト・睡眠環境プランナー。寝具メーカーの研究開発部長を経て2003年に独立。現在は、全国での講演や執筆、個人相談のほか、ベッドメーカーのコンサルティング、ホテルのコーディネイト、快眠グッズのプロデュースなど、企業の睡眠関連事業にも広く携わる。睡眠のスペシャリストとしてテレビや雑誌など多方面で活躍中。著書に『驚くほど眠りの質がよくなる 睡眠メソッド100』(かんき出版)ほか多数。http://sleepeace.com/

(取材・文/週プレNEWS編集部 撮影/五十嵐和博)