垂らした糸を手で手繰り寄せる、原始的なマダコ釣り! 週プレ釣り部には初挑戦で釣れるものなのかと不安が広がるが…

日本人には馴染み深くても、欧米では悪魔の魚と恐れられるマダコ。普通の魚の釣り方とはまったく違い、週プレ釣り部にとっても初挑戦となるマダコ釣りに、いざ出勤!!

***夏が旬の富津のマダコ。「川崎丸」の船長さんに聞けば、最近は好釣果の模様だ。特に3日前は30名の乗船で80杯、2日前は12名で35杯ものマダコが獲れたんだとか。私も本日の目標は5杯と心の中で誓った。

しかし! この日は台風と台風の間を縫う海況で、ピッチの大きなウネリが入ってきていた。これが台風前の爆釣になるのか、その場で撃沈の裏目にでるのか? 昔からタコ漁師の間では、タコはウネリに弱いとの格言があるそうだが、果たして?

とにかく釣りが始まった。ここは水深が12m、大貫沖だろう東京湾観音が近くに見える。

第1投目、水深が浅いのでタコテンヤは直ぐに着底した。初挑戦なので何もかもが想像の世界だ。どんな魚信(アタリ)なんだろうか? タコテンヤはひっくり返ってないだろうか? 隣の釣り友K氏も同様の初挑戦で「なんかモゾモゾしている気がするんですよ。結構難しいですね」と戸惑っている。

第1投目は船中の誰にも魚信はこず、すぐに移動。やはりウネリのある時は厳しいらしく移動中、船長も「台風の時はタコがウネリを嫌って巣穴に隠れちゃうんですよね」と不安をこぼす。

この時期、釣れているマダコは300g~500g級の小ダコ・中ダコが主体だ。タコは成長が早く、一潮回り(約2週間)で倍々に成長していく。また、釣るには物足りない感じがするかもしれないが、このサイズは身が柔らかくて甘みがあり食べて最高にうまいのだ。

ちなみに今日の乗船は7名で右側の片舷流し。船を風や波を受けるように横向きにして流しながら釣る操船方法。人数の少ない時の船の流し方で、潮まかせ、風まかせの釣り方だ。夏場の風波の弱く、海底が比較的平坦な場所を長く探る時に行なう。しかし、この日はウネリがあり船が大きく上下するので釣りづらい。

悪条件の中で釣れるの?

わずかに走って第2投目。右舷のミヨシで釣っていた人が忙しく道糸を手繰っている。船長も網を持って飛び出してきた。すぐに上がってきたのは体長40cmくらいの本命・マダコ。

ようやく張りつめていた空気が柔らかくなった。ほぼ同時くらいに今度は艫(とも)の釣り人が糸を手繰っている。こちらも型は大きくないが本命のマダコ。船中2杯目だ。船長もコクピットに戻ってすかさずマイクで「出ました出ました、やっと釣れましたよ!」と安堵している。

そんな周りの状況に初挑戦の私も少し安心しながら手をチョコチョコ動かしていると、何か指先にじんわりした重さを感じた。これって魚信なのか?と疑問に思いつつ、なおもチョコチョコしていると、突然ふんわりした。しまった、離したか!と焦り、大きく合わせた。それでも何かゴミが掛かったように少しだけ抵抗感がある。

道糸を手繰っていると、船長が頭の上から「タコか? あっ、タコタコ、タコ付いてるよ」とその小さなマダコを網ですくってくれた。

……あれ? さほどやった感や釣った感がない。気が付いたら釣れていたこの感覚、初めての釣りでのラッキーフィッシュした時の気持ちと近い。ともあれ本命のマダコだ。じんわり嬉しさがこみ上げてきた。

不器用にネットに納めると桶の底に張り付いて、こっちを見ている、カワイイ! それでもネットの穴から細い足先を出して、脱走の機会を窺っている。でもカワイイ!

■今回、お世話になった船宿 富津港「川崎丸」http://www.kawasakimaru.jp/

(8月16日配信予定の第3回に続く)

釣り上がったマダコ。四方八方にうねうね動く足は確かに悪魔っぽいかも(笑)