うねって荒れる海に、うっかり巣穴から出てきてしまったのだろうか…

雨は降っていないものの台風の合間で荒れ模様の中、週プレ釣り部はマダコ釣りにトライ! 苦心の末、待望の1杯目を釣ったが目標の5杯に届くのか!?

***前半戦は富津港沖から釣りをスタートし、東京湾観音(佐貫観音)の前くらいまで場所を変えながら挑んだ今回のマダコ釣り。徐々に弱りつつあるが、朝方からずっと南西の風が吹いている。

1杯目のマダコはゴミが引っ掛ってしまったような、じんわりとした不思議な手ごたえで釣れてしまった。珍しいといえば珍しいのだが、1度だけではあの感触はわかりにくい。その感覚を忘れぬうちにもう1杯と思っていたが、船中はたまにポツリポツリ釣れる程度に。

シビレをきらした船長は「ここはダメですねぇ~! 移動します!」と何度目かの移動を決意。これからはマダコの鉄板ポイントに行くという。そこは必ず誰かが釣れる場所らしい。

「ハイシーズンになれば釣れ過ぎて、少しセーブして温めているというほどの好ポイント。特に、上げ潮時にバツグンの釣果を出す場所」だというのだから、これは期待が高まる!

相変わらずウネリは収まらない。むしろ、ピッチが狭まって若干大きくなった感じがする。船中ではまだ7杯のマダコが上がっただけだが、萎み始めた釣り人のやる気を持ちあげるそんな船長の発言は、たとえ無駄だったとしても、目的を同じくし、その日たまたま乗り合わせた釣り人の一体感を醸成する。とても心地よい発憤のさせ方だ。

ちなみに船中で唯一マダコの顔を見ていない釣り友K氏も、そのひと言に沸々と期待感がわいてきているよう。そりゃー、釣り人にとって0と1は天地の差があるのだからカンフル剤になるはずだ。

しばらく走ってポイントへ。時間的には最後のチャンスである。水深は10mとさっきより浅い。ウネリの影響で底どりがかなり困難だが、第1投目からすぐに私の指に違和感が。「もしやこれは?」と思うと同時に心拍数が増えていくのがわかる。

やがて押さえつけられたような重さが。道糸をガシッと掴(つか)み、即座にアワセて手繰る。1杯目とは違う重量感が伝わってきた。濡れ雑巾を引っ張っている感じ、はたしてマダコなのか?

目標達成までは遠い!?

その疑心が確信に変わり、見ていた船長が玉網を構え「やっぱりタコ! マダコだ!」。無事2杯目をGET!! しかも、大型ではないがまぁまぁサイズだ。桶の中のタコはしばらくぶりで仲間がきたので、ウネウネ逃げようと動き出している。

タコは脱走名人なので、ネットに入れて海水の入った桶に入れ、帰るまで活かしておくこと。また、掴む時にも注意が必要だ。吸いついたタコを剥(は)がそうと、体の下側(8本足の付け根の真ん中)に指を入れてしまうのは、大怪我するので絶対NG。ここには強靭な口があり、貝やカニをバリバリ砕く力を持っている。正しい持ち方は、頭と足の間を鷲掴みにすることだ。

2杯目を釣った直後、なんとなんと再度魚信(アタリ)のような……今度は確信を持てぬまま手繰ると、おっタコ! 小さーーい300gを下回る大きさのタコがテンヤに付いてきた。ようやく3杯。残り時間は残りわずかだが目標に届くのだろうか。

鉄板ポイントでの2流し目、好ポイントだけに根掛りも多くなる。ベテランふたりがタコテンヤをロストしている。やはり、たくさん釣っている人は、底どりもセオリー通りに行なっているのだろう。このポイントはそんなに広くないようだ。ひと流しの時間が短く感じる。ピンポイントの隠し根なのかもしれない。

しかし最後の最後まで、あの場所この場所と走り回ったが、どうやら今日のマダコは巣穴に隠れたまま、ついに出てこなかった。やはり「タコはウネリに弱い」という漁師の格言は的中だった。そして、13時を過ぎたところで終了となった。

道具を片付けている時、船長が計量にやってきたが、その言葉が適わず、鉄板ポイントで撃沈とは…。このウネリさえなければと悔やまれる。そして、初めてのマダコの結果は3杯。全て数え終わって、本日のトップは4杯、ベテランさんふたりが分けた。

マダコ釣りはハラハラ、ドキドキよりも我慢の釣りだ。そしてマダコと指先の間合いやアワセのタイミングがエキサイティング。これから真夏が終わるくらいまで楽しめる。

ちなみに、K氏は「タコ釣りは運が7割、技術3割」の運に逃げられたのか、珍しくボウズで幕引き。ボウズにも優しいお土産タコ(釣れたてのタコを冷凍したもの。ボウズの人はこっそり船長からもらえる)を手に帰った。