皆さん、夏休みの宿題は終わってますかー? 私は31日に泣きながらやるタイプですが、もっと泣いてるのはカリブ海北東にあるアメリカ自治領「プエルトリコ」。
8月某日、期限を迎えた債務の返済ができずデフォルト(債務不履行)に。その債務総額は720億ドル(約9兆円)で「第2のギリシャ」といわれるほど。コロンブスに発見された、スペイン語で「豊かな港」という意味の「プエルトリコ」は、今や深刻な財政危機に陥っているのだ。
島の面積は四国の約半分で人口は約370万人。世界遺産にも登録された歴史的街並みはスペイン領地時代の雰囲気が残り、海賊が戦った要塞やカラフルなスペイン建築、バカルディのラム工場などがある。どことなくキューバっぽいと思ったら国旗の柄も同じ。配色は違うけどね。
事前情報ではバスを「グアグア」と呼ぶと聞いていたので、空港で「グアグア? グアグア?」とアヒルのように尋ねるも全く通じず。最終的にスペイン語で「ブスどこ?」と聞くと、簡単に通じた。バスをブスと言うのは、日本人としてなんか落ち着かない。
市内バスに乗ると小銭しか受け付けてもらえず、足りなかった分は笑顔でオマケしてくれた。その後も小銭がない人は「誰か両替できない~?」とか言いながらも無賃乗車がまかり通っている。そんなだからお金が足りなくなるのかも?と思いつつもラテンの陽気さに旅人は救われた。
たどり着いた安宿は宿泊客だけでなく、近所の若者のたまり場になっていた。裏庭では毎晩パーティーが開かれ、常に誰かしらが酒やら煙やらを自由に楽しんでいる。
「ジャパニーズドラマ面白いよね。あのコが好きなんだ。ライヤーゲームに出てる…えっと、菊地凛子!」
そんな絡みから始まり、勧められた袋タイプのお酒はなんと「ガソリーナ」。スペイン語でもちろん「ガソリン」です。
ラテンのサルサは日本の盆踊り?
悪酔いしそうなガソリーナのおかげですっかり仲間が増え、プエルトリコに40人しかいないという日本人の友達もできた。日本人のアイちゃんは「ハワイで出会ったプエルトリコ人と結婚して、彼の祖国を知りたかった」ことをきっかけに、今はこの国で剣道や書道など日本の文化を教えてる。なでしこジャパンの試合には泣いてしまったそう。
彼女いわく、財政破綻になっても今のところ特にパニックは起きていないとか。元々、物価が高く「生活もそのままで、相変わらずキビシイ~。失業率もずっと高くて、良い仕事、良い生活を求めてアメリカ本土に行っちゃう人がたくさん」とのこと。
彼女が案内してくれた世界遺産サンファン歴史地区。広々とした芝生からカリブ海に突き出たエル・モロ要塞は勇ましく、かなりの絶景。
そして隣接するサンファン市営墓地は、プエルトリコのスター「アチチ」の曲でおなじみのリッキー・マーティンも眠る予定だそうで、人々の憧れとなっているんだとか。かつては戦いが起き死者の眠るこの場所は、今ではファミリーの憩いの場や恋人たちのデートスポットとなっているんだね。あ、キスしてる…。アチチだわ。
プエルトリコは女性もホット。ジェニファー・ロペスや2014年のミスインターナショナルなどを輩出。実際に私が遊んだコたちはニコニコ社交的で、ラテン系の割にはコンパクトな印象と人懐っこさがかわいらしい。しかもセクシーも隠れているから、日本人男性にもウケが良さそう。
私が出会ったコートニーは、昼間のアルバイト時は爽やかで、まだ学生のやんちゃな笑顔を見せてくれたが、夜のライブバーでは腰をくねらしサルサを上手に踊りこなす。その姿はすっかり大人な女性と化していた。ラテンの血、恐るべし。
そして、日本人がなんとなく盆踊りを踊れるように、ラテンの国では誰しもが一応サルサを踊れるんだって。もし踊れないと、踊れる男のコばかりが女のコの手を取ってしまうので、ラテン女子に興味がある、そこのアナタはぜひサルサを学んでみては?
“アバクロ”のような卒アル
音楽はサルサだけではない。ヒップホップにラテン音楽を加えたレゲトンミュージックは、90年代にプエルトリコで発祥した。この国出身のダディー・ヤンキーの曲はスペイン語にも関わらず世界的な大ヒット!
その曲名は…「ガソリーナ」!! またかいっ(笑)!
マーク・クルーンなどのラテンアメリカ出身の野球選手、山本KIDも登場テーマ曲として使用し、日本のコンビニでだって流れてる。カリブ界隈でも大人気だったけど、歌詞がなかなかおエロだったり、人気が出すぎたために「キューバでは政府がレゲトンを禁止!?」なんて大げさに取り上げられたこともあったとか。それでも人気は留まらず、「私にもっとガソリンちょ~だ~い♪」の曲は世界で鳴り響くのだ。
ガソリン満タンの楽しい毎日は、みんなが頼る兄貴的存在ケンのおかげでもあった。日本人とのハーフのケンは日本語とスペイン語と英語が話せるトリリンガルで、ある日、私にこう言った。
「お母さんに会わせたいんだ…」
「えええ! まさかプロポーズ…!? 私もここに住んじゃったりして…」とドキドキしてしまいましたが、もちろんそんなワケはなく(笑)。これは、お母さんが日本人なので私と話が合うだろうという親切心。
家族団らんに旅人が混ざり、ケンの学生の頃の卒アルを見せてもらうと、ファッションモデルのように佇む生徒の集合写真はまるで「アバクロか!」とつっこみたくなるほどクール。こんなオシャレな卒アルなら人に見せられるよね。私の卒アルなんて黒歴史以外の何物でもなく、二度と開かれることなく眠っているというのに。
最後のあいさつに、ハグと左右のほっぺにキス(のように音を立てて)をして、心のガソリン満タンにして空港に向かうと…、
なんと空港は停電でした。ちーん。
でも、安心してください。飛んでますよ!
【This week’s BLUE】 プエルトリコラムはバカルディーだけでなくドンキューも定番。
●旅人マリーシャ 平川真梨子。9月8日生まれ。東京出身。レースクイーンやダンサーなどの経験を経て、Sサイズモデルとしてテレビやwebなどで活動中。バックパックを背負う小さな世界旅行者。オフィシャルブログhttp://ameblo.jp/marysha/、Twitter【marysha98】もチェック