前回の準備編で伝えたようにスポーツ報知の釣り記者T氏に挑戦状(釣戦状)を叩きつけた週プレ釣り部! 相手から指定され、太刀魚勝負となったわけだが勝負の行方は!?
*** 対戦当日の朝6時50分。もうすでに対戦者である我々は揃っていた。無難な雑談を交わし、編集K氏を待っていると「おはようございます! 始発で来たんですけど、ここ駅からすぐでいいですね~」とのんきな調子。
会話をしながらも「どんな勝負になるのか」と気になっていた私たちとは裏腹。もちろんサイズだろうが数だろうが勝つ気だが、早々に知りたかったのだ。
受付を済ませると、勝負形式も含めて改めて編集K氏から今回のルールが伝えられる。
<対戦ルール> ・釣り方は、エサ釣りとジギングどちらでも良い、仕掛けも自由 ・勝敗はタチウオ3尾の全長合計で、より長い方が勝者となる ・釣り座は開始前にジャンケンで決め、勝った方が先に選ぶ ・船長の終了合図の前に掛かった獲物はカウントOK
なるほど、3匹とは案外いいチョイスかもしれない。それなりに数も釣らなければならないし、小物ばかりでは勝敗に難癖がついてしまう。とにかく気合いを入れて、船に乗り込んだ。
出船後、釣り座決めのジャンケン。ここが大事だ。場所によっては勝敗を左右しかねない。運よく勝ち、即座に選んだのは一番後ろの艫(とも)。船後部の角なので270度が使用できる。ジギング、つまりルアーフィッシングならキャストやリフト&フォールするのにも好都合だ。
しかもオマツリが少ない。混みあった乗合船では水深が60mを越すと、やはりオマツリしやすくロスタイムの原因になる。まして今日は潮の流れが速いという予想だったから尚更だ。T氏はそのまま隣に座ったが、勝利に一歩近づいたとわずかな安心があった。
おまえは関係ないだろっ!!?
30分ほど走り、観音崎灯台の近くで船足がスローになった。遠巻きに他の太刀魚船が数隻、これもまたゆっくり旋回している。みんな魚群探知機で濃い群れを捜しているのだろう。
船がウロウロしている間、私は考えていた。本来の作戦では、ジギングでしばらく様子を見てみるつもりだった。しかし、出航前に船長が生サバを提供してくれた時の「生サバは冷凍サバより数倍食いがいい」という、ひと言がずっと気になっていたのだ。
数分間の躊躇(ちゅうちょ)の結果、直前になってエサ釣りに変更を決意したのだ。信念が薄らいでいる自分。吉と出るかどうか…。
最初のポイントに到着すると、水深60mで下から15mまで探るよう船長から指示が出た。
クラッチを切り、道糸がスルスル出ていく。オモリが底に着いたのを確認するとポーズ。2m巻き上げ、またちょっとポーズ。このポーズは仕掛けを潮の流れになじませているため。すぐに巻き上げるとハリスが道糸に絡むので、それを防いでいるのだ。
そして50cmずつ竿先を上下させながら、ゆっくりリールを1回巻いたらポーズ2秒。この誘いを指示された15mの間で行なう。時にはその指示棚帯が10mだったり20mだったりのアナウンスがある。
誘っている途中で極小の魚信(アタリ)なのか、道糸のたわみなのか不明な反応があった。魚信とは確信できなかったが、エサの点検で仕掛けを上げてみるとサバの短冊に鋭利なキズが付いていた。あぁー、やっぱりあの時、ポーズをとって食い込みを待つべきだったのか?
その後、2投、3投とも確信の魚信は出ない。T氏も同様で、静寂な戦いが続いていた。
「あれっ!? きてるかも!」
それは、みんなまったりしている時だった、誰も気づいていなかった。ようやくきたファーストヒットは、まさかの編集K氏の竿。まぎれもない最初の本命・太刀魚だ!
いやぁー、まいったまいった! 最初の1尾目を釣られてしまった。人生で3度目の沖釣りビギナーとは思えない、何か持っているんだろうか? 誇らしげに太刀魚を掲げていた。うぅ~ん、やられたぁ~!(悔しいので写真撮影は拒否しておいた)
驚きと落胆が入り混じる。今までの私の釣り人生ってなんなの?
お隣のT氏も同じ心境だろう。釣り人は最初の1尾を取られると結構凹むものなのだ。ただ「選手選抜を誤ったか!」など、最初のヒットのおかげで本日の関係者たちがにわかに活気づいた。
※釣り対決の様子は9月25日(金)まで毎週金曜日発売のスポーツ報知でも掲載!!
(9月27日配信予定の第3回に続く)