まるで漁船団のように集まる釣り船。太刀魚の魚群を探し求め、同じポイントにたどり着く

スポーツ報知の釣り記者T氏との真剣勝負に挑んだ週プレ釣り部! 身内である担当編集から勝負に水を差されるという不思議な展開になったが、果たして闘っている本人たちは釣れるのか!?

***一体、私たちはなぜ勝負をしているのか。今まで釣りに明け暮れ、鍛えてきたこの腕はなんだったのか――。

T氏との真剣勝負中、互いにファーストヒットがない中、最初に本命・太刀魚を釣り上げたのはまったくノーマークの編集K氏だった。釣りにおいてビギナーズラックなんてよくある話だが、こと編集K氏に至っては初回から3度続けてそれが起きているのだ。

一方、私には太刀魚のショートバイト(浅く食った状態)はあるもののしっかり掛かったフッキングには至らない。そこで、誘い方をいろいろ試すことに。

【1】小刻みにアクションを加えながら早巻き、大きくリフトしてゆっくりフォール 【2】指示棚帯を一気にワンピッチ・ワンジャーク 【3】電動でデッドスローリトリーブ 【4】竿いっぱい大きくしゃくりロングステー 【5】1m刻みでトゥイッチング

だが、ここまでしても魚信(アタリ)がこない――。対戦相手であるT氏と内心がっくりしながら、しばらく釣りを続けていると、私の釣り友K氏の竿が曲がっている。どうやら太刀魚が掛かったようだ。思わずT氏と私はしばし見つめ合ってしまった。

しかし言葉を交わすこともなく手が動いている。そして目が離れた瞬間、「きたぁー!」とT氏から雄叫びが発せられた。小気味よく竿先が上下に振れている。太刀魚がキラキラと見えてきた。おぉー本命だ。T氏は竿を置き、右手をいっぱいに伸ばして太刀魚を引き上げようと、その瞬間…。

「うわっ!」

ハリ掛かりが浅かったのか、無情にも閃光を残して海の中に消えていった。しかしT氏は、すぐさまエサを付け直して仕掛けを打つ。落胆するでもなく、地団太踏むでもなく、淡々と次の動作に移っている。さすがだ! すぐに切り替え、無駄なロスタイムを避けているのだ。

船中のあちこちで歓声が…

私といえば、いまだにオデコ。どのタイミングでジギングに変えようか迷いつつ、先のふたりのヒットでエサ釣りが諦めきれない状況だった。頭の中はカオス状態だが、みんなと同じことをやっていればいつかは自分にもと言い聞かせ、手の動きは止まらない。

オモリが着底して2m底を切ってポーズ、後は50cm刻みでユラユラ上下に誘っては巻きの繰り返し。しかし、神は見捨てなかった。底から10mくらい断続的に誘っていたら、なにやらモゾモゾっとした感触が。

一旦ポーズして竿先を30cm送り込んだ。すると、ググーっ! 待望の魚信! すかさず竿を立て合わせる。乗ったぁー! 意外と強い引きだ。おぉー、やっときたぁー! 電動の巻き上げスイッチオン! 水面直下まで抗(あらが)う太刀魚の引きだ。しかし、ついさっきT氏のバラシを目の当たりにしているので気が抜けない。

ギラリと魚体が現れた。その銀影から目を離さずに右手を伸ばし、ハリスを掴み一気に抜き上げた。船内に入り、ようやく1尾目!

ようやく最初の太刀魚が釣れ、ここからが勝負!

さぁーこれからだ!と間髪置かず2投目を放つ。前回同様に誘いをかけると、同じ棚で同じ魚信が!! 50cm送くると、またしてもググーっと引かれ、そして合わせる。まったく同じプロセスで食ってきた。たぶん、いい群れに当たったのだろう。船中のあちこちで歓声が上がる。

しばらくヒットが続き、私の4尾目は大型で推定(目測)で80オーバーは確実にあった。取りあえずこの時点で、私はリミットメイク(最低3尾)は達成されていた。

一方のT氏はというと、初物が出ていたが、まだ数も足りない。これはもしや、ひょっとすると…。

(10月4日配信予定の第4回に続く)