泡まみれの美女にキスされる! チュウ~!

夜中の空港に着くなり、見知らぬ誰かが捕まり連行されていく。さすが世界一のパーティーアイランド、イビザ島

バルセロナから空路で約1時間。スペインの世界遺産であるこの島は、第二次世界大戦後、ヨーロッパのヒッピー文化の中心として注目を集めた。

80年代終わりには島独特のダンス音楽とクラブシーンの享楽的な雰囲気をDJたちが発見したことにより、若者たちのパーティー・アイランドとして爆発的な発展を遂げ、今や世界中からクラバーたちが押し寄せる“聖地”に。

これまで世界3大パーティーの聖地「タイのパンガン島」「インドのゴア」を旅してきたけど、これで全制覇! パリピ(ノリの良い社交的な場が好きな人)な旅人マリーシャは、何かが起こりそうな夜を想像しワクワクしながらバスで宿へ向かった。

ところが宿のある場所は意外なほどにシーンとしていて、夜空に空腹の音が「ぐぅぅ~」と鳴り響くほど。島全体がパーティーな感じではないみたい。ちょっと期待ハズレ。

街の中心へ出向くと、各クラブへと向かうディスコバスの発着地にやっと行列を発見。「パーティーのチケットはその辺でいっぱい売ってるよ~!」と日本人女子グループに教えてもらって、ついにパー券を手に入れた。その価格45ユーロ(約6000円)。た、高い~。ちょい萎(な)え~。

チケット売り場を教えてくれた日本人女子たちと。黄色いネオンがクラブだけど、周りは真っ暗だし、こんなとこでパーティーあるの?

パー券、ゲット!

丑三つ時を過ぎた頃、バスはやっと老舗クラブに到着! 天井の高い体育館のようなフロアにズンドコズンドコ激しい音が響き、赤い光に照らされたステージの上でセクシーダンサーたちが踊っている。交代でメンズダンサーも登場! 「ウヒョー! ムーチョマッチョマン!」(競走馬の名前ではなく、スペインゴで超マッチョ男!です)。

そして周りにいるお客さんは暗闇効果かイケメンが多い…と思ったら、ぶっちゅぅぅぅ! キスゥゥゥ!

私じゃないですよ。イケメンとイケメンが。見渡せば周りはゲイだらけ。見つめ合い視線を絡ませたり、半分裸で抱き合って腰をくねらしたりと、妖艶な雰囲気を盛り上げてる。

肉体美をステージで披露。ボディービル選手権ではありません

イケメン同士なので見てて嫌な気はしないというか、ちょっと見とれてしまった

あのお騒がせセレブが登場!

お酒は高いので諦め、美女に絡む

しょっぱなから衝撃シーンでドキがムネムネ、喉がカラカラ~。こりゃあ、お酒でも入れて私もパーティーモードにスイッチ入れないと!

するとバーの姉ちゃんはこう言いました。「17ユーロになりまーす!」。えええ!? 高いとは聞いていたけど、お酒一杯が約2300円ってどんだけー! ムリだ、ガマン!

お酒は諦め、メインフロアに移るとDJをしているのは猫耳のカワイコちゃん。その姿、その首の角度、セクシーで華やかなオーラ、なんか見たことあるような…?

そう、あのお騒がせセレブ、パパパパパリスヒルトーン!!!

パリス・ヒルトンのDJタイムで皆アゲアゲ~

「再生ボタンを押す」だけで時給3500万円(4回のパフォーマンスで約2億7千万円)と、世界で話題のパリス姉さんのDJギグ。

生でプレイしているのか再生ボタンを押しているだけなのか真偽はわからないけど、2014年にはベスト女性DJとしても世界に名を轟(とどろ)かしてるんだからスゴイ。アンチの非難も多いけど、「音楽を愛しているから」と結構本気でDJの練習をしているらしい。やっぱりカワイイ~。

サイバー・パリヒー絶好調~♪

そして朝5時、ついにやってきたのが今宵のメインともいえる“泡パ”ターイム!

それまではどこに隠れていたのか、日本人や韓国人もワラワラとフロアに増えてきた。「クラブは好きじゃないけど、イビザの泡パは見てみたい」という人も少なくない模様。DJブースが大きな透明ビニールシートで保護されると、フロア全体は泡待ちモードでザワザワし始めた。

DJブースはビニールでカバー。トマティーナみたい

そこにパーティークイーンのパリス登場! なんてドヤ顔が似合うんだろう! 2階のVIP席から庶民の私たちを見下ろし、マイクパフォーマンス。泡が放出されるドデカいバズーカ砲の口を下界に向けると、学園天国ばりに「アーユーレディー?」と叫んだ!

「3、2、1……エスプーマー(スペイン語で泡~)!!」 ブワァアアアアアアア!!! 泡、泡、アワ~!!

2台のバズーカ砲からこれでもかの泡がブチまけられるっ!

本気で死を覚悟するパーティー

「わぁ、すごい! 雪みたーい!」

なんて喜んでたのは遠くから眺めていた初めの数分。あっという間にフロアは泡だらけになり、私みたいなチビは埋まっちゃうぐらいの深さに。

フワフワの泡はぬぐってもぬぐっても上手に取れない。「泡が口にー! アワワ! 息がッ!」…。

これは楽しいパーティーなはずだよね、と一応笑顔を保っているけど、実際は呼吸の確保に必死でパニック状態。「本気で死を覚悟するパーティー」の噂は嘘ではない。あわわ~、命がけだよ~!

泡の量がハンパない!

溺死寸前!

泡が入った耳に天空からパリスの高笑いが聞こえてくる! セレブの悪ふざけは行き過ぎていて、その泡は留まることを知らず。水中眼鏡も前が良く見えないし、足元はヌルヌル滑ってコケる。

誰かが拾い上げてくれたと思いきや、脇からヌルリと服の中に入ってくる人間の手。

「キャアアア~!!」

実はこのパーティー、ちょっとヤバイのが、時々泡に紛れてお触り君がいること。女子は注意が必要です。

1時間もすると、最後は雨のように水が降り始めた。顔まであった泡はみるみるうちに腰ほどまでに下がり、そこには上半身裸や水着姿の人間たちが現れた。

いつのまにかみんな水着

はぁ。ヘトヘト……。なんてパーティーだ。信じられない。同じ1時間だけど、トマティーナよりもキツかったかも! もう泡はコリゴリ~。体はズブ濡れで激サム。

出口にはバスタオルと着替えになるTシャツのセットが25ユーロ(約3350円)で売ってたかな。これもパリスのギャラになるのかな。タオルくらい無料配布してほしい…。私は全身ビシャビシャのままタクシーに乗り込んだ。

パリスよ、もう泡は十分だよ。後日、私は飲むほうの泡で、パリスの足元にも及ばない、ほんの少しのセレブ感を楽しむことにした。

シャンパンもみんなでワリカンすれば怖くない(笑)

【This week’s BLUE】イビサ島からフェリーで1時間ほどで行ける地中海の楽園フォルメンテーラ島。

●旅人マリーシャ平川真梨子。9月8日生まれ。東京出身。レースクイーンやダンサーなどの経験を経て、Sサイズモデルとしてテレビやwebなどで活動中。バックパックを背 負う小さな世界旅行者。オフィシャルブログhttp://ameblo.jp/marysha/、Twitter【marysha98】もチェック