ボンジュール。コマンタレブー? やってきました、人生3度目、華の都パリ。
10月といえば世界からファッショニスタが集まる、最大規模のファッションウィーク、いわゆる「パリコレ」の春夏が発表される時期。
「きっと街中がオシャレであふれかえってんだろうな~☆」なんて想像すると、旅もいいけど、そっちの世界にも触れてみた~い!
…が、優雅な旅行ではなく「旅人になった私」が降り立ったのは、華やぐシャンゼリゼ通りや凱旋門などの中心地から外れた北駅。過去に記憶したパリとは違い、まるで南米を思い出すかのような光景がそこに。
駅の周辺では、タクシーの客引きと見られる多国籍の男たちにジロリと睨(にら)まれ、街にバゲットを抱えたマダムは見当たらず、赤ちゃんを抱えた母親にお金をねだられる。
どこか懐かしい匂いすら感じながら、慣れた様子で通り過ぎ、宿に着いた。すると受付の男はベネズエラ人で、スペイン語を話すと喜んだ。やっぱり出てるよ、南米感!
でも北駅周辺は南米系というより、アラブ人街やアフリカ人街が広がり、ユダヤ人や中国系、東欧系など多くの移民が集中しているらしい。そこはもう、まるで異国であり、移民問題は複雑そうだけど、こんな一面があることに少し興味が湧いた。
私は狭いドミトリー部屋の3段ベッドの一番下に腰かけ、ひと息。都会だから大丈夫と思って期待していたWi-fiの調子はすこぶる悪い~。
電波を求めカフェに行くと、マンガ喫茶でボタンをポチっと押せば出てくるようなコーヒーが4ユーロ(約560円)とお高いし、安宿だってインドとかタイに比べたら10~20倍。ヨーロッパは旅人が悲鳴を上げる物価なので、おのずと理想のパリジェンヌ生活とはかけ離れてしまうよね。
その中でもコスパ良しな旅人フードは、なぜかやたら多いケバブ屋さんや、夕方は半額セールになるスーパーのチキン丸焼きなど。値上がりしたものの、初めてバックパッカーで来た時と数年たった今、お腹を満たしてくれるものは同じだった(笑)。しかも美味しい。
しかし、パスタはなぜかパリではブヨブヨに茹でられ、まるでソフト麺だと皆が口を揃えて言うので注文は避けたい(笑)。
日本男子のモテ期到来!
さて、フランスでも間違いなくEDMやエレクトロ要素の強い音楽が人気ですが、そんな中、Perfumeやきゃりーぱみゅぱみゅをプロデュースしたことで海外でも有名な中田ヤスタカ率いるCAPSULE、元格闘家・須藤元気率いるパフォーマンス集団WORLD ORDERなど、世界で活躍する日本人アーティストのフェスがパリで開催されるとのこと。
オープン前から会場入り口に並んでいたのは、クラブ系のパーティーピーポーでも、泡パの時のような美しいゲイたちでもなく、「日本のアイドルが大好き~!」と言う愛想の良いフランス人のオタクくんたちだった!
会場内には音楽ファンにまじってピカチュウのコスプレや日の丸のハチマキを巻いた人たちがいたりして、9人組アイドルユニット・Cheeky Paradeが歌えば、光るライトを振り回す。実力派ユニット・Charisma.comが歌うと、日本語だろうが初見だろうが良質のものにも反応を示すところは、オタクである前にフランス人らしい。
そして、かの有名なオタ芸、ガニ股で激しく人差し指を右や左に突き上げる動きもこなすという本物っぷり。
そんな日本のカワイイやカッコイイを好きな彼らは、日本の文化を理解している、または知りたいと思っているので、同時に日本人にも興味を持つみたい。
そういえば先日、日本式のキラキラ派手なネイルアートをしたカワイイ金髪の美人が英語でこんな話をしていた。
「今度日本に行くんだー。え? 日本人の彼氏? もちろんいるよ♪」 「えー! 日本人の彼氏いいなー! うらやまし~☆」
過去には、海外で日本人男性が世界一モテないと言われた氷河期もあったけど、今や時代は変わった? 特に日本文化が好きなタイプのコたちは、マンガに出てくるような日本人男子のシャイで言葉足らずな一面を「カワイイ」と感じているのだとか。
以前、派手めなカリフォルニアガールも、日本人男子を「He is cute!」としきりに言ってたっけ。我らが日本男子の人気の秘密は「カワイらしさ」なんですね。今や、純粋に日本の男性をステキと思う外国人女性は意外と多いみたいですよ!
本格フレンチに舌鼓
パリで南米感や日本文化を味わったので、最終日こそフレンチ気分をと、昨年、星を取った予約必須のレストランに向かった。予約ナシ&移動日でバックパック姿という悪条件だったのでダメ元で…。
気高き音楽の貴公子Gackt様がパリにて、「白人客は入り口付近へ、そしてアジア人はやはり奥の席へ座るよう指示されていた」という体験をブログで綴ったのは割と有名な話。
もし同じ目にあっても、彼のようにフランス語で論破するなんて高等技術を持ち合わせていない。第二外国語は仏語だったのに、ボンジュールとメルシー専門という、なんとも学費のもったいない学生だった私。この場を借りて親に謝っておこう。エキュスキュゼモア、デゾレ~。
ところが、そんな心配をよそに「カウンターだけしか空いてないけどよろしければ」と、マダムは私を道路に面した窓側の席に座らせてくれた。わーい。
スマートカジュアルなフレンチでドレスコードはないようだったけど、さすがに汚いバックパックをドーン!ではミシュランにも失礼。バックパックはただ大きなバッグなんですよ~と手提げ風に持ち、すぐさま壁のはじっこに隠すように詰め込んだ。
そして、いよいよおパリの味を堪能。しっかり旨味を引き出したお料理で、素材のスープがジューシーにあふれ出す。私はサワーブレッドでお皿が新品になるほどキレイにソースをぬぐった。セボン! セシボン!
しかしチーズケーキと思い注文したデザートは、本当のザ・チーズ! それもケーキくらいの大きさのがふたつも。お食事とともにワインは飲み干してしまったし、これは小さな日本人旅人の胃には重たいぞ。
こんなオシャレなお店でやりたくないけど、これから長距離バス移動を控えた私はコッソーリ、紙ナフキンにチーズをくるんで、ポケットに忍ばせた。
パリ土産はエッフェル塔のキーホルダーくらいしかないので、このチーズを土産代わりにパリを去る。
しかし、実はこの後、とんでもないものをお土産にしていたことが発覚…。
次回、閲覧注意! ついに旅人最大の敵と出会う。お楽しみに~!
【This week’s BLUE】 モン・サン・ミッシェルの夜。雨が降ると、石造は物悲しく涙を流していた。この涙はこの後の旅の暗示かしら…
●旅人マリーシャ 平川真梨子。9月8日生まれ。東京出身。レースクイーンやダンサーなどの経験を経て、Sサイズモデルとしてテレビやwebなどで活動中。バックパックを背 負う小さな世界旅行者。オフィシャルブログhttp://ameblo.jp/marysha/、Twitter【marysha98】もチェック