現代にはないような、それぞれ個性的なフォルムでひと際目を引かせる“クラシックカー”。今年オープンした「「GLION MUSEUM(ジーライオンミュージアム)」(大阪)など専門の博物館もあり、もはや芸術品ともいえる存在だ。
そんなクラシックカーが集まり、公道レースを行なうのが「La Festa Mille Miglia(ラ フェスタ ミッレミリア)」。元々はイタリアのイベントだが、日本でも1992年から開催。今年は16日(金)に明治神宮(東京)を出発。軽井沢や箱根など7県の一般公道を走り、19日(土)に明治神宮に戻る約1200kmのコースで行なわれた。
19回目を迎えた今回は、なんと146台が参加。普段は100台程度だが、毎年参加し、ミスターミッレミリアともいえるタレントの堺正章も「今回は特にすごいですよ! 毎回こんなに参加することないから、街道から観ているファンの人はすごく嬉しいんじゃないですか」と興奮気味に話した。
スタート前、明治神宮の駐車場には検車を受けるクラシックカーがズラリと並ぶ。1台何千万円、億を越すものもあるのがクラシックカー。見た目も華やかながら、その総額を考えると正直ビビる。受付で「何かあったら保障にいくらかかるかわからないので気をつけてください」と警告されるのだから尚更だ。
集まった名車はフェラーリやポルシェ、アルファロメオなど現在でも高級車とされるメーカーはもちろん、すでになくなったメーカーの車も。およそ半数が戦前に作られたもので、一番古いのは1922年の「BUGATTI T13」と「BUGATTI T23」だ。人間でいえば、すでに卒寿(そつじゅ)を超えている。そんな名車が普通に走るのだから驚きだ。
逆に参加した中で一番新しい車は、1968年の“日本唯一のスーパーカー”と呼ばれた名車「TOYOTA 2000GT」。当時の価格で200万円以上と高価なため生産台数も少なく、いまや“幻の車”としても有名な一台だ。新しいといっても伝説の仲間入り、この車が公道を走っているだけでも観る価値がある。
堺正章、横山剣が語る魅力とは
ただ、レース初日の16日はあいにくの雨模様。ルーフ(屋根)やドアのない車も多く、それ以前にただでさえ故障しやすいクラシックカーにとって雨は避けたいもの。修理やメンテナンスだけで、想像もできないような金額になるのだから見ていて心配になるが、参加するオーナーたちは皆気にせず、スタートまでの長時間は参加者同士、笑顔で交流。やはりお金持ちは常に余裕なのか…。
「雨で残念ですけど、そういうものなんだから仕方ないですよ。街道で観ている方々には大変ですけどね。あと、どうしてもブレーキのゴムの間に水が入ってきてしまうので、運転は気を付けないとですね」
と、堺も愛車の「MASERATI A6 GCS SERIES1」よりもレースの心配。さらに過去2度の優勝経験があるだけに「結果よりもこうしてみんなが観れて楽しめることが僕も嬉しいんですよ。“クラシックカーの祭典”ですからね。ただ完走できないとね、目標はそれだけですよ」と観客も含めたイベントの参加者への配慮を見せた。
また、「AUSTIN HEALEY 100/4 BN2」で参加しているアーティストの横山剣は、
「今回はすごい車が揃ってますよね。僕の車はまだまだ若造ですからね。こないだ堺さんの車を運転させてもらったんですけど、また違って楽しかったです。こうし ていろいろなクラシックカーが集まって一緒に走れるのがこのイベントのいいところ。でも同じ車の中で上位にはなりたいかな。車が一緒だと言い訳できないの で(笑)」とイベントの魅力を明かした。
レースとして順位を争うだけではないのが、この「ミッレミリア」。中には「岩手から来ているんですけど、もう500km走ってきたんですよ。毎年参加していますけど、年に一回、娘と一緒に(移動を含め)1週間のドライブ旅ができるのが嬉しいんです」と親子の絆を深める思い出作りとして、楽しんでいる人もいるようだ。
参加者たちはこの日の出発後、軽井沢に到着。18日(日)には富士河口湖町(山梨)や御殿場市(静岡)を通り箱根(神奈川)へ。翌19日は伊東市(静岡)や横須賀市(神奈川)、そして銀座(東京)を経由し18時までに再び明治神宮へ戻る。チャンスがあれば、街を走る貴重なクラシックカーの姿を観ておこう!
(取材・文/週プレNEWS編集部 撮影/鈴木昭寿)