『紅の豚』マルコのアジト発見!

ヤーサス!(ギリシャ語でこんにちわ!)

今回は、ジブリ映画「紅の豚」“ポルコの秘密基地”のモデル地では?と言われている、ギリシャのザキントス島を目指します!

“紅の豚”は子供の頃に見たっきりで、「なんで主役がブタのおじさんなんだろう」と、全くストーリーを理解できなかったっけ。

でも、せっかくザキントス島に行くんだからと、アテネ出発前夜に改めて映画を見直すことにした。すると、

「ずきゅーーーん!」

なんだ、これは。ラピュタを超えてジブリ史上、一番好きかも。ディズニー党の私も深く胸キュンしちゃう名作。私もジーナのあの色っぽい声で「バカ…!」って言ってみたい。今さらですが、大人のほろ苦いロマンに泣いた。

いきなり見せちゃいます!“紅の豚”のアジトにそっくりのこの入り江を目指します。反対側の崖は鮭の切り身の形にそっくり

翌早朝、アテネから市バスに乗って長距離バスのターミナルへ向かった。錆(さ)びれた感じがどこか南米を思い出させる。

街から離れた長距離バスのターミナル

朝の寒さで冷えた体を温めようと、初のグリークコーヒーを購入。口を付けると、

「グエッ。何コレ、ちょーマズイ!!」

ザラザラとコーヒー豆のカスが残る舌触り。ドロリと濃く苦味のある茶色い液体。これ、絶対作るの失敗したでしょ。

英語の通じない店員にジェスチャー交えて「コレ、たぶん違うと思うんだけど」と必死に訴えるも、その内容は伝わらなかった。

「仕方ないか」と、ガマンしてコーヒーの上澄みをすすり、激遅Wifiでグリークコーヒーについて調べる。どうやらこれが正解らしい…。

炒ったコーヒー豆を粉末状にして沸騰させ、泡立った状態から粉が沈むのを待ち、上澄みを飲むのだそう。

飲み方はあってた(笑)。私、ただのクレーマーじゃん。知りもしないで私の「バカ…!」

ザラザラドロドロしたグリークコーヒー。1.20ユーロ(約160円)。抗酸化力が高くポリフェノールが多く含まれ長寿に効くんだとか

そこは、まるでアニメの世界

バスを乗り継いだ後、海を渡る大型フェリーはたったの8.4ユーロ(約1120円)。船内はかなり豪華でワーゲンのワゴン展示やキッズの遊び場、個室からブルーライトのバー的空間まである。

ゴージャスな船内

私はとりあえずオシャレなソファー席に座り、今度こそはザラザラ感のない、ギリシャで人気のフラッペコーヒーを楽しんだ。一泊したいくらいの快適フェリーだったけど、1時間でザキントス島に到着。静かでのんびりとした港町だ。

ザキントス島の夕暮れ

次の日の朝、私は早速、“ポルコの秘密基地”へ向かった。

そして、ついに到着すると、現場は海沿いの断崖絶壁。地球の果てのような崖の淵まで歩み寄る。

「うっひょーおおおお!!」

地球が青くて丸いのがわかるほどの水平線

地球の形がわかるほど完璧でパノラマな水平線。さらに、アジトのある入り江を覗(のぞ)き込むように崖沿いをまわり込むと…、

「紅だー! 紅の豚だー!」

そこにはアニメの世界が現実になったかのような光景が広がっていた。迫力のある切り立った断崖絶壁。人の目から隠れ、自由だけどもどこか孤独で寂しそうな麓(ふもと)のビーチ。

「きれい…。世界って、ほんとうにきれい」

私の口からつい零(こぼ)れ落ちたのは、映画に出てくる“少女フィオ”のセリフと全く同じだった。

崖っぷちから見る入り江。奥まってるため身を乗り出して命がけで撮影。一歩踏み外したら海の底。まるで火曜サスペンス!

メインのアジトの手前に、もうひとつ隠れた入り江を発見!!

生涯でナンバーワンのビーチ

「あのビーチにたどり着きたい」

しかし、200mもある断崖絶壁を“空賊の用心棒カーチス”の登場シーンのように崖をつたって降りて行くなんて荒業はできるわけがない。ボートツアーもオフシーズンの為、見当たらない。こりゃあ直接交渉か。

港のおっちゃんをナンパして…もとい、お声かけさせていただき、「ボートをどうにか出していただけないでしょうか?」と問う。

「いいよー」

ダメか、そうだよね、やっぱり…んん? え? いいの? いいの?!

もちろん有料ではありますが、ボートを出してもらうことに成功。こりゃあ「美女にダメ元で声かけてみてよかった」のパターンです。

港のおっちゃんをナンパ。のイメージ図

崖の麓にあるナヴァイオビーチには、1983年、ギリシャ海軍に追われ難破した、タバコ密輸船パナギオティス号が座礁していた。まさにアジトと言える隠れた秘境。こんなカッコイイ入り江は見たことない! ビーチ好きの私は数々の海を見てきたけど、インパクトでは生涯でナンバーワンでした。

ナヴァイオビーチ。「ナヴァイオ、ヤバイよー!」テンション上がりすぎて「アーイェーオーイェーここ入り江!」です

錆び付いたパナギオティス号と下から見た崖…と、パンツの私。「安心してください、水着ですよ」

すっかり映画の世界に入り込んだ私は、宿へ帰るとパソコンで久石譲の曲を流し、ワイングラスがないのでコップに入れた安いワインを回しながら、マダム・ジーナ気取りだが…。

「ぐぅ~」

ロマンや空想にふけっていても腹は減る。島は物価が高そうだけど、旅人の味方、ギリシャのお手軽フード・ギュロスに助けられた。たった1.50ユーロ(約200円)で、ずっしり腹パン。私は毎食、どっさりポテトの詰まったコイツで、危うく“ただのブタ”になるとこでした。ブヒ!

毎食ギュロス。写真の見た目よりパンチあります

【This week’s BLUE】青の洞窟にも行きました! セノーテのように澄んだ青。泳ごうか迷ったけど寒すぎて断念。

●旅人マリーシャ平 川真梨子。9月8日生まれ。東京出身。レースクイーンやダンサーなどの経験を経て、Sサイズモデルとしてテレビやwebなどで活動中。バックパックを背負 う小さな世界旅行者。オフィシャルブログもチェック! http://ameblo.jp/marysha/ Twitter【marysha98】