まだ暗く、冷たい海風が吹きぬける中、船で向かったのは脂の乗った真サバのため!

前回の週プレ釣り部VSスポーツ報知の釣り対決から約3カ月。敗戦のショックは早々に癒えていたのだが、タイミングが悪く海が荒れ、釣りができず…。ようやく漁船に乗れた今回は千葉・勝浦周辺で広がる伝統釣法「カモシ釣り」で大物の真サバにチャレンジ!

***黒潮が通り、一年中水温が高めなため、多くの魚種に恵まれている勝浦。

勝浦周辺といえば戦前、房州沖のサバ漁が盛んだった。特に北海道沖などでエサを十分に取り、この時期に南下してきた寒サバ(真サバ)は脂が乗った絶品だ! この寒サバの魚群を追って漁が展開されるのだ。

昭和40年代から神奈川、千葉、静岡、東京の一都三県のサバ漁船が出漁した。昭和50年頃からは夜に海面をライトで照らし、コマセに集まってくるサバを玉網ですくう「たもすくい漁」が盛んになった。

しかし、昭和57年以降、ゴマサバが多く混じり、真サバの数が激減。そこで登場してきたのが「カモシ釣り」だ。勝浦周辺の一本釣り漁師が希少な極上真サバを釣るために考案。この釣法が今でも勝浦周辺地区では行なわれているのだ。

カモシ釣りの大きな特徴は、直径5cmの丸い口金に30cmほどの底が膨らんだ布袋。この中に海水でドロドロに溶かしたサンマのミンチを詰める。

巾着袋のようなカモシ釣り用の布袋(左)に、サンマのミンチを詰めていく(右)

降り注ぐエサに魚がダンス?

金属やプラスチックの容器だと、海中に下ろす途中でコマセが出切ってしまうが、布なので下り切った段階でまだコマセは残ったまま。

海へ投げたら2~3分に1度、竿を振ってコマセを撒(ま)き、魚を誘う。上から降ってくるコマセに気付いた魚たちは、コマセに向かって上昇し、一気に飲み込み下へ反転する。うまく魚群が気付けば、海の中では大量の魚が縦横無尽に動き周り、美しい舞台が広がっているのだろう。この時、エサに食いつくと、竿先が大きく引き込まれるのだ。

コマセをドロドロにする理由は、テイストの強いサンマのエキスを遠くまで帯状に散布でき、集魚効果が抜群だからだ。集まってくる魚種も多く、その中にレアなモンスターが潜んでいる。

大事なポイントは、コマセの粘度を調整。潮流に合わせるのだ。早潮の時はハリスが浮くので粘度はゆるめ、遅い時はハリスが下がるので粘度は固めにしておくことで、その効果を発揮しやすくなる。

そして、もうひとつの特徴は、道糸からハリスまで一直線になった誘導式テンビン。魚の魚信(アタリ)や引きをダイレクトに竿先に伝え、大型の魚を捕るためにあらゆる抵抗を排除できる。

また、大物狙いのカモシ釣りで使用するライン(道糸とハリス)は、伸びて引っ張られる力を逃がせるナイロン製がオススメだ。カモシ釣りは魚の疾走をタイミング良くいなし、魚と釣り人の一対一の力比べ。それがたまらなく面白いのだ。

【タックルデータ】ロッド:長さ2.0m前後、オモリ負荷60~100号が可能な大物専用竿リール:パワフルでドラグ性能の良い中型電動リール、又は両軸リールPEライン:5.0号を200m巻き、リーダーはナイロンの20号を3m直結するハリス:ナイロン10~14号6mハリ:ヒラマサバリ13号オモリ:100号コマセ袋:カモシ釣り専用のカモシ袋コマセ:サンマミンチエサ:サンマ身エサ(2センチ幅の輪切り身を外側に裏返す)、ヒイカ(丸ごと1パイ)

(12月27日配信予定の第2回に続く)