「アメリカ横断十字架行進」中のアーサー師。売春宿の前を歩いているとき、グラマーな女性がいきなり胸元からお金を出して渡そうとしてきたこともあったとか 「アメリカ横断十字架行進」中のアーサー師。売春宿の前を歩いているとき、グラマーな女性がいきなり胸元からお金を出して渡そうとしてきたこともあったとか

64歳にしてこの引き締まった上半身。そして見事な入れ墨。元暴力団員たちを集めたクリスチャン集団の結成。今年は十字架を背負ってアメリカ大陸の横断も遂げたーー。

そんな型破りすぎる牧師からのクリスマスメッセージ!

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全身に入れ墨を刻んだ牧師、大阪市西成区生まれのアーサー・ホーランド師。本名、岡田正之(64歳)。父は元米軍海兵隊員で母は日本人。「日本キャンパス・クルセード・フォー・クライスト」というプロテスタント系キリスト教宣教団体に所属するが、特定の“教会”には所属していない。

「俺の役目は、普段、教会に来ない人に語りかけること。ジーザスも村々を歩き回った。俺は全国をバイクで走りながら講演をするんだ。そして求めているやつにパワーを注ぎたいんだ。俺にとっての教会は、この自然界。青空、白い雲、夜空、星々、これが教会の天井。大海原、サハラ砂漠、草原、これが床。吹く風は神の愛のスピリット。そして鳥のさえずりが賛美歌だ。

俺は教会というのは、外の大きな世界を感じるための小宇宙だと思ってる。そういう意味で、確かに教会の建物はひとつの表現だけれども、やはり教会のエッセンスをつくり出すのは建物ではなく、そこにいる人。逆に、そこにいるやつらがプログラム化されてる教会には魅力がないよ」

そう語るアーサー師は、ホンダ1800㏄ゴールドウイングに乗って全国を飛び回り、年300余りの講演をこなす。

「教会はもちろん、ライブハウスでもやるし、様々な教団や宗派にも呼ばれる。有名企業や美容関係の会社、料理専門学校やすしチェーンもあった。講堂で1千人の学生を前にして話すこともある。みんな真剣に聞いてくれるよ。デリヘル嬢が何人も来て洗礼を授けたこともあるね」

実際、師の元には社会の底辺でもがき苦しむ人やドロップアウトした人たちも多く集ってくる。今から二十数年前のことだ。師は「人が教会に来ないなら俺が人のいる所に行こう」と、白いスーツを着て新宿アルタ前で路傍(ろぼう)伝道を始めた。すると元暴力団員がイエスの教えを請うようになり、さらに同じような人たちが数名加わって、「ミッション・バラバ」というクリスチャン集団が生まれた。

その後、ミッション・バラバの活動は他メンバーに委ねられたが、この物語は2000年に『親分はイエス様』という映画になっている。

150日かけ、徒歩でアメリカ大陸を横断!

そんな師は、2014年から15年にかけ「アメリカ横断十字架行進」を敢行。カリフォルニアからニューヨークのロングビーチまで、40㎏もある手製の巨大十字架を担いで歩いた。一日20マイル(32㎞)ずつ進み、延べ150日かけて4800㎞余りを踏破。今年6月に見事、ゴールしたのだった。

「十字架を背負って歩いていると、そこに引き寄せられてくる人間がいる。俺はそれを“飛ばされてくる”と言うんだけど、行進の終盤、ニューヨークのブルックリンを歩いていたら、全身入れ墨のヤク中男が声をかけてきた。『俺は何度も神に誓った、ヤクはやめると。でもまたやってしまう。ジーザスは俺のことを見放したんだ!!』って。

でも、『今日、俺が十字架を担いできたのはおまえのためだ。おまえは愛されているし、許されている』と言ってそっと肩に手を回したら、ワァっと泣きだして。その後、泣き続けながら一緒に歩いたよ(笑)」

最後に、師から皆さんへのクリスマスメッセージを。

「マイナスと思われるような思考の中にもプラスの思考はある。ジーザスっていうのはそれを気づかせてくれる存在なんだ。そして、クリスマスというのは、ジーザスがあなたのために愛と救い、そして永遠の命を与えてくれるものなんだよね。どうぞこのプレゼントをお受け取りください。メリークリスマス!」

 12月6日、東京都練馬区の成増教会で講演をするアーサー師。この日もホンダの1800㏄ゴールドウイングにまたがってさっそうと登場した 12月6日、東京都練馬区の成増教会で講演をするアーサー師。この日もホンダの1800㏄ゴールドウイングにまたがってさっそうと登場した

●牧師 アーサー・ホーランド 本名、岡田正之。1951 年生まれ、大阪市西成区出身。見事な入れ墨のきっかけは「40代の時、アメリカで牧師をやっている弟が入れたものを見て」とのこと(!)。「最初はポイントだけだったが、空いている所を間を埋めていくうちに『俺は日本の血が流れているからやっぱり和だな』と(笑)」。全米レスリング選手権チャンピオン(サンボ)2回ほか、若き日はアスリートとして活躍。著書に『不良牧師!「アーサー・ホーランド」という生き方』(文春文庫)ほか。公式サイトをチェック! http://arthurhollands.com/

(取材・文・撮影/酒井透)