ドブリーデン(チェコ語でこんにちわ)!
ウィーンからチェコの首都プラハにやってきました。
プラハは奇跡的に戦争の被害を受けず、歴史ある建築物が今も残る中世の街。音楽の都としても有名で「のだめカンタービレ」の映画ロケ地ともなりました。
そんなプラハを訪れた理由は、バレエ鑑賞。バレエといえば「白鳥の湖」「くるみ割り人形」などが有名ですが、そのバレエ音楽の作曲家チャイコフスキー(ロシア出身)がまたイケメン。私、バッハより、普通にチャイコフスキーが好き。ハイ。
プラハに到着して早速、国立オペラ劇場で公演される「白鳥の湖」や国民劇場「くるみ割り人形」のチケットをネットで探すが、すべて完売。さすが超有名人気演目。数ヵ月前の予約が当たり前みたい。
こうなったら直接、チケットオフィスに行ってみて当日券にトライか、ダフ屋がいることを願う。
プラハの宿は中心地でも安くて綺麗。150コルナ(約750円)の12人部屋に荷物をおろすと、まずは「白鳥の湖」を求めてオペラ劇場に直行した。
開演2時間前のオペラ劇場はまるで閉館かと思うほどの静けさで誰もいない。建物の脇にある小さいチケットオフィスには列もなく「当日券もないし完売よ」と告げられた。
諦めきれない私は張り込みを決意。
開演時間が近づくにつれ次々と車がやってきて、ゴージャスな毛皮の女性が降りてくる。歩いてくる人もチケットをヒラヒラさせながら喜々とした様子で劇場に入っていく。
私は極寒の中、その光景を羨ましそうに見つめ、ハチ公のようにダフ屋を待った。…が、現れず、ミッション失敗。
ついに念願のチケットをゲット!?
寒さと飲まず食わずの1日でフラフラ。空腹の私は、路地に出ていた中華料理屋のメニューにつられ、お店がある建物の階段を上った。
100コルナ(約500円)で食べられる熱々の肉野菜と久々のガッツリ白飯にご満悦。安定の中華に謝々(シェイシェイ)と頭を下げ店を出た。
静かな建物の階段を下りていくと、そこで若い男女が注射らしきものを…。
「え!」
ウィーンの宿でもオジサンが突然自分にブスっと注射を打っててビックリしたけど、それは糖尿病だった。今回はどうやらそれとは違う様子。
目が合ってしまった。怖い。私は「何も見てないですよ」という感じで足早に横を走り抜けた。
プラハはスリや置き引きなどに気を付ければ比較的治安は良いほうだけど、初日からハードなものを見てしまった。通りに出ると、カジノやマッサージ屋、ナイトライフ系のお店が動き出し、黒人男性が客引きをしている。そういえば、プラハって数千円でヨーロッパ美女と“仲良し”できるって聞いたことがある…。
美しい街の裏には「新宿スワン」な世界も隠れているのかしら…。私が見たかったのは「白鳥の湖」の世界なんだけど~。
翌日は「くるみ割り人形」のチケットを求め国民劇場に向かい数時間張り込んだが、やっぱりチケットは手に入らなかった。
仕方ないので観光をして帰ることにすると、目に飛び込んできたのは「SWAN LAKE(スワンレイク)」の文字。なんと別の劇場でも公演があったのだ。チケットはミドルクラスくらいの席で950コルナ(約4750円)。ウィーンで見たバレエの約10倍の値段。
オペラ劇場じゃないのがネックだけど…念願叶ってチケットゲット~!
いよいよ「白鳥の湖」を鑑賞! のはずが…
私はやっと手に入れたチケットを握りしめ、ワクワクしながら劇場に向かった。
劇場はミニシアターのような感じで、横入りをする客に押しのけられながらガタついた座席に座った。オペラ座とはだいぶ雰囲気の違う客層。オーケストラなどはない。あ、そうなの…? スピーカーから流れる曲とともに幕が上がった。
舞台に現れたのは家来役。萩原流行さんのようなお顔立ちで、衣装がパンパンの体型はブラマヨ小杉さんを想像させる。ヒーハー。バレエ界にしては珍しいぽっちゃり系。チャーミングという表現でよろしいでしょうか。
力任せでコケそうなターンは、コミカルな演技でごまかし、客の笑いを誘う。劇場内はまるでポップコーンを片手にコメディー映画を見ているような空気となった。ダイジョブかな…(笑)。
そこに白いタイツを履いた筋肉質なバレエ体型の男が登場。王子様だ。ホッ…。ひと安心と思いきや、物語では21歳設定のはずの王子様なのに少し頭が寂しい。どうやら若手ではなくベテランが演じているのだろう。
そして、オデット姫は劇画タッチの造形をしたちょっと力強い顔の美人。今度こそ、ホッ。主役のふたりはしなやかでミスがなく、コンビネーションも美しかった。いい感じになってきたぞ。すると…、
カシャッ。カシャ。
横に座る客がスマホで写真を撮りはじめた。ええ!? そして反対を向くと別の客は動画撮影だ。ええええ!? いいの!?
その後も曲を一緒に歌ったり笑ったりとなんとも自由な雰囲気のまま幕が閉じたのだった。
終始ハラハラの「白鳥の湖」は案外面白かったけど、バレエダンサー、オーケストラ、劇場、観客、どれをとってもオペラ座のような舞台で演じられる一流との差は大きいというのがよくわかった。
今回は、本来の劇場で鑑賞するという目的からズレてしまい公平なジャッジではないけれど、やっぱりオペラ座のバレエをたった4ユーロで見せてくれたウィーンがWINかなっ!
【This week’s BLUE】 まさかの撮影可能だった「白鳥の湖」。でもやっぱり上演中に撮影っていうのもアレなんで、控え目にちょっとだけ。主役さすがです。キレイ
●旅人マリーシャ 平 川真梨子。9月8日生まれ。東京出身。レースクイーンやダンサーなどの経験を経て、Sサイズモデルとしてテレビやwebなどで活動中。バックパックを背負 う小さな世界旅行者。オフィシャルブログもチェック! http://ameblo.jp/marysha/ Twitter【marysha98】