第五回「鉄旅オブザイヤー2015」の受賞者はキハ11の前で記念撮影 第五回「鉄旅オブザイヤー2015」の受賞者はキハ11の前で記念撮影

旅行業界で鉄道をこよなく愛する者たちが中心となり、魅力的な鉄道旅行ツアーを表彰する第五回「鉄旅オブザイヤー2015」の表彰式が1月27日、埼玉県さいたま市の鉄道博物館で行なわれた。

今回は2014年11月~2015年10月にかけて催行されたツアーから17社103本がエントリー。その中から選ばれた5本が「鉄旅オブザイヤー」に選ばれた。発表された5本は週プレ鉄ヲタ記者もうなるものばかり!

まず、審査員特別賞を受賞したのは2本。「懐かしの583系寝台列車と大曲花火 秋の章」(クラブツーリズム)は、現在1編成しか残っていない名車583系と全国でも有名な大曲の花火大会を組み合わせたもの。「鉱石の道・一円電車保存車両を巡る『生野銀山・神子畑選鉱場跡&明延一円電車まつり 訪問の旅』」(日本旅行)は、かつて日本に数多く存在した鉱山鉄道の跡を追いかけるもので、これを企画した担当者は過去4回、鉄旅オブザイヤーに選ばれている常連だ。

ルーキー賞は「3つの寝台列車乗り比べ JR最北の稚内駅・最南の西大山駅」(びゅうトラベルサービス)。残り少ない寝台列車の「カシオペア」、「はまなす」、「サンライズ出雲」に乗り、さらに青森から鹿児島までは3本の新幹線を乗り継ぎ1日で移動するなど、8日間の総移動距離6494キローーおよそ日本からハワイまでの距離を鉄道に乗りまくる!という鉄オタ垂涎(すいえん)のプラン。しかもこのツアー参加者の平均年齢は62、3歳というから鉄ヲタの体力には驚くばかりだ。

続いて、準グランプリに選ばれたのは「ふくしまデスティネーションキャンペーン&日本旅行創業110周年記念 お座敷列車“宴”で行く! 福が満開、福のしまの旅 フルーツ狩りとオリジナルタルト作り2日間」(日本旅行)。上野から福島まで新幹線なら1時間半ほどの距離をお座敷列車に乗り5時間かけて行くというもの。車内では福島の日本酒が振る舞われ、さらに揺れる車内でこけし絵付け体験(たぶん日本初)を行なうなど、鉄道ヲタだけでなく女性やファミリーも楽しめるプランだったのが受賞の理由。

 鉄道博物館 鉄道博物館

栄えあるグランプリは?

そしてグランプリは…「JTB旅いく『親子・三世代で行く!鉄道体験! ~旅の魅力の原点である「鉄道の旅」を楽しもう~』」(JTB)。全国各地の鉄道会社と手を組み、車掌体験や車両工場見学といった貴重な経験ができる。今年で5年目となるが、3割ほどがリピーターという人気のプランになっているという。

表彰式には鉄ヲタ芸人のダーリンハニー・吉川正洋、ホリプロマネージャー・南田裕介、女子鉄アナウンサーの久野知美が登場。「鉄旅の集合写真は大体、ヘルメット姿」、「秘境駅がある日、ラッシュ状態になる」といった鉄旅あるあるトークで会場を沸かせた。

終了後、その3人に話を聞くと…。

南田「情熱のあるツアーがどんどん増えているのを感じます。毎年、最早(もはや)出尽くしたと思うのにまだあるんですよ!」

久野「立ち上げの頃から参加させていただいてるんですけど、鉄道の旅が鉄道ファンはもちろん、そうでない方にも認知されるようになってきましたね。毎年、鉄旅オブザイヤーを目標にツアーを作っている方もいたり、受賞して目を潤(うるま)せていました」

吉川「鉄道旅といっても、鉄道ファン目線のマニアックなものから女性目線のものがあったり、毎回見ていて楽しいですね。もし自分がツアーを作るなら全国のデッドセクション(鉄道で電気が切り替わる区間)の旅をやりたいです。人が集まらないかもしれないですけど…」

 インタビュー中、レアな車両が通過し興奮する3人 インタビュー中、レアな車両が通過し興奮する3人

すっかり主流となっている個人旅行でなく、団体ツアーだからこそ実現可能な鉄道旅もたくさんある。まだまだ旅行会社の企画力にかかる期待は大きいようだ。

(取材・文・撮影/関根弘康)