今年のバレンタインデー、記者はひとつもチョコをもらえず心に木枯らしが吹きすさんでいるのだが、最近は男性から女性にチョコを贈る“チョコ男”が増えているという。ある製菓会社の調査によれば、「男性の4人にひとりがチョコを贈っている」とか。
ホンマか!? 週プレ編集部ではそんな光景見たことないぞ。しかし、いわゆる女子力の高い草食系男子が増えている昨今、不思議な現象でもないのかもしれない…。
そこで、14日のバレンタインデー数日前、東京都内のデパ地下でチョコ男を探し出し、女性にチョコを贈る心理についてリサーチしてみた!
売り場にいた大多数はもちろん女性だが、確かに男性も1割程度見受けられる。今回取材に応じてくれたチョコ男は15人(平均年齢は32歳。そのうち9人は昨年以前にチョコ男デビュー済み)。贈る相手は「日ごろの感謝の印として家族や職場の同僚など」が多数派で8人、「付き合っている彼女、あるいは付き合いたい女性」が5人で、「ネタとして」がふたりだった。
●デキるチョコ男上司は、バレンタインもオフィスイベントに!
調査した売り場でひと際目立っていたのが、大量に買い込んでいる37歳男性(金融)。聞けば「20個以上で総額6万円」という。なんでそんなに買ってるんですか?
「部署はもちろん、清掃係のおばさんも含め社内で顔見知りの女性全員に『いつもありがとう!』と渡しています。自分の部下が増え出した5年くらい前からチョコを贈っている。立場上、厳しいことを言わなくてはならない場面も多いので、ミーティングの際にみんなでチョコをつまんで柔らかい空気を作り出しています。もはや私にとってバレンタインは恋人同士のイベントではない。社内での好感度を上げるチャンスなんです!」
バレンタインチョコもビジネスツールに…デキる上司だぜ!! ところが、自信満々に語っていた上司の顔が曇りはじめた。
「昨年、転職してきた年下社員(34歳)に、チョコ男キャラを奪われたんです。私は高いブランドチョコにメッセージカードを添えて渡したりして、女子社員から『あざとい!』とか陰口を叩かれてたんですが、キザでお調子者の彼は躊躇(ちゅうちょ)がない。後輩の男子社員を巻き込みながらサプライズを演出してうまいことやっている。おかげで私は去年、チョコを用意していたのに渡すことができず…。だから今年はリベンジなんです。落ち着いた大人の雰囲気でクールに渡したい!」
リベンジは果たせたのでしょうか…? そして「デキる上司チョコ男」は他にもいた!
「部下の女性社員に『取引先の女性に買ったほうがいいですよ』と指摘され、教えてもらったブランドを買いにきました」(35歳・出版社 6個購入で総額1万8千円)
「僕は店長なので、店のスタッフに渡します。控室にさりげなく置いてサプライズを演出したい。店の結束を高めるためにね」(30歳・飲食店 6個購入で総額1万円)
他には「毎年、キャバ嬢とか若い女のコに、自分はもらえなくても渡します。モテたいからね」という36歳の会社経営者も!(5個購入で総額4万円)
サプライズチョコで好きな女のコと大接近!
●結婚を前提に本気で口説く、ガチなチョコ男!
商社に勤める30歳男性は、現在、片思いの女性にチョコを贈るという。
「彼女と結婚したいと思っていて、『記念日を大切にする気配りのできる男』をアピールしたいんです。彼女が好きなブランドは共通の女友達から調査済み。相手からもらえるかはわかりませんが、事前に10日のディナーを予約してます。店を出た瞬間に渡して、ひと粒ずつ食べて残りを持って帰ってもらうプラン。その後、バーに行って口説こうと思ってます」
マメな男だね~! でも尊敬に値します!! デートの行方が気になったので、後日連絡を入れてみると…、
「大成功でした! 『これ好きなブランドなんだけど! ありがと~』ってすごい喜んでくれて。さらに彼女も手作りチョコを用意してくれてて、チョコを交換する展開に。二軒目のバーで口説くことはできなかったけど、終始いい感じで次のデートも決まった。彼女はインスタで『サプライズって嬉しい!』と僕のあげたチョコの写真をアップしてくれました!」
ピュアなハートはきっと彼女に伝わるはず! 同じく、好きな女性に渡すという男性は他にも…。
「彼女にサプライズで渡して、泣かせたい! 一緒に写真を撮ってインスタやフェイスブックに上げたいっす」(22歳・大学生 1個購入で2千円)
「彼女が手作りチョコを作ってくれるみたいだけど、自分からも日ごろの感謝の印にサプライズでブランドものを。甘いものが好きなので自分用にも買いました」(29歳・公務員 2個購入で総額6千円)
「バレンタインの週末に、気になっている女のコとデートするので渡してみようかと。『甘いもの食べられる?』って思わせぶりなLINEがきたので、相手からももらえる見込み。他にも、取引先の女性に渡します。ホワイトデーって忘れがちなので、渡されたらその場で返せるように」(32歳・旅行代理店 5個購入で総額2万円)
もらったチョコを別の女のコに渡す塩顔イケメン
●ドン引きされても前向きな“戦略的”チョコ男
ところで、売り場での調査中、自ら記者に話しかけてきた男性がいた。あまり女好きには見えない、いわゆる“塩顔イケメン”の22歳・大学生だ。
「チョコ男が話題になっているのは知ってますよ。3年以上前からやっている自分には、何を今さらって感じですけどね」
彼は5個購入で総額2万円だが、渡す女性には3つのタイプがあるという。
「まずは今、デートしたりして狙ってる“女のコ群”です。相手の好みをちゃんとリサーチして、“専門店もの”(4千円~5千円)を渡します。次は、合コンの幹事をやるタイプの女のコ。好感度を上げて、今後の合コンでいいメンツを集めてもらいたいから、あまり安物は渡さない(2500円以上)。最後に、セフレです。心のケアのためです。渡すことに意義があるので、安くてもOK」
ちょっと! “ゲスの極み”にならないように気をつけてね! しかも彼がチョコを購入したのは、この日だけではないという。
「バレンタインの1週間前から、会った女のコみんなに渡しています。恋愛はチョコのように甘くないですから、このチャンスを逃す手はない。すでに準備したチョコは配りきってしまったので、今日は“追加の買出し”にきたんです。去年はあまりお金がなかったんで、もらったチョコを別の女のコに渡して“リサイクル”してました。クズですよね(自嘲ぎみに)」
この後、彼とも連絡を取ると、「冷蔵庫の大量のチョコを家に遊びに来た女のコに見られてドン引きされました(笑)。でも、いろいろリサーチしてチョコの知識が増えたから、女のコとの会話がこれからも弾みそうっすね」と、どこまでもポジティブな塩顔イケメン君なのであった。
冒頭で「家族や職場の同僚への日ごろの感謝として」と書いたように、チョコを贈るのは新たな恋愛のためというより、既存の関係性をさらに強めるためというのが多数派のようだ。元々、女性たちの間では定着していた「友チョコ」が男性にも広がってきたということか。
とはいえ、多くの女性はプレゼントやサプライズが大好きだから、確かに口説くための手段としても有効なはず。まだ経験のない男性読者は来年、チョコ男デビューしてみる?
(取材/関口マリブ 構成/週プレNEWS編集部)