昨年末、女子高生の制服などを盗んだ疑いで元キングオブコメディの高橋健一容疑者が逮捕され話題となった。
実際に制服盗難被害に遭った都内のY高校に通う女子高生の娘を持つ母親がこう訴える。
「高2の娘の隣のクラスの女生徒数名ががブレザーやスカートを盗まれました。女生徒達は警察から事情聴取されてショック受けてるし、学校側からは制服のレンタル代もきっちりと取られるわで大変ですよ。もし盗まれた制服が返ってきたって、そんなの親としても着せたくないし娘だってイヤでしょうし。制服好きとかの趣味までとやかく言わないけど、盗みは勘弁してほしいですね」
この母親が言うように、制服好きなどのフェチは個人の自由だが、それが高じて犯罪に手を染めてしまうのは当然許されるものではない。だが、この制服好きというフェチ層と、制服を盗んでしまうまでのめり込んでしまうレベルのボーダーラインはどこにあるのだろうか?
今回、数名の制服フェチに接触し、制服のナニが魅力なのかを聞いた。まずは、特にセーラー服が大好きだというsukuさん(20代・ITデザイナー)。
―セーラー服のどんなところが好きなんですか?
suku 「単純に形が“カワイい”からです。特にセーラー服ならではのセーラーカラー(襟元)の部分。白地に紺の線が入ってたり紺地に赤い線が入ってたりデザインに富んでるし、プリーツスカートやチェックのスカートなど、いろんな組合せがあるのもまたカワイいのでコレクションしています」
―コレクションはどのくらいあるのですか?
suku 「学校制服以外にも私服セーラー(セーラーカラーがデザインされた普通の女性服)も好きでコレクションしており、上下合わせて100着くらい。ブレザーも好きですが、あまり範囲を広げる余裕もないので」
―それらはどのように入手したんでしょう。
suku 「フリマやネットオークションはもちろん、知人から譲っていただいたり。僕の場合は中古には興味がなく、他人が着たものに価値は感じない。ブルセラ的な趣向はないんです。オーダーメイドで自分好みのデザインを業者に作ってもらうこともありますね」
―えーと、オーダーメイドで作ってどうするのですか?
suku 「自分で着るんです。僕の場合はセーラー服中心の女装です。自分自身が“カワイい女のコ”になったつもりでいることに興奮するんです」
―それでどのように興奮するんですか?
suku 「元々、高校の時に初めて付き合った彼女と制服プレイしたのをキッカケにコレクションしたり女装するようになりました。セーラー服などで女装して自慰行為をすると、カワイい女のコになりきった気持ちで興奮でき、汚してやろうという男性的な興奮と陵辱されている女性側の興奮を同時に感じられるというか」
―なんとも深いというべきか…。セーラー服を着ている女子というよりもセーラー服そのものとそれを着ている自分自身に興奮すると。
suku 「そうですね。もっとマニアックなフェチの話をすると、セーラー服を切り裂いたり着用したまま入浴したり、セーラー服にぶっかけたりすることにも興奮しますね」
―でも例えば、セーラー服を着た女のコを見かけて“あのコにぶっかけたい”的な発想にはならない?
suku 「そうですねえ…。セーラー服を着たカワイい女のコは好きだし、見るのも好きですが、“あれと同じセーラー服を着たり、切り裂いたりぶっかけたいな”って欲望のほうですね、僕は」
ひと言で制服フェチといっても、このように女装と男性としての性的興奮が目的のタイプもいるようだ。そこで次は、ブルセラのような着用済みの制服が好きだという小川さん(仮名・40代・派遣営業)に聞いた。
制服も十人十色。新品に興味はない
―どんな制服がお好きなのですか。
小川 「やっぱりセーラー服が好きですねぇ。それも特に“芋セラ(細身ではなく寸胴のシルエットのイモっぽいセーラー服の略称)”が好き。ちなみに映画『セーラー服と機関銃-卒業-』の橋本環奈ちゃんのセーラー服は垢抜けてて芋セラじゃない。ちょっと細身だし腰の丈も短めだし」
―なるほど。では芋セラを好きになったキッカケは?
小川 「30代の時に札幌に旅行に行って、芋セラを着た中学生くらいの女のコ3人がキャッキャしながら歩いてるのを見て“カワイいなあ”って眺めた光景が強烈に印象に残ってて。それ以来、集めるようになりました」
―どのように集めたんですか?
小川 「まずは札幌で見かけた女子中学生の制服がどこの学校のものかを執念で調べて、ある筋から購入しました。その後はネットの制服フェチのサイトとかで目に留まった芋セラをフリマやネットオークションなどで買います」
―手に入れたら、やはり着用するのですか?
小川 「いえ、僕は着用にはそこまでこだわりはなく、セーラー服を抱いて寝たり、濡らしたり、セーラー服の学園ものAVを見ながら制服にぶっかけたり。こすったり洗ったりしているうちに独特の“テカり”が出てくるんですよ。この年季が入った感じもまた良いんです。同じ制服をサイズ違いでいくつか集めるのもゾクゾクするほど興奮しますね」
―同じ制服を何着も? それはナゼ??
小川 「学校制服の醍醐味(だいごみ)はまさにソコですよ。ひとりひとりの体型に合わせてオーダーメイドする、つまり世界で一着です。細身や太めなどいろんな体型の女生徒がいるように制服も十人十色。まず一着入手したら、そのお友達的な存在の制服だってもう一着、さらにもう一着と欲しくなるに決まってます!」
―では小川さんの場合は完全に中古のセーラー服がお好きというわけですね。
小川 「そうですね。新品には興味がないなあ。やはり着ていたコの顔がわかるとより良いですよね。そのほうが愛着が湧きます。なかなか難しいですが」
―そうすると、“あのコが着てるあの制服が欲しい”という思いから制服泥棒してしまう犯罪者の気持ちがわからなくもない?
小川 「まあ正直、気持ちは痛いほどわかります。わかるけど、だからって僕は泥棒はしたことないし、しようとも思いませんね…」
では、ここから前出のsukuさんと小川さんにただの制服フェチでいられる人と、その一線を超えてしまうボーダーラインについて話を聞いてみると…。
制服泥棒そのものがフェチに?
―ぶっちゃけ、おふたりは「制服を盗みたい」という欲望にかられたことは?
suku 「自分は中古よりは新品で自分好みのサイズやデザインで制服を入手したいタイプなので、盗みは理解しがたいところですね」
小川 「正直に言えば、街で見かけたカワイいセーラー服の女のコのが欲しいと思ったことはあります。けど、だからって盗もうとは思わない。それよりも、そのコと良い関係になって制服プレイしたい欲望はあります」
―小川さん、それはまた違う罪でタイーホです! では、なぜキンコメ高橋のように制服泥棒をしてしまう犯罪者が後を絶たないと思いますか?
suku 「僕が思うに、制服泥棒するヒトは制服泥棒そのものがフェチになってるように思う。窃盗癖というか。泥棒のスリルはもちろん、成功した時の達成感や、どんどん収集数が増えることに興奮し、快感を感じてるんじゃないかな」
小川 「そうでしょうね。あと高橋さんの場合、パチンコのビギナーズラックのように初めて泥棒した時にすごくうまくいったんだと思うんですよね。それで“こんな簡単なのか”って味を占めてしまったんじゃないかなって」
―では、制服泥棒をしたい欲望に駆られた人はどう補えば良いと思いますか。
suku 「そこはやはり妄想で留めろ、としか言いようがないですね。極端なことをいえば快楽殺人者みたいな人がフェチだからって人を殺して良いわけがないのと同じで。人に迷惑をかける可能性のあることは妄想やAVで満足しろとしか言いようがないです」
小川 「僕のような制服フェチと制服泥棒は紙一重だとは思います。ただ自分は学校に侵入してまで盗む勇気はないし、何よりも捕まるリスクを考えたら絶対できない。結局は、泥棒したい欲望は理性でしか抑えられないと思う」
最後に、ブルセラ好きの小川さんから“制服泥棒をしたい欲望はこんなプレイで満たしてはどうか?”といったアドバイスが…。
小川 「イメクラとかデリヘル嬢に持参のセーラー服を着てもらって制服プレイを楽しむんです。それとか、彼女らをまた指名して仲良くなって、彼女らの制服を直で売ってもらうとか。とにかく、少しでもその欲望を別の何かに置き換えることが大事なんじゃないかと思います」
欲望がなくならない以上、どう制御し抑制するか。少なくとも誰か他人を巻き込み、犯罪行為にまで暴発する人間が少しでも減ることを願うばかりだ。
(取材・文/河合桃子)