ランウェイで白衣を羽織った美女たちが笑顔を振りまく――。
そんな不思議な光景があったのは、21日に銀座で行なわれた「リケイガールズコレクション」。文字通り、理系女子が魅せるファッションショーだ。
モデルを務めたのは「ミス理系コンテスト」などに出場経験のある、理系出身の社会人や現役の理系女子大生。そして会場に集まった観客の多くも、理系女子大生や理系に興味のある高校生という珍しいイベント。主催したのは、理系の学部に通う女子大生たちで成る学生団体「リケチェン!」だ。
「(当初は)会議室や教室で20~30人ほど女子高生を集めて行なったりしていたんです。今回のような大規模イベントは初でした。ちょっと真面目なイベントだと、元から理系に興味のあるコしか来ないので、そこから脱却したいねということで、ファッションという女子の興味があるイベントを企画しました」
というのは、代表を務める海東彩加(理学部)さん。2010年に発足したというが、一体、どんな団体なのか。
「当時は“リケジョ”という言葉もなく理系女子は珍しい存在でした。女子高生たちに科学の楽しさを知ってもらいたいというのと、理系女子のロールモデルを示していきたいねということで設立しました」
同団体ではこうしたイベント活動の他、フリーペーパー『リケチェン!プレス』を発行したり、高校訪問などして理系女子の裾野を広げているという。
「理系女子って人数が少ないので、先輩の話を聞くといっても、そもそも周りに人がいなく、機会もない。こういう機会に話して交流してもらうことで、将来のイメージができるかなって思っています」
健気で真面目なリケジョの愛おしさ
事実、参加した女子高生の中には「理系は女子が少ないから、勉強面も就職面もちょっと不安だった」というコも。海東さんはさらに続ける。
「理系に進むと研究者になるというイメージがすごく大きいんですよ。でも、実は半分は総合職で入社するなど、むしろ就職の幅が広がることを知られていないんです。そうしたことを知ってもらって理系女子が増えていってくれたらなと思います」
まだ見ぬ後輩のためにも、自分たちから積極的に交流のきっかけを作る理系女子の皆さん。なんて健気(けなげ)で真面目! もはや愛おしい!
「アハハ、そんなことないですよ。でも世間では『理系=暗い』というイメージもありますけど、その言葉は違うと思ってて、遊びも勉強も全部ひとつひとつ真剣に取り組むのが理系の特長かもしれないですね」
「○○女子」とともに浸透していった「理系女子」や「リケジョ」。しかし、彼女らにとってその言葉は複雑なようだ。
「世間的にはわかりやすい言葉だと思うんですよ。でもそれは人が少なくて珍しい存在だから。理系女子が少ないからそういう言葉ができた。理系女子やリケジョという言葉がなくなってくれるのが理想。いつかは当たり前になってほしいですね」
この日は、特別ゲストとして茨城大学工学部出身の人気モデル・梨衣名(りいな)もモデルとして登場。ゲストトークでは自身の学生時代の思い出や、来場していた理系を目指す女子高生にエールを送った。
(取材・文/週プレNEWS編集部 撮影/五十嵐和博)